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10月22日(ブルームバーグ):元財務官の榊原英資・慶応大学教授は22日、ブルームバーグ・ニュースとのインタビューに応じ、米国では金融当局者を中心に過去最大の規模に膨らんでいる経常赤字への問題意識が高まっており、ドル・円相場は向こう1〜3カ月の間に1ドル=100円までドル安・円高が進む可能性が高いとの見通しを示した。
榊原氏は10月初めに訪米した際、「米金融当局者らがほとんど例外なく、経常収支の赤字をこれまで以上に強く問題視しており、一様にどこかでドルが下落すると見込んでいる。米政策当局や市場が為替相場の調整に目が向いていることに間違いない」との印象を受けたと説明。米景気が減速しつつあるなかで赤字問題はドルにとってネガティブ要因との見方から、主要通貨に対して緩やかにドルの下落が続くリスクが強まっている述べた。
こうした状況を踏まえて、榊原氏は米大統領選前後に日本の当局が介入に動きにくいとの見方も相まって、ドル・円相場は「向こう1〜3カ月に1ドル=100円を目指して展開する可能性は極めて高い」とみている。
米国の経常赤字額は第2四半期(4?6月)に1662億ドルまで拡大し、第1四半期の1472億ドルの赤字を上回って過去最大となった。さらに、対GDP(国内総生産)比で5.7%まで達している。
榊原氏はことし7月の時点で年末までに1ドル=120円までドル高・円安が進むと見込んでいたが、「当時は日本経済に対する期待が高まっていた状況から、夏にピークに達した景気回復に対するネガティブサプライズを想定して失望感からの円売りを予想した」と説明。
現在は予想以上に原油高が継続する可能性が高まっていることを背景に、米国経済に対して来年の4%成長見通しや政策金利が3.5〜4%程度の中立水準まで戻されるといった見方は楽観的過ぎるとして、逆にドルのネガティブサプライズが生じるリスクが高いことがドル先安観の理由としている。
米大統領選
榊原氏は11月2日の投票日が迫っている米大統領選について、共和党候補のブッシュ大統領と民主党候補のケリー上院議員の勝敗が「現在は五分五分の状態で、結果はわからない」としたうえで、ケリー氏が勝利した場合は、富裕層の増税や軍事関連の予算削減など本気の財政再建を進めると指摘。このため、就任後の6カ月から1年の間に短期的に米景気は悪化し、ドル・円相場は同時期に最大1ドル=95円までドル安が進む可能性があると予想した。
また、大統領選後の金融政策については、「ケリー陣営にはドル高論者が多いが、景気がある程度縮小してドル安が進めばそれをビナインネグレクト(放置)する姿勢がとられる公算が高い。また、ブッシュ大統領が再選された場合も、ドル安は問題ではないため、阻止はしない」として、どちらの候補が勝利しても緩やかなドル安が容認されるとの見通しを示した。
政府・日銀の介入姿勢
円高が進行した場合の政府・日銀の対応について榊原氏は、「(財務省の)渡辺博史財務官は戦略的に行動する」としたうえで、継続的に大量の円売りで特定の水準を防衛する介入を実施する可能性は低いと言明。
榊原氏は、「原油価格の上昇局面では、円高は日本経済全体に大きなメリットがある。円が1ドル=80?90円をうかがう展開となれば、日本の輸出業者に非常に問題があるが、日本の輸出競争力が高まっていることなどから、為替レートの変動は10?20年前と比べるとインパクトは少ない」と指摘。100円前後までの円高は日本経済に悪影響はないとして、同水準までは当局が静観する可能性が高いとみる。
また、政府・日銀が2003年から04年3月にかけて実施した円売り介入をブッシュ政権は事実上黙認。仮にケリー氏が政権を獲得した場合、日本の当局に対してどのようなスタンスをとるかが注目されるが、榊原氏は「円に対する切り上げは要求しないものの、介入するなという圧力はかける可能性がある」とみている。
記事に関する記者への問い合わせ先:
東京 三浦和美 Kazumi Miura kmiura1@bloomberg.net
ジョン・ブリンズリー John Brinsley jbrinsley@bloomberg.net
記事に関するエディターへの問い合わせ先:
進藤一州 Kazukuni Shindo kshindo@bloomberg.net
Beth Thomas bthomas1@bloomberg.net
更新日時 : 2004/10/22 14:25 JST
http://www.bloomberg.co.jp/news/commentary.html