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(回答先: 7-9月GDPは減速鮮明、前期比0.1%増、年率0.3%:外需が減 [ブルームバーグ] 投稿者 あっしら 日時 2004 年 11 月 12 日 15:13:10)
04年7〜9月期の実質成長率は0.1%(年率換算0.3%)とわずかな伸びにとどまり、景気の先行き不透明感は一段と強まった。景気は「踊り場」で一息ついた後、2%程度とされる潜在成長率に収れんして安定成長を続けるのか、このまま後退に陥るのか。エコノミストの見方は分かれ、景気は微妙な段階に入ったことを示している。財政健全化を進める政府や、金融の量的緩和策の出口を探る日本銀行は、景気への影響をにらみながらの慎重な政策運営を迫られそうだ。
◇IT投資、ピーク越え
エコノミストの事前予想の多くは、輸出の落ち込みが成長率を押し下げるものの、民間設備投資と個人消費の伸びで吸収し、成長率は前期から持ち直して0.4%程度を確保すると見ていた。しかし、実際には設備投資はマイナスに転じ、今後の成長に不安を残す結果となった。
エコノミストが注目するのは、景気回復を下支えしてきたIT(情報技術)産業の軟化だ。大和総研の牧野潤一シニアエコノミストは「(半導体業界の景気循環である)シリコンサイクルや米国のIT投資がピークを越え、調整局面に入った」と分析。デジタル家電向けは、なお活発だが、IT産業全体では大型投資は一巡した感があり、設備投資は一進一退しながら進みそうだ。
個人消費も盤石と言えない。厚生労働省の調査では、1人当たり賃金はなお前年を割り込んで推移し、冬のボーナスも前年より減少する見込み。「今年度後半には厚生年金保険料率の引き上げなどで可処分所得は下押しされ、消費の伸びは低下する可能性が強い」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎シニアエコノミスト)との見方が多い。
ただ、残り2四半期をゼロ成長で通しても、04年度の実質成長率は潜在成長率並みの2.5%を確保できる。河野龍太郎BNPパリバ証券経済調査部長が「米国では原油価格高騰が経済に与える影響もそれほど深刻ではなく、景気は7〜9月に持ち直した。設備投資の伸び悩みも個人消費で吸収できる」と話すように、このまま後退局面には入らないとの見方もある。米国や中国経済が安定し輸出が回復すれば、日本経済は潜在成長率並みの「巡航速度」(内閣府幹部)で回復軌道を進む可能性も残り、外需の動向もカギになりそうだ。
◇経済界は警戒感
経済界は景気の先行きについて警戒感を強めている。日本商工会議所の山口信夫会頭は「個人消費はまだ堅調だが、景気回復を支えてきた輸出拡大のペースが鈍化している。原油価格は高止まり、米国の双子の赤字増大など為替相場に対する影響も無視できない。政府は、景気に水を差すような増税、緊縮政策を慎むよう望みたい」と要望した。
日本経団連の奥田碩会長は「雇用環境の改善に伴い個人消費が緩やかに増加を続け、設備投資も堅調な企業業績を背景に持ち直し、いずれ踊り場を脱する」と予測。それでも、「米国や中国をはじめとする世界経済の動向や原油価格など不透明な要素が多く、予断は許されない。金融緩和を維持し、規制改革などを加速する必要がある」と指摘した。経済同友会の北城恪太郎代表幹事も、政府に対し「経済情勢を見極めた慎重な政策と、企業活動を活性化する規制撤廃や緩和、新規事業創造支援を加速してほしい」と要望した。【高橋秀郎】
◇定率減税の縮減・廃止に影響も
竹中平蔵経済財政・郵政民営化担当相はGDP発表を受けた12日の会見で、定率減税の縮減・廃止に関し、「財政健全化は中長期的な観点で重要だが、財政の論理だけで経済が運営されると誤ったことになりかねない。マクロ経済と財政の論理を整合させるのが経済財政諮問会議の役割だ」と述べた。「増税論議は消費者心理に冷や水をあびせ、個人消費を抑制するリスクを否定できない。ムダな歳出の抑制が先決だ」(エコノミスト)といった市場の声を意識したものだ。
一方で、政府税制調査会(首相の諮問機関)の石弘光会長は「今の状況がそのまま下降して続くとは思えない。先行きの政策決定にそう決定的な役割を与えない」と述べ、定率減税の縮減・廃止論議に影響はないとの考えを示す。谷垣禎一財務相も「景気動向は大きな流れを見ていくのが基本だ。今回のGDPだけでどうこうという判断はしていない」と、クギを刺した。
足元の経済状況は、05年度の予算編成のベースになる政府の経済見通しも左右する。成長率の見積もりは税収見通しに直結するため、景気が後退すれば財政健全化路線を揺さぶることにもなりかねねない。今後、諮問会議で年末の05年度予算編成に向けた議論が始まるが、政府内に意見対立を抱え、財政政策のかじ取りは一段と難しくなった。
◇日銀は楽観姿勢崩さず
日銀は10月末に発表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で、持続的な景気回復を前提に05年度には消費者物価が緩やかなプラスに転じるデフレ脱却へのシナリオを打ち出したばかりだが、景気回復の2本柱の「外需」と「企業の設備投資」がぐらつく中で、シナリオは下方修正を迫られかねない状況だ。
「1月の展望リポートのレビュー(中間評価)で景気見通しを下方修正する可能性はゼロだと確信している」。福井俊彦日銀総裁は11日の講演で、景気の先行きに楽観的な見通しを重ねて強調した。さらに、景気回復の持続に伴い05年度後半にかけて、消費者物価が緩やかに上昇していく見通しを示したうえで、06年度までには量的緩和解除条件が整うとの期待感を表明した。
しかし、7〜9月期のGDPの発表を受けた金融先物市場の動きをみると、市場では、05年度の量的緩和解除観測は完全に消失。外需の一段の減少や国内IT産業の在庫調整の長期化による景気後退を見込んで、「08年度まで解除はない」(みずほ証券)との見方さえ出ている。景気の先行きに対して楽観姿勢を崩さない日銀と、警戒感を強める市場とのギャップの大きさは、量的緩和解除への道のりの険しさを象徴している。【竹川正記】
毎日新聞 2004年11月12日 22時20分
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/seisaku/news/20041113k0000m020131000c.html