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10月7日 ◇◆ これで決まり、米国産牛肉の再開 ◆◇どこもかしこも役人の犯罪だらけ ◆◇
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□★□ 天木直人 10月７日 メディア裏読み □
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◇◆ これで決まり、米国産牛肉の再開 ◆◇
政治決着という言葉は便利なものである。いかなる未解明の問題でもこの言
葉の前には黙ってしまう。米国の狂牛病の検査についての疑問がまったく解決
されないままに、あっさり輸入再開の決定がなされるのである。こういうこと
になることは最初からわかっていたことだ。以前にもこの欄で指摘した。だか
ら今更驚きもしない。しかしである。それにしてもあまりにもあざとい決着ぶ
りではないか。
9月21日のニューヨークでの首脳会談でこの問題がブッシュ大統領から提起
されていたことは当時の報道で我々は知らされていた。しかしあの時の報道で
は小泉首相は、「食の安全の問題で、科学的に判断する問題だ」と反論したこと
になっていた（9月30日付読売新聞）。
ところが6日夜のテレビ番組「ワールドビジネスサテライト」の特集番組で
はまったく違った報道になっていた。つまりすべては9月21日の首脳会談で政
治決着されていたのだ。小泉首相がいつものようにブッシュ大統領の顔をみて
条件反射のように「ワン（承知しました）」と答えていたのだ。農水省の役人は
科学的根拠の無い早急な決着には反対であった。しかし科学的なことは理解せ
ず権限もない外務省は例によって日米追随と小泉追随で早く決着をつけたがっ
ていた。
そこへ先般の内閣改造で農水大臣が島村宣伸という男に替わった。この島村
という男、大臣にまでなっておきながら平成12年の選挙で落選し、とっくに上
がりの政治家かと思っていたら昨年の選挙で戻ってきた。しかも先般の内閣改
造で小泉首相の言うことに何でも従うという踏み絵内閣の閣僚になった。そし
て最初にしたことは小泉首相の意向に従った米国産牛肉の早期解禁である。
それにしても島村大臣のワールドビジネスサテライトの発言はひどかった。
あれ程騒いで導入してきた全頭検査を、ばかげたものだ、常識で判断しろ、少
しぐらい疑わしい肉を食ったところでなんともない、などとすごんでみせたの
である。その島村も5日の衆院農水委員会では共産党の高橋千鶴子議員の質問
に対しては神妙に「全頭検査が国民の安心につながっているのは事実です。国
民の納得が得られる環境が確保される中で、見直されるべきだと考えています」
と答えている。なんだ、言っている事が違うじゃないか。国会では農水官僚の
書いた答弁を読み上げてお茶を濁し、テレビでは本音をぶちまける。もっとも
低劣な政治家だ。
テレビでは吉野家の社長とか業界の連中が勢いづいて、全頭検査はおかしい
と気勢をあげていた。その一方で国民の8割は不安であると思っているという
世論調査結果も報告されていた。年金法の改正案の時もそうであったが、いく
ら国民が反対しても、民意を無視した政策がまかり通るのがこの国の政治であ
る。
そう思っていた矢先の10月７日付け読売新聞を読んでさらにびっくりした。
消費者団体から全頭検査の見直しに不安の声が出ていることにより、多くの自
治体が独自で全頭検査を継続するという。そこでこれに政府が費用助成までし
てサポートするというのである。完全な二重基準である。そうなれば国内市場
で米国産牛肉が受け入れられる可能性は低くなる。従って年内の輸入再開も難
しくなるという。混乱の極みである。
考えてみるが良い。もしこれが米国以外の国からの要請ならば農水省はまっ
たく相手にしなかっただろうし、外務省は関心も示さなかったに違いない。そ
れがこと米国のゴリ押しになったとたん国内をあげての大騒ぎである。すべて
がそうだ。安全保障問題しかり、金融問題しかり、構造改革しかり。我々はこ
こらで真剣に日本の国の在り方を自らの手で決めて行かねばならない。
◇◆ どこもかしこも役人の犯罪だらけ ◆◇
最近はほぼ毎日のように役人に絡んだ犯罪が新聞紙上をにぎわしている。も
