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(回答先: 「癩」は差別用語ではないのでは? 投稿者 ×× 日時 2005 年 1 月 12 日 01:36:01)
××さん、どうもです。
書き込みの意図は「ライが差別用語だから悪い」というのではなく、「ライ」という言葉には、たとえば以下のような意味作用が、歴史的にまとわりついているからです(例が誤解を与えたかもしれませんが)。
「江戸時代には癩は〈かったい〉と呼ばれ、社会から締め出された癩者は,四国や九州の霊場や寺院を遍歴・徘徊していた。明治になっても、癩に対する偏見と恐怖はかわることなくつづき、救癩事業に最初に手をつけたのは外人宣教師であり、多くの癩病人は昭和初期まで乞食の姿で全国を放浪していたのである。」(世界大百科、立川昭二)
「〈らいの予防,およびらい患者の医療・福祉を図るため〉に,旧法(1907年)に代わって1953年に制定された法律。癩,すなわちハンセン病に対する特効薬(プロミンなど)が発見され,かつきわめて感染力の弱い伝染病であることが判明したにもかかわらず,全国13ヵ所の国立療養所などへの強制入所や優生手術その他の差別的規定が残っており,〈強制隔離を容認する世論の高まりを意図するもの〉と従来から強い社会的批判の対象となっていた。全国ハンセン病患者協議会などの入所者団体の運動(〈予防法闘争〉)の成果もあって入所者の実質的処遇は徐々に改善されてはいたが,国際的非難が高まってきたことなどをきっかけとして,1995年4月日本らい学会(1996年に〈日本ハンセン病学会〉と改称)が〈長期にわたって現行法の存在を黙認したことを深く反省する〉として長年の方針を転換,予防法廃止を求める見解を発表し,96年3月に同法は遅まきながら廃止された。しかし,長年の隔離政策の結果として社会的偏見も根強く,肉親から絶縁された人も少なくないばかりか,その約90%は全快しているが後遺症などがあり,また平均年齢約70歳と著しく高齢化も進んでいるなどの理由から,入所者の社会復帰には実際上大きな困難が予想されるため,これまでの医療・福祉面での措置継続を定めるとともに,社会復帰を支援する旨の附帯決議が国会でなされた。なお,最近では,将来的には規模縮小や統廃合が予想されるハンセン病医療施設を,外来や入院患者も受け入れる一般病院に転換して存続させることによって,入所者に対する従来の処遇を継続維持させようという取組みも始まっている。」(同前、黒田満)
南野法相が糾弾されているのは、こうした歴史的に培われた差別的な意味作用を払拭するために「ハンセン病」の使用が、公的にも共通了解になっているからであり、とくに公的機関がある時期「全国13ヵ所の国立療養所などへの強制入所や優生手術その他の差別的規定」を実施していたことに対する歴史的反省の欠如によるものです。もし長い期間「看護職にあった」のなら、こうした経緯は熟知しているはずなのに、まったく無神経としか言いようがありません。
なお、差別用語だから悪く、そうでないなら良いという考えには、小生はあまり賛成ではありません。差別用語の禁止、あるいは放送禁止用語は誰が定めたのか。原則として、差別/被差別は、被差別の側の論理をでき得る限り尊重すべきであり、しかも、差別/被差別の境界は歴史的、社会的に揺れ動くもの、という認識が必要と思います。