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(回答先: ダイエー再建問題、貸し手責任は生じない=三井住友銀頭取2004年 10月 19日 【ロイター】 投稿者 hou 日時 2004 年 10 月 19 日 21:02:26)
「機構(活用)を受諾!」。13日午後6時過ぎ、電話で経済産業省担当の同僚の叫びを聞いた瞬間、私は一気に力が抜けた。「倒産という最悪の事態を避けられて良かった」。その言葉しか思い浮かばなかった。
ダイエーは私にとって常に気になる企業だった。経済部記者としての10年余り、断続的に同社の取材にかかわってきた。大阪で過ごした子どものころは、「スーパーと言えばダイエー」という時代だったから、実生活では30年以上の関係だ。それだけに「ダイエー取材」への思い入れは強かった。
結論として、私はダイエーが公的資金を活用した産業再生機構の支援を要請したことはやむを得なかったと思う。今のままのダイエーでは5年後、10年後の将来はない。抜本的再生に踏み切る最後のチャンスだ。「民間主導で再建できる」というダイエーの主張も理解できる部分はあるし、理論上は成功する可能性があったかもしれない。しかし、債権放棄を含めた3回目の金融支援が必要という現実を考えれば、再生機構活用以外の手段は残されていなかったと思う。
銀行とダイエーの度胸試しにも見える“チキンレース”は異例の展開をたどった。8月に入って、再生機構活用を求める主力取引銀行3行と「民間主導の再建を」と主張するダイエーの対立は日を追うごとに強まった。01年と02年の2回、実質5200億円の金融支援を受け、さらに新再建計画で3回目の金融支援を受けようという企業が主力行と全面対決するという異常事態になった。
ダイエーの高木邦夫社長に近い関係者は「高木は本気で銀行に抵抗するつもりです。『落としどころ』はありません」と語っていた。その強気の背景には、「銀行はダイエーをつぶすわけにはいかない。結局は3回目の支援にも応じる」という読みがあった。
しかしその読みは外れた。銀行は本気だった。「再生機構を活用しなければ、金融支援はできない」と繰り返しダイエーに通告した。ダイエーはなおも抵抗を続け、海に向かって走るチキンレースの2台の車は岸壁の寸前まで来た。だれもが「危ない」と目を閉じた瞬間、高木社長は先にブレーキを踏み、会社更生法や民事再生法などの法的整理(事実上の倒産)に踏み切るという最悪の事態は回避された。法的整理になれば、店舗や従業員は混乱し、ダイエー向け債権は大幅にカットされ、取引先も金融機関も大きな痛手を負う。
私は、銀行の主張が絶対的に正しかったとは思わない。これまで抜本処理を先送りし、ダイエーに「甘え」を植え付けておきながら、最大の主力行のUFJ銀行が大幅赤字に陥るや今度は、「政府の不良債権比率半減目標達成には不可欠」として、一方的に再生機構の活用を求めた態度は利己的と言わざるをえない。
ただ、3回目の金融支援は通常では認められないものだ。中小企業では1回の金融支援さえ受けられず、倒産や廃業に追い込まれるケースが多い。ダイエーが倒産すれば、雇用や地域経済に影響が出ることを考慮しても、3回目の金融支援を認めるにはよほど高いハードルの設定が必要だ。公的機関である再生機構が関与し、だれにでも説明できる手続きを経て再生を進める方が妥当だ。
再生機構のもとでダイエー再生が本格化すれば、流通業界の競争は一気に激化する。スポンサーの座をめぐる争奪戦も始まる。競争のメリットを享受するのは消費者だ。より良い商品がより安く買えるようになる。くしくもそれは、ダイエー創業者、中内功氏が標ぼうした「流通革命」の発展形のように見える。
ダイエーは、再生機構、スポンサーという外部の知恵と、50年近い経験で得た自らのノウハウを組み合わせ、今よりもっと消費者に役に立つ店を作ってほしい。同業のイオンやイトーヨーカ堂も総合スーパー(GMS)からの客離れに苦しんでいる。
ダイエーの抜本再生には店舗閉鎖や事業売却など血を流すリストラが避けられないが、もしGMSを活性化するビジネスモデルを作ることができれば、逆転も夢ではない。
私は小学生のころ、ダイエーに行くのが楽しみだった。豊富な品ぞろえと安い価格。文房具売り場などは何分いても飽きなかった。時代は変わっても、消費者が店に求める「ワクワク感」は同じだ。今回のダイエーの決断が、「何でもあるが買いたいものは何もない」と言われて久しいスーパーから、ワクワク感のあるスーパーに脱却する契機になることを期待している。
毎日新聞 2004年10月20日 0時04分
http://www.mainichi-msn.co.jp/keizai/kigyou/news/20041020k0000m070154000c.html