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11月21日 ◎政治家は本気で仕事をしているのか ◎自衛隊までも裏金作りしていたとは ◎横田早紀江さん「遥かなり母の戦い27年」
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□★□ 天木直人11月21日 メディア裏読み □
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◎政治家は本気で仕事をしているのか
◎自衛隊までも裏金作りしていたとは
◎横田早紀江さん「遥かなり母の戦い27年」
◇◆ 政治家は本気で仕事をしているのか ◆◇
12月3日の国会会期末まで二週間足らず、小泉首相は24日にチリから帰ると、またASEAN首相会議に出席するらしい。国会はこれまで意味のある審議をしてきたか。そう思っていたら、11月21日の産経新聞に、参院自民党の矢野哲朗国対委員長と参院民主党の今泉昭国対委員長が滋賀県内で一緒にゴルフを楽しんでいた事が報じられていた。この「懇親会」は「自民党からの誘いに民主党が乗った。人目につくと非難されるため、わざわざ東京から遠く離れた地方を選んだ」(関係者)という。その後両氏は京都市内の料亭に移動している。民主党の幹部らは国会で対決姿勢の演出に腐心しているが、実態ははやくも閉会ムードなのだ。これでは55年体制下の自民・旧社会両党の馴れ合い国体より悪質だ。
そもそも今の政治家に身を捧げて真剣に仕事をしている者がどれほどいるのだろう。今度の国会に限っても、年金改革から始まって、郵政改革、三位一体改革、政治腐敗、イラクへの自衛隊派遣延長問題、北朝鮮の拉致問題、在軍再編にともなう新たな防衛政策の策定などなど、気の遠くなるほどの重要な問題が目の前に山積みされているのに、どれ一つとしてまともな審議がなされないまま既成事実が進行して言っている。
11月20号の週刊東洋経済で歳川隆雄氏がこう書いている。
「・・・三位一体改革にしても首相と与党文教族が最後まで激突して政局になるといった展開はまずありそうもない。・・・小泉首相は文教族の麻生総務相と与謝野政調会長に削減額3兆円さえ実現できれば削減内容にはこだわらないと落しどころを示して(おり)、・・・息巻いた文教族の大ボス・森善朗前首相も負担金補助率2分の1から3分の1への引き下げでホコを収めた。・・・郵政民営化にしても、党内抵抗勢力は民営化の総論は受け入れながらも関連法案つくりなど各論段階での実質的な骨抜きを狙っている。・・・自衛隊派遣延長問題でも、与党内にはサマワの治安状況などで延長慎重論が少なくないものの、基本的には総理の判断に任せておくという空気だ。・・・」
こんないい加減な自民党であるのに、野党第一党の民主党からは強い攻撃姿勢が感じられない。共産、社民に至っては国会でまともな発言の機会すら与えられない始末である。
一体この国の政治家は国民の為に仕事をする気があるのか。心に響く仕事が全く伝わってこない。見えるのはやたらにテレビに出て勝手なことをしゃべりまくる一握りの連中である。そんなことをするために彼らを政治家にした覚えはない。そう思っていた時に、11月18日の日経新聞夕刊の「さらりーまん生態学」というコラムに、作家の佐藤洋二郎という人の次の記事が目にとまった。
「鹿児島、熊本とでかけた。どこの町もひっそりとしていて、タクシーの運転手は不景気でどうしようもなかですよとあきれ気味に笑っていた。・・・日本はこれからどうなるんだろうなと、地方に行けば行くほどそういう思いが脳裏を走る。そのひとつにこの国の指導者たちの言説も影響しているのではないか。ものごとにたいして「ひたむき」に取り組んでいる人に私たちは好感を持つ。一生懸命やっているから安心だ、あるいはひたむきにやっているから、なんとか手を差し伸べたくなるのが私たちなのだが、今の政治家にはその姿勢が見えない。国民を欺くようなちゃらんぽらんな答弁をしたり、言い訳だけに終始する発言をくりかえす彼らは、一体自分がどういう人間で、どういう立場にある人間かと少しでも考えれば、自分がなにをやらなければいけないかわかってくるはずなのだが、それがない。政治家なんかおらんほうが、よか国になるとじゃなかですか、と会社が倒産して運転手になったという50代の男性は、熊本弁訛りで言った。思わずそうだなという気持ちになった。政治を真剣に行おうとする彼らの姿勢が、わたしたちに安心感を誘い、前向きなものの考えにさせるのだが、今は不安を増長させることばかりで、仕事をやらない彼らが、本当はいちばんの税金の無駄遣いをしているのではないかという気持ちになる。」