う我々は麻痺させられてしまっているかのように声をあげなくなっている。5日
の新聞に出ていた記事を数えてみた。ざっと目を通しただけでも次の通りの報
道がなされていた。見落としているものがあればもっと多いかもしれない。
１．会員制月刊誌「選択」の子会社「選択エージェンシー」をめぐる汚職事件
で、贈賄罪に問われた同社社長の尾尻被告に、東京地裁は懲役一年六ヶ月、
執行猶予三年を言い渡した。尾尻被告は、すでに収賄罪で検察側から懲役
三年を求刑されている厚生労働省広報室室長補佐の森隆行被告に、わいろ
を提供していた。
２．大手食肉卸「ハンナン」元会長浅田満被告の第四回公判が5日大阪地裁で
開かれた全国食肉事業協同組合連合会も「農水省と同様、少々の不正に目
をつぶる慣行があった」と述べた。
大阪府がすすめる宅地開発事業の隣接地で「ハンナングループ」も宅地開
発を行い、現地への進入路整備費を大阪府住宅供給公社が負担していたこ
とがわかった。･･･5日の府議会で共産党の岸上議員が「特別な便宜をはか
ったのではないか」と質したが、太田房江知事はハンナン側への便宜を否
定した。
３．厚生労働省兵庫労働局の汚職事件で、収賄容疑で逮捕された齋藤剛容疑者
が「上司のために資金を一生懸命集めるのがばかばかしくなった」と関係
者に話していたことが5日、わかった。
４．府議会で明らかにされた裏金疑惑について、京都府警は4日、内部調査の
中間報告を発表。約4,300万円が不適切にプールされていたとする一方で
「個人の不正使用はなかった」と釈明した。･･･しかし全容解明には程遠く
調査の不透明性を高める為、第三者機関設置の必要を説く声もあがってい
る。
５．鉄で出来た「鋼橋」を扱う大手企業が、国や日本道路公団、東京都などが
発注する公共工事の入札をめぐって談合を繰り返していた疑いが強まり公
正取引委員会が立ち入り検査を始めた。
６． 大阪市の第三セクターによる輸入ブロッコリー偽装事件で、第三セクター
が、当初協力を拒否した下請け業者を説き伏せ、詰め替え作業をさせてい
たことが4日、大阪府の調査でわかった。
勿論これ以外にも北海道警の裏金問題や仙台高検の調査活動費の流用疑惑が
オンブズマンの情報公開請求により明らかになったことなど、限りない事件が
報じられているのであるが、たった一日の新聞記事でこれだけの公務員の不性
疑惑が報じられているのである。いずれも官庁が監督者であるとか一方の当事
者であるとかの形で関係している。監督不行き届きや立証されていないが関与
の疑いのあるものを含めると、罰せられることなく放置されたままに沙汰ヤミ
になっている公務員の犯罪は数知れないであろう。
これが政治家がらみになるともっとひどい。最近では橋本龍太郎の弟の橋本
大二郎高知県知事が「後援会長から選挙資金として1億円を借りたが、その後、
県が発注したダム建設工事を談合で発注した業者から裏金を集めて返済した」
（地元紙）と報じられた。
小野清子前国家公安委員長が家政婦を10年間も公設秘書にしていたという事
件も本人の否定でうやむやになっているが、もっと驚いたのは第二次小泉改造
内閣で留任した小池百合子環境相が秘書給与を詐取していた証拠となる「告白
テープ」が流出しているという。発売中の週刊新潮10月14日号の記事である。
辻元清美が逮捕された時、「小池さんもやっているのに、なぜ、私だけ･･･」
と報道陣の前で愚痴っていたほど、永田町では周知の事実であったという。も
しこれが本当ならば、発足したばかりの小泉内閣は総辞職ものではないのか。
「泥棒国家の完成」、「ヤクザリセッション」、「日本がアルゼンチンタンゴを
踊る日」などの著書において、この国が政治家と官僚と業界とヤクザのもたれ
あいによって支配されていると警鐘を乱打しているベンジャミン・フルフォー
ド記者（米経済誌フォーブズアジア太平洋支局長）はかつて私にこう言ってい
た。
「どこの国でも不正は行われている。しかし先進国の中で日本ほど不正が広
く、深く、当たり前のように浸透している国は見たことがない」。
http://homepage3.nifty.com/amaki/pages/ns.htm
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。