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視聴者の「声」読み違え 放送業界の過渡期象徴
問題解決しない/辞めるの遅すぎ/ご苦労さま
http://www.sankei.co.jp/news/morning/26na1002.htm
海老沢勝二NHK会長の任期半ばでの辞任は、一昨年にテレビ放送開始五十年を迎え、デジタル化に突き進む放送業界の過渡期を象徴する出来事といえるだろう。
多チャンネル時代、放送と通信の融合時代を迎えるなか、海老沢会長は「改革と実行、公開と参加、向上と貢献」のスローガンを掲げ、この七年間、強いリーダーシップを発揮してきた。それはNHK内外の認めるところだ。任期中には受信料の値上げをしないことを公言。七年間で約一千億円の経費削減、人員も大幅に減らすことで受信料据え置きを貫いた。
「視聴者国民のニーズに応える」が、海老沢会長の口癖であった。その「ニーズ」を理由にインターネットサービスに進出、一年前には衛星放送の二十四時間ニュースチャンネル化構想を打ち出した。民放からの民業圧迫批判には強硬な態度を崩さなかった。その会長が受信料支払い拒否という、視聴者国民の意思表明で辞任に追い込まれたのは、なんとも皮肉だ。
「ニーズ」を見誤った最大のポイントは、自分が参考人招致された九月九日の衆院総務委員会を生中継しなかったこと。代わりに一部の民放が中継、視聴者にとって不祥事の受け止め方が「一部職員の犯罪」から「NHKの体質の問題」へと変わる転換点となった。
十一月には自らの提案で二十四時間の被災地キャンペーン番組を放送、「信頼回復の一助になれば」(海老沢会長)と期待したが、逆に執行部と一般職員との距離を露呈する結果を招いた。
この時点で受信料不払いの急増も明らかになったが、十二月二日の会見で辞任を否定。十九日の特別番組「NHKに言いたい」に出演し、視聴者の批判に直接こたえることで起死回生を図ったものの、新たな施策を何も示さず、辞任表明もなかったことに視聴者が失望。ここでも「ニーズ」を読み違え、かえって不払いが増加した。
経営委員会でも、特番二日後の会合では「会長三選に批判もある。今後は再任回数の制限も考える必要がある」などの批判的意見が続出した。
視聴者、職員に加えて経営委からも見放されたこの時点で、海老沢会長は辞任が避けられないと悟ったのではないか。
ポスト海老沢の新体制はまず視聴者、そして職員の意見を経営にどんどん取り入れる風通しのいい組織を再構築することだろう。そして「公共放送と民放とのバランスのとれた二元体制を堅持する」(日枝久・日本民間放送連盟会長)こと。これなくして、世界有数の豊かな放送文化の享受はありえないからだ。(原圭介、鵜野光博)
◇
《会長辞任までの経過》
16年
7月20日 チーフプロデューサーが企画会社に1900万円余りを水増し請求させるなどして一部を着服したことが判明
7月23日 不正請求は4800万円に拡大
7月28日 編成局で計約300万円のカラ出張発覚
8月 3日 岡山放送局で架空飲食費請求が発覚。ソウル支局長の不正経理も判明
8月11日 甲府放送局で備品や私物の一部がネットオークションに出品されていたことが発覚
9月 9日 衆院総務委員会に海老沢会長らが参考人招致。生中継せず批判高まる
9月15日 不祥事発覚からの受信料不払いが1万3000件に
10月 7日 不払いは3万1000件に。会長は続投を強調
10月26日 放送技術局制作技術センターで452万円の着服が発覚
11月 9日 NHK労組「日本放送労働組合」が会長辞任要求を機関決定
12月 2日 受信料不払い(11月末現在)が11万3000件に達する
12月 4日 警視庁が水増し請求のチーフプロデューサーを詐欺容疑で逮捕、会長がテレビで陳謝
12月19日 特別番組「NHKに言いたい」放送
17年
1月25日 会長が辞表提出
◇
渋谷のNHK放送センター周辺と海老沢勝二会長の出身地、潮来市など茨城県内で聞きました(敬称略)
質問は(1)辞任をどう思うか(2)NHKに何を求めるか
◇
【渋谷の放送センター周辺で】
■西川練(21)大学生(豊島区)
(1)辞めて当然。外からはお金が内部でどう使われたかはわからないのだからトップが責任を取るべきだ
(2)番組は面白い。でも受信料の無駄遣いはやめてほしい
■佐藤光(27)会社員(狛江市)
(1)会長が辞めて問題が解決するわけではない
(2)番組に不満はない。一連の不祥事にしろ朝日新聞との問題にしろ、番組以外の部分をしっかりしてほしい
■加藤浩介(38)会社員(浦安市)
(1)辞めるのが遅すぎた。参考人招致の時点で辞めていれば、問題は大きくならなかった
(2)無駄遣いをやめて、クオリティーの高い番組を作るために受信料を使ってほしい
■大月美代子(49)主婦(所沢市)
(1)最初にきちんと謝っていれば、辞めなくて済んだのに。一生懸命働いている職員がかわいそう
(2)風当たりが今は強いが職員の人は我慢して番組作りに専念してほしい
■伊藤美子(65)主婦(川口市)
(1)受信料の支払いをやめようと思っていただけに辞めて良かった
(2)NHKにとっていい薬になったと思う。これで組織も引き締まる。いい番組作りをしてほしい
【海老沢氏の出身地茨城県内で】
■40代男性 NHK地域スタッフ
(1)辞任は遅すぎた。海老沢会長は国民だけでなく、全職員、地域スタッフに謝罪すべきだ
(2)不払いの嵐や若い人のNHK離れは深刻。(次の人は)組織を解体するくらいの覚悟で改革して
■50代男性 NHK地域スタッフ
(1)遅すぎた。朝日との論争が沸騰中にこっそり辞めるみたい。責任とっての辞任とは理解されない
(2)一にも二にも良質の番組を増やさないとNHKに未来はない
■茂木民子(65)飲食店経営(潮来市)
(1)6月に潮来市で全国植樹祭があり、ここで故郷に錦を飾ってほしかった
(2)NHKは民放が取り上げない、いい歌番組を放送している。今の姿勢を守れるよう、早く問題を解決して
■森内信夫(70)無職(潮来市)
(1)ご苦労さまと言いたい。会長が代わり、組織は若返り活性化するのだろう。前向きにとらえたい
(2)NHKに楽しみな番組は多い。これからも良質な番組を作ればそれでいい
■小川尤子(57)自営業(潮来市)
(1)トップが責任取るのは当たり前。自分が判断する問題で遅いも早いもない
(2)NHKは見ごたえある番組を作り好感がもてる。決して安くない受信料に見合う番組をお願いしたい