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11月2日 メディア裏読み
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□★□ 天木直人 11月2日 メディア裏読み □
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◎ ウルグアイの国民が羨ましい
◎ 日米関係の何が緊密なのか
◎ 11月2日の新聞を読んで一口コメント
◇◆ ウルグアイの国民が羨ましい ◆◇
任期満了に伴う大統領選挙がウルグアイで行われ、野党の左派・進歩会議のタバレ・バスケス元モンテビデオ知事(64)が勝利宣言をした。当選が確定すれば1825年に独立して以来の保守系2大政党による政治が終わり、史上初の左派政権の誕生ということになるという。
このニュースを大手各紙は外報面で小さく扱うだけであった。せいぜい朝日が「ニュースの顔」欄で人物紹介をした程度である。しかし「しんぶん赤旗」は大きく取り上げた。共産党の機関紙が左派政権の誕生を喜ぶのは当然である。しかしそれを差し引いても、私はこの赤旗の記事から今度のウルグアイの選挙の意義についてあらためて勉強するところがあった。
170年も続いてきた米追随の保守2大政党を破るということは大変な政治変革である。しかも一回目の投票で過半数を占める勝利である。なにがウルグアイに起こったのか。それは米国からの自立と国民本位の政治をめざす南米の政治変革の強い流れの中で、生まれるべくして生まれた改革なのだ。少年時代から新聞配達や日雇い労働をして家計を助け、苦学してがんと放射線治療の専門医になったというバスケス候補は、選挙運動中の演説会で立っている老人を見つけると、演説を中断してイスを勧めたという。
そのバスケス候補が選挙事務所のバルコニーに姿を現し、「愛するウルグアイの国民のみなさん、勝利を祝ってください」と呼びかけた。「この日が来るのを何十年も待った。これでウルグアイは国民の為に奉仕する国に変わる。今日は本当に歴史的な日だ」と市民が答える。バスケス候補の当選を喜び、夜までモンテビデオ市内の街頭を埋め尽くす数万人の国民の姿を映し出す写真が掲載されていた。熱気が伝わってくるようである。
それに比べて日本の政治のよどみはどうしたことか。これほど日本があらゆる意味で行き詰まり、危機に陥っているにもかかわらず、疫病神のような貧相な首相の空疎なパフォーマンス政治に、「仕方がない」、「代わりがいない」、といって行動を起こそうとしないわが国の国民とウルグアイの国民の違いはどこにあるのか。つくづくと考えさせられるウルグアイの政権交代であった。
◇◆ 日米関係の何が緊密なのか ◆◇
「日米関係は重要である」、「日米関係は緊密である」という言葉は決まり文句である。特に小泉首相になってからは良く使われる。しかしその言葉を我々はあまりにも当然のように受け止めてきたのではなかったか。その中身を考えることがあっただろうか。そう思っていたときに11月2日の産経新聞を読んでいてハタと気付くことがあった。そうなんだ。いわゆる日米関係の重要性とは、軍事、安全保障上の観点から語られる重要性がその全てではないのかと。
経済、文化、社会、科学技術その他の分野において確かに日米関係は緊密である。しかしそれらはいわば民間企業や個々の日本人が自らの努力でそれぞれの相手先と築き上げてきたものであってことさら政府が強調するものではない。政府が強調する日米関係の重要性とは、日米同盟関係、しかも米国の軍事上の要請に日本が一方的に応じていくことに対する反発を隠すための道具ではなかったのか。
米国議会調査局アジア安保問題専門官のリチャード・クローニン氏は産経新聞のインタビューで次にように答えている(11月2日付産経新聞から抜粋)。
「・・・(テロとの戦いに備えた)在外米軍の再編の構想では、日本の占める比重は大きい。米陸軍を主体に考えれば、明らかに日本に新たなハブ(中枢)を確立したいということだ。・・・作戦の計画や司令のためのハブづくりだ。司令センターと呼んでもいい。その背景には、米国が同盟国として日本の信頼や依存を増している現実がある。ブッシュ政権が、日本にイギリスのような強力な同盟相手になって欲しいと願うのは事実であろう」
「米国にとって日本はいまや英国と同じくらい強固な同盟国である」というセリフは、アングロサクソン至上主義の日本の保守主義者にとっては自尊心をくすぐる殺し文句である。しかし米、英の本音は、日本は決して自分たちと同じ仲間にはなれないが、軍事的負担を押し付ける為にそうおだてあげておこうとする利己的な思惑である。
