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【奇っ怪ニッポン】
2004年10月7日 掲載
亀井静香氏の哲学に密かに敬服
http://www.gendai.net/contents.asp?c=025&id=16266
「日本の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する長野県に於いては出来得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない」との「『脱ダム』宣言」を発したのは、2001年2月20日です。
が、実はその半年前に当時、自由民主党の政調会長を務めていた亀井静香氏は、島根県の中海干拓や徳島県の吉野川可動堰を含む、全国270カ所の大型公共事業を中止するべき、と唱えています。総額2兆8千億円。その意味では、元祖「脱ダム」政治家は静香ちゃん人形だったのです。
その絵解きを得意気に行う輩(やから)が当時も居ました。曰(いわ)く、宰相経験者・竹下登の金城湯池だった島根県の公共事業に手を突っ込み、中止させたのだ、と。建設族ではなく運輸族だったから、ダムを始めとする河川、砂防関係の予算を、新幹線を始めとする交通関係に回そうとしたのだ、と。
加えて、彼は都市部の電線地中化を推進し、新たな公共事業を編み出そうとしたのだ、とも。否定的に捉(とら)えるのは簡単です。ですが、その名も砂防会館に陣取った田中角栄から竹下登へと連なる旧来型の公共事業利権を断ち切り、新しい公共事業の在り方を模索した点を、寧(むし)ろ積極的に評価すべきではないか、と僕は思うのです。
今年62歳の李明博ソウル市長は、21世紀型の公共事業を構築する政治家です。現代建設の社長に36歳で上り詰め、「漢江の奇蹟」と呼ばれた韓国の高度経済成長期にはブルドーザーの異名を有した彼はハンナラ党の国会議員からソウル市長へと2年前に転身。日本の統治時代に暗渠(あんきょ)化した清渓川の復元を公約に掲げたのです。40年前に建設された暗渠の上の6kmに亘(わた)る高架道路を取り壊し、近自然工法で川を取り戻す計画です。当初、周辺の商店主や運輸関係者から猛反対を受けました。しかし彼は、就任1年後に工事を開始し、2カ月で撤去。来年秋には完了します。
早くも目に見える変化が齎(もたら)され、軌を一にして、待ち望む世論が高まってきています。と同時に彼は、返還される米軍基地跡地も、集合住宅や商業施設ではなく緑地化する、と公言しています。
造園は、建築以上に利幅が大きな事業だから、と口さがない向きは語ります。実際、そうかも知れません。しかし、殺伐としていたソウル市内が、自然を取り戻していくベクトル自体は、間違っていません。
富国強兵的な公共事業から経世済民的な公共事業への転換が、隣国では図られているのです。郵政民営化などという、最早、誰も関心を抱いていない「改革」の前に、こうした脱・物質主義の宣言を小泉ワンワン宰相も行えば良いのにね。と、亀井静香氏の哲学に密(ひそ)かに敬服する僕は、思います、です。【田中康夫】