全く同感である。政治屋とそれに迎合する官僚こそこの国の最大の不良債権だとつくづく思う。
◇◆ 自衛隊までも裏金作りしていたとは ◆◇
大手の新聞にはおよそ報道されていないが、11月20日付のしんぶん赤旗に自衛隊の裏金作りの実態が報じられていた。元陸上自衛隊会計監査隊一等陸尉の加藤好美氏(52)が、「私の所属したどの部隊でも裏金作りをしていた」としんぶん赤旗に告発したという。この告発については共産党の緒方議員の国会追及に大野防衛庁長官が調査・公表を約束したということなので、やがて国民に知られるようになろうが、今更ながらこの国では「法の支配」という近代国家の基本的価値が軽視、いや無視されているという事を思い知らされる。
それにしても日本の指導者たちが、官民を問わず、不法行為を犯している事実が次々に明るみに出てきた。三菱自動車、銀行、カネボウ、西武、読売、NHKなど日本を支えてきた大企業の責任者が次々と責任を問われて立ち往生している。これはどういうことなのか。今までの日本の国や社会のあり方がおかしかったのか。おかしいと皆がわかっていても、組織の論理で封じ込められてきた。それが個の自立により、音を立てて崩れていくのか。それとも再び組織の論理が優先されこれらのスキャンダルが一過性のものとして押さえ込まれていくのか。
月刊現代12月号に巻頭に池澤夏樹氏の「アイヒマンの論法」というつぎのような論説が掲載されていた。
「・・・水俣病の関西訴訟が結審して、国側の敗訴確定と聞いた時、複雑な感想を抱いた。日本の司法にもまだこれだけの判断力はあったかという安心と、あまりに遅かったという落胆。そして責任の問題。あれほど明らかな過誤を認めるのになぜ48年の歳月が必要だったのか。チッソと県と国がひたすら詭弁を積み上げて責任を回避しようとしたのはなぜか。組織の中の個人という現代社会のありかたは、それ自体が矛盾を内包している。ある職種にある個人はそれに応じた権限を与えられるが、その責任は地位と個人の両方に分散され、結局は曖昧になる。官僚の失敗はめったに当人の責任にならない。
これはアイヒマンの論法である。何百万ものユダヤ人を殺した強制収容所の管理責任者アイヒマンがその責任を問われた。彼は、自分は官僚機構の一つの歯車にすぎなかったと弁明したけれども、判決は彼の主張を退けた。
日本の社会はこのような過誤に対しては寛大で、個人の判断の是非はいつも組織の中に消えてしまう。・・・なぜ責任確定に48年もかかったのか?官僚機構と大資本がかばいあった?国民は経済成長と引き換えにそれを黙認した?では水俣病の真犯人は日本の社会なのか?」
この池澤氏の問いかけはズバリ確信をついている。今日の日本の官民の醜態ぶりの真犯人は、実はこれまでの日本の社会そのものではないのか。そう考えた時、これからの日本を変えるのも変えられないのも、つまりは我々日本人の決意次第ということになるのだ。
◇◆ 横田早紀江さん「遥かなり母の戦い27年」 ◆◇
月刊現代12月号に横田めぐみさんの母である早紀江さんの表題のルポルタージュが出ていた。それを読んで涙を禁じえなかった。それとともに小泉首相の手により引き起こされた拉致問題の混迷振りと、なんとかそれを幕引きしようと躍起になっている官邸、外務省の作為にこの上ない憤りを感じた。
私の考えはもとより私個人の考えでありこのコラムの読者に自らの考えを押し付けるものではない。異論がある人は読まなければいいし、反論があれば歓迎する。自分の知識、認識に間違いがあれば素直に認めたいと思う。しかしどうしても譲れないことがある。その一つがこの拉致問題に対する私の小泉、外務省批判である。
