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円高とドル安は似て非なるものだ。今日、円高が進んでいるように見えるが、実はドル安であって、円は全通貨に対してみると円高になっていない。例えば、02年初から最近までに、ドル円は131円から100円近くにまで、2割以上ドル安円高になったが、ユーロに対しては115円前後から136円台へとむしろ円安になっている。この結果、日本の貿易ウエートによって各通貨を加重平均し、それぞれの地域のインフレ率格差を調整した円の実質実効レートは、この間横ばいで、必ずしも円高になっていない。
その点、やはりドル円が102円まで進んだ99年や、静かに100円割れをみた94年とは事情が違う。当時の円は、他の通貨に対しても上昇したため、実質実効レートでみても大幅な円高であった。
例えば、98年夏から99年末にかけては、ドルは147円から102円まで2割強安くなったが、この間の円の実質実効レートも約2割円高になっていた。その前の90年から94年にかけては、ドルが160円から100円に4割弱安くなり、円の実効レートは3割強円高になった。いずれも円は全面的に上昇し、文字通り円高であった。
しかし、今回はドルと他の通貨とが相殺して、全体での円は安定し、94年や99年末と比べると、現在の実質実効レートは約2割、円安になっている。
ドル円が102円台になっても企業から悲鳴が聞かれないのはこのためだ。米国向け輸出の採算が悪化しても、欧州向けやその他地域の採算改善でカバーできている。また大幅円高となった94年、95年当時でも、実質ベースの輸出は5%程度の増加を維持していた。今くらいの為替で輸出が出来なくなるはずがない。夏場から輸出が伸び悩んだのは円高のせいではなく、現地の需要鈍化に起因する。その海外需要もまた回復気味だ。今日の円高をもって景気の先行き不安を説くのはミスリードだ。(千) (12/06)