そういえば11月2日の日経新聞の外報面に「在欧米軍の再編、中東重視に」という記事が載っていた。その中でドイツの米軍を2万人削減し、ポーランド、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリアに移すという計画が明らかにされていた。要するに米国のテロとの戦いに文句を言わない、言えない国に、どんどんテロ攻撃の基地を移転していこうという事なのである。古いヨーロッパは文句をいうので新しいヨーロッパに基地を押し付けようというのである。さしずめ韓国はアジア版の古いヨーロッパで日本は新しいヨーロッパなのだ。日本はアジアの東欧なのだ。
そういえばこんな記事もあった。11月2日の毎日新聞、「米大統領選の焦点」という特集記事の一節である、「有志連合の優等生と言われるほどに理解を示したのが小泉首相だ。ブッシュとの付き合いにブレアはヘトヘトになっている。シラクは突っぱねたし、シュレーダーは完全に離れた。何とかやっているのは小泉さんくらい(首相周辺)。・・・自衛隊派遣延長問題はブッシュ氏の米国か、ケリー氏の米国かによって異なる。しかし、選挙結果で対米協力の内容がガラリと変わるとしたら、それは同盟ではなく、追従に過ぎない」
◇◆ 11月2日の新聞を読んで一口コメント ◆◇
◎ 産経新聞の論説「産経抄」は香田さんの両親を誉めそやしている。4月の拉致された高遠さんたちの家族と比較してこう述べているのだ、「・・・若者を支えた多くの人々に心労をかけたことを詫びて感謝の気持ちを述べ、さらにイラクに一日も早く平和が訪れる事を祈っていた。この春の日本人人質事件の家族の反応とは天と地ほどの差がある。若者に両親に似た分別と常識があれば悲劇は起こらなかったであろう・・・」要するに政府に楯突くな、小泉の悪口を言うなというそれだけのことである。
◎ 公安調査庁の職員を大使館へ常駐させて各国の情報機関と連携させるという話が浮上しているらしい。香田さん事件で十分に情報が取れなかった反省だという。外務省の権限がますます低下することになる。ただでさえ今の大使館はバラバラである。外務省の職員より各省のアタッシェのほうが多い。彼らは大使を通さずに直接親元の省庁の指示を仰いで行動する。ついに情報入手まで大使館の手を離れるとすれば大使館の仕事は何が残るのか。外務省職員の仕事が完全に空洞化していくということだ。
◎ 首相補佐官が任命されて一ヶ月以上も経つというのに彼らは何をしているのか。山崎補佐官は女性スキャンダルがらみで時々報道されるが川口補佐官に至ってはまったく記事になったことがない。人質事件の時くらい総理に代わってイラクにすぐ飛んでいくかと思っていたが名前すら出てこない。
と思っていたら1日に東京で開かれたアジア・アフリカ貿易投資会議の開会式に総理と並んで出席していた。こんなことは通産官僚の仕事である。川口補佐官がどんな仕事をしているのか新聞はもっと報道すべきだ。我々納税者は給与を支払っている以上説明責任を小泉首相に求める必要がある。
◎ ロサンゼルス発の共同によれば、ブッシュ大統領は中央情報局(CIA)がこれまで独占的に行ってきた他国の反政府勢力などに対する武器供与を、米軍が独自の判断で直接実行する事を認める法案に署名した事を報じている。
驚いた。CIAが武器を渡して政府転覆を図ってきた事はこれまでも指摘されてきたことであるが、これが公表されたことに驚いた。それよりもいままでは隠密にやっていたことが、米軍という政府の国防組織が反政府に公然と武器供与することを認める法案が成立するのだ。これを世界が問題にしないほうがおかしい。ここまで米国が世界の主権国家を無視する行動をとり、それを世界が許すというのか。
◎ ビートたけしの主演する「血と骨」という映画が盛んに宣伝されている。実に不愉快だ。暴力以外に何があるというのか。そもそも私はビートたけしの暴力性にかねてから疑問を感じてきた。彼の座頭市は勝新のそれとは天と地の違いだ。勝新には弱者に対する優しさがあった、悲しさがあった。何よりも不正に対する怒りがあった。それに引き換えビートたけしのそれは暴力と残虐性しかない。私はマスコミに踊らされて追従する気はない。どこが良いというのだ。暴力を振るって偉そうな顔をするな。鈴木京香とかいう女優とのカラミが宣伝されているがそれは単なるセクハラではないのか。つまらないものはつまらないのだ。
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