現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産37 > 665.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
(回答先: 景気減速、政府・与党にじわり慎重論・定率減税の縮減廃止 [日本経済新聞]【国民生活ではなく経済指標が判断基準という倒錯】 投稿者 あっしら 日時 2004 年 11 月 13 日 14:02:46)
景気が心配だから、所得税・個人住民税への定率減税は継続すべきだ。やめるべきではない。そういう声が強い。もっともに聞こえるが、正しい選択だろうか。
結論から言えば、定率減税は縮減・廃止に向かって歩み始めるべきだ。やり方には工夫の余地があるだろう。また、歳出の規模と構造の厳しい見直しが前提だ。しかし、定率減税に何も手をつけず見送るようでは、100年待っても財政再建はできない。
定率減税は非常の策だった。山一証券や日本長期信用銀行など大型の企業破たんが相次ぎ、日本経済はデフレの渦の中、沈没しかねなかった。そういう緊急事態を背景に、当時の小渕政権が所得税額の20%、個人住民税額の15%を割り引くことにした。減税額は上限の納税者で年間29万円。減税規模は年間3兆3000億円だ。
5年たって世の中は平穏にもどり景気も回復した。他方、財政は先進国で最悪となった。国と地方の債務残高は719兆円と、国内総生産の1・4倍にのぼる。財政破たんは目前だ。
財政再建の第一歩として、政府税制調査会は、定率減税を廃止する税制改正案を表明した。定率減税は非常緊急の景気対策だったのだから、ごく常識的な着手だろう。しかも、政府税調は景気に配慮し、いっぺんに廃止するのでなく、06年から2年間で段階的に廃止することを提案している。
定率減税は三位一体改革とのからみでも廃止する必要がある。三位一体改革で所得税から個人住民税に税源移譲が行われることになっている。しかし、定率減税という税額控除が残っていては、税源移譲が難しくなる。減税が必要なら定率減税でなく、税源移譲と一体であらたに仕組みなおすのが筋である。
景気はどうだろう。先行きが心配だというのも分からないではない。デジタル家電ブームも日本経済の魔法のつえではない。中国や米国の先行きも不透明だ。
97年の「悪夢」の再現をいう人もいる。当時の橋本政権は消費税率と社会保険料を引き上げた。折からのアジア通貨危機と重なり、日本経済は未曽有の金融不況に突っ込んでいった。今回もその二の舞いになるのではないか、というのである。懸念があるなら慎重に見極めればよい。しかし、不良債権漬けだった97年と現在では状況が異なる。
経済は常に不安を抱えているものだ。遠くの空に雲がわくたびに豪雨を心配して旅立ちを延期しては、いつまでも出立できない。そして、なにもしないことのリスクに思いをいたすべきだ。
日本経済の最大のリスクは巨額の国債残高だ。日銀の量的緩和政策でかろうじて価格支持されているが、いつ暴落し金利が急騰しても不思議ではない。この危険な状態から一刻も早く抜け出す必要がある。財政再建に誠実に取り組み財政への信認を高めるのが唯一の答えだ。定率減税問題で問われているのは財政再建の覚悟である。
毎日新聞 2004年11月14日 東京朝刊
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/gyousei/news/20041114ddm005070134000c.html