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Re: 「実証主義」と現代史についての一考察(4)
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投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2005 年 4 月 03 日 08:41:45: SO0fHq1bYvRzo
 

(回答先: Re: 「実証主義」と現代史についての一考察(3) 投稿者 バルセロナより愛を込めて 日時 2005 年 4 月 03 日 08:40:47)

「実証主義」と現代史についての一考察(4)


さて、今までのように批判ばかりしていても話になりません。新しい概念や方法を提唱しない限り建設的な議論にはならないでしょう。

このシリーズの(3)で私は次のような私自身の言葉を引用しました。
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したがって、先ほど述べたように「何が真実か」は、その出来事と、その前後に続く一連の物事との間に貫かれる「ある意図」を検出することによってもまた、明らかにされる可能性がある、と私は思う。歴史を一枚の織物として、物理的・地理的要因を「横糸」とすれば、人間(注意!歴史の登場人物および歴史を記述する人物の双方!)の主体的な意図が「縦糸」、というように見て、その双方の「糸」の表面と裏面でのつながりを見抜いていく中で「何が真実か」が発見可能ではないか、と思う。
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上記の「意図の検証」が新たな提案です。ただしここで注意していかねばならないことがあります。人間は自らの欲を実現させるために権力を欲します。そして暴力を用いていったん権力を握ったら、暴力装置と法体系、情報装置を掌握してその権力を維持します。そのような権力を握る人間の持つ「意図」と、権力を持たずに支配される側の人間が持つ「意図」を、絶対に同列に置いてはならない、ということです。

たとえば、こそ泥やスリでもその行動を起こす「意図」がありますし、ブッシュやシャロンにも彼らの言動を作る「意図」があります。この両者の「意図」を同列において、「確たる証拠も無いのに裁いてはならない」などと、決して言えないでしょう。

こそ泥やスリには自分の犯罪をもみ消したり他人の罪を捏造する力は非常に弱いものであり、やってもすぐにばれる程度のことしか出来ないのが普通です。しかし権力を握る者(集団)は違う。自らの犯罪をもみ消し、他人になすりつけ、それを多数の人間に信じ込ませることくらい朝飯前に出来る立場です。そのために、暴力装置と情報装置を掌握しているわけですから。ということは、よほどそれにストップをかけるより強大な権力が無い限り、あるいはそれをやると自分の権力にとってよほど不都合な事態が起こるのでない限り、必ずやる!という意味です。

したがって、権力を握る者(集団)の「意図」は高い確率で検出が可能であり、それが文書資料や物証と同等、あるいはそれらよりもはるかに高い「証拠能力」を持つ、と断定すべきです。これをこそ泥やスリの「意図」の検出と同等に置いて「確たる証拠は無い」などと言うから似非科学になってしまうのです。紙の上に書かれた文字や物体だけを「証拠」として考え、そのうえで「実証的」などと言うから擬似科学になってしまうのです。そんな偽科学の信奉者の眼が現実に起こっていることに対して節穴になるのは当然だ、といえるでしょう。私の主張は、「権力を持つ側の意図の検出」を科学的な手段として明確に位置づけよ、ということです。

このシリーズの(3)で取り上げましたメイン号事件に関する考察は、このような権力を握る者の「意図」が最も検証しやすい、最も単純な実例を取り上げたものです。そこでは紙面の都合上取り上げませんでしたが、米西戦争のあとで米国(テオドア・ルーズベルト)はすぐさまカリブ諸国と中米を自らの新植民地(形の上で独立させたままで政治的・経済的に支配する)にする作業にとりかかっています。もちろんその第一号はキューバだったのですが、すぐに後が続きます。

例えば1904年にドミニカ共和国の経済が破綻するのですが、これも米国が意図的に仕掛けた疑いがあります。そして主要債権国のドイツが手を出せないように、モンロー主義を盾にとってドイツを脅迫し、ドミニカを自らの経済圏に強引に組み込んでいきます。またニカラグアのソモサ独裁政権