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2004.12.7
Q君への手紙(PART4)[31]
W氏の大いなる危機意識に学ぶ−日本ファシズムの危険性
「智者は未だ萌(きざ)さざるに見る」(戦国策)
[知恵の深い者は、物事の萌(兆)しが現れる前にわかる]
Q君。今日も「水と防災の政治学」を休みます。今日は、私にいつも知的刺激をくださるW氏からの二つの手紙を紹介します。以前にW氏からの手紙を紹介しましたところ「目立つことは好きではありません」とのご注意をいただいたことがありますが、君に読んでもらいたいと考え、あえてここに引用します。
一つは12月3日の「ファシズムの黒い雲」です。
《拝啓 早くも12月となりました。行き当たりばったりと、先送りと、なし崩しの繰り返しで今年も終わるのでしょうか。
ウクライナの人たちはよく頑張っています。自戒を込めて、優等生ではなかなか政治は民衆の手に取り戻せないものかもしれないと……。米国民主党も日本の民主党とたいした違いはないようです。浮動票頼みでどこかよそよそしい。そこを共和党がうまく衝いたのでしょう。いま考えれば、クリントン時代の繁栄も貧富の差を拡大し、中産階級の没落を早めただけだったのですね。
中産階級の没落、E.H.フロム著の「自由からの逃走」読み直しました。若い頃読んだときはあまりピンとこなかったのですが、今度はよくわかりました。もちろん森田さんもお読みになったことと思いますが、なぜナチスが独裁権力を握りえたのかを社会心理学的に分析した古典的名著です。背景にコミュニズムへの不安があり、中産階級の没落と心理的屈辱感や孤立感が、マゾヒスティックな独裁者への帰依とサディスティックなユダヤ人迫害と対外侵略につながったという分析です。
米国における原始キリスト教の勃興がブッシュ再選の原動力になったそうですが、あの現象こそ米国民の不安の衝動の象徴ではないでしょうか。背景にテロリズムへの不安があり、下層中産階級がファシズム的衝動に駆られる要素も整っています。温和な理性的政策には満足しない雰囲気が、客観的には破滅への衝動が高まる、あるいは高まっているかもしれません。
日本でもこのままいけば、下層中産階級の没落と不安と不満が拡大します。自殺に走るか、宗教に救いを求めるか。あの言葉、「宗教はアヘンである」、これは至言です。あらゆる不安を忘れ、死さえ厭わなくなります。新興宗教がこれからますます力を得てくることでしょう。しかし、麻薬は身を滅ぼします。陰で途方もない利益を得る者がいます。皮肉なことに、共産主義もいまから見ればアヘンにすぎませんでした。人類社会は永遠に騙す者と騙される者から成り立つ宿命なのでしょうか。国民の不安を希望と安らぎに変えるような政治は実現できないのでしょうか。
国民の孤独、不安、不満をどうやって解消し、自己破滅的な行動を回避するかは21世紀の大問題だと思います。
PS 異常なヨン様人気にも何かファシズム的な匂いがしないではありません。理性を失しています。あるいは、いいはけ口なのかもしれませんが。》
次は12月6日の「万物は流転する ヘラクレイトス」です。
《拝啓 世界中でブッシュ的政治手法をファッショ的と見る立場が増えているように思われます。「どうもこれは形は民主主義のようであって、民主主義ではないのではないか。リンカーンの定義からもベンサムの価値基準からも」という感じです。
まさに panta rhei、民主主義も堕落し形骸化する可能性があるのは当然です。ではファシズムの特質はどういうものか、自分なりに考えてみました。
(1)権力基盤は大衆の不満や偏見に求められます。この点、共産主義者たちがいかに高邁な革命の理想を語ろうと、不満や偏見に基づくものである限り国民を幸福にするものでないと思ってきました。
(2)ファシストは大衆の偏見を助長し、うまく誘導し政敵を倒し権力を強化します。森田さんが以前書かれていた文化大革命と小泉改革の共通性です。
(3)大衆を扇動するためにきわめて単純な論理がまかり通るようになります。「テロリストは悪者だからやっつけなければならない」「ブルジョワは大衆の敵だ」「アカは危険人物だから」「私に反対するものは抵抗勢力である」とか。
(4)国内の不満をそらすために国外に敵をつくります。靖国問題。靖国カードとかいって世論を煽ろうとしている桜井よしこ氏、どうしたのでしょう。とりつかれたようになっていますね。中国は手ごわい相手ではありますが、理性の通じない相手ではないと思うのですがいかがでしょう。むしろ……。
(5)大衆をマインドコントロールし裏切らないようにするために恐怖政治を行います。宗教団体に属している人が抜けられないのはまさにこれです。やめたりするととんでもない不運や災いが、といわれると怖くてやめられない人がたくさんいます。少なくとも仲間はずれにはされますし。
(6)現実主義というよりは低俗な剥き出しの感情や陰湿ないじめのような意識が社会に蔓延します。権威に対するマゾヒスティックなまでの迎合、弱者に対するサディスティックな仕打ちなどが見られるようになります。ベトナム戦争ではあれほど問題になった捕虜虐待が今回は……。
切り口はまだまだあるとは思いますが、ナチスを100として、いまの日米のファシズム度なるものはいかがでしょう。とにかく一般大衆が目覚めなければ、そして社会を守り育てていこうというまじめな政治家が多数出てこなければ……。第二次大戦と同様に、核の洗礼を受けなければ日本人は目覚められないのでしょうか。
PS 中国よりも桜井さんのほうがよっぽど怖いです。 残念!!!》
Q君。Wさんの鋭い問題意識と深い洞察力に深く敬意を表します。私のコメントは次の機会にゆずります。Wさんのような同憂の士がいることは、心強いことです。「朋あり遠方より来たる。また楽しからずや」の感じです。ではまた。
http://www.pluto.dti.ne.jp/~mor97512/C0871.HTML