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http://www.nier.co.jp/kijikanri/news/news-00530.shtml
内需はなぜ拡大しないのか
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(2004年11月10日 日本経済新聞(夕刊)「十字路」掲載)
企業収益は改善しても内需は拡大しない。
リストラによる人件費の削減が収益改善の主因だからである。
人件費の削減によって、家計所得が減少し、消費の不振が続けば、
国内向けの投資が増えるはずがない。
日本の景気は輸出の好調によってのみ上昇できるのである。
2003年度の法人企業統計年報によると、非金融法人の従業員総数4250万人のうち、
51%が資本金1000万円から1億円の中小企業、21%が1000万円以下の零細企業で働いている。
合計72%である。一方、1人当たり人件費は資本金10億円以上の大企業の740万円に対して、
中小企業が380万円、零細企業は280万円である。
しかも、名目国内総生産(GDP)がピークを打った97年度から2003年度にかけて、
1人当たり人件費の低下は、大企業の1%に対して、
中小企業で9%、零細企業では15%にもなっている。
大企業のなかでも、製造業は例外的に8%増えているが、非製造業では7%の減少だ。
大企業製造業の従業員数は全体の7.3%だが、
この部分だけが賃金上昇を獲得できているのである。
このような状況では、消費が部分的に盛り上がることはあっても、
全体として拡大していくなどありえないことだ。
原油価格の高騰のなかで、
米国の消費ブーム、中国の投資バブルの沈静化が進むとともに、
輸出が落ちて、景気が急激に悪化していくことは避けようがない。
明らかに、改革は何も進んでいないのである。
経済政策も金融政策も、景気の動向に一喜一憂するのではなく、
もっと根本的な構造問題に対応すべきではないか。
雇用をいかに増大させるか、
これ以上の労働分配率の低下をいかに食い止めるか、である。
本来の改革論議に回帰すべきなのである。