拉致問題については私の考えに強い反論が寄せられる。その一つが北朝鮮に強硬姿勢で臨むことは米国がイラク攻撃を行ったのと同じ事となり平和を脅かす事にならないかというものであり、もう一つは日本が強制連行などで北朝鮮に行ってきた事を棚に上げて拉致問題だけをことさら批判する事は片手落ちであるというものである。
このような議論をこの期に及んでも声高に唱える人達と私の考えはおそらく決して交差する事はないであろう。まず、第一の点であるが、私は北朝鮮を軍事的に追い詰めることにはもとより反対である。話し合いによる解決こそ重要であると考える。しかし小泉首相にその決意はあるのか。なぜ彼は金正日に拉致問題の解明を自ら迫り最後まで追及しようとしないのか。もともと自分でしか解決できないと主張し二度にわたって訪朝しておきながら、その一部が帰国したからと言って幕を引こうとするのか、なぜ外務官僚にまかせてこれ以上解明できない方向にもっていこうとするのか。それは元々の動機が一部の拉致被害者の救出と引き換えに国交正常化を実現し手柄をたてようとする不純なものであったからだ。この点はあの石原慎太郎さえも21日のサンデープロジェクトで認めている。「ノーベル平和賞なって大した賞じゃない。いくら国交正常化を自分の手でしたくても、もう無理だ」と。
いまこそ小泉首相は、拉致家族の方々にひざまずいてその私心を侘び、自らの責任で全員の安否を確認するよう政治家としての誠意を尽くすべきである。そして彼らの生死を確認した上でなくなった人たちの死因をつきとめしかるべき国家賠償を行うよう金正日と交渉し決着を図るべきである。これ以上家族を苦しめてはいけない。人間としての最低のモラルである。
次に第二の点であるが、日本が北朝鮮に対して行った過去の過ちについては、この拉致問題以前の問題として、日本は早急に謝罪し、しかるべき救済措置をとるべきである。しかし靖国神社参拝にこだわる小泉首相にその意思も資格もない。だからこそ一日も早く小泉首相にかわるふさわしいこの国の指導者を擁立し国交正常化に向けた仕切り直しをするのである。金正日にその気があるのなら、拉致問題の全面解決と強制連行の補償を含めた国交正常化交渉を同時並行的に行うよう提案すればよい。小泉首相には金正日にもう一度直接あってそのような話し合いを国民の見ている前で行うべきなのだ。
そのような本気の交渉をすることなく、国民をあざむいて日朝共同宣言を行ったツケを尻拭いする事ばかりの実務者協議をいくら続けても物事は解決するはずがない。そしてその間にどれほど拉致家族に精神的苦痛を与え続けている事か。
今回の実務者協議で何が話されてきたのか。いくら隠そうとしても次から次へと事実が明るみになりつつある。仰々しく持ち帰ったコンテナはカラッポだったというではないか。チャーター機に乗る人数が少なかったので運行の時に機体のバランスを維持する為に乗せたという(21日付夕刊フジ)。そんなことははじめから説明しておけ。横田めぐみさんの夫と称する男のDNA鑑定に必要な毛髪や血液の提供は断られたというが、タバコの吸殻や写真を隠し撮りして持ち帰ったらしいといわれている(22日付日刊ゲンダイ)。もしそうであれば藪中局長はどうしてそれをいち早く公表しないのか。政府の内部資料によれば北朝鮮側は「拉致を認めない決断もあった」、「関係改善に前提条件をつけるのはよくない」などと、拉致問題の幕引きを強い調子で迫っていたという(20日付産経新聞夕刊)。これがどうして「北朝鮮なりに努力が見られた」という報告になるのか。めぐみさんの遺骨といわれるものの鑑定になぜそんなに時間がかかるのか。判定が出来る様態かどうかはすぐにでも分かるはずだ。それさえも明確にせずに時間をかける背景には様々な思惑が隠されているに違いない。つまりどの様なタイミングでどのような結果を公表すれば政府の次の外交に一番都合がいいか、知恵を絞ろうとするのだろう。いずれにしても多くの事実が国民の目から遠ざけられたまま、政府の工作が続けられている。しかしこれだけは言っておきたい。人の命の大切さと人の真心の尊さを裏切るような事を続けているとやがて因果応報を知ることになると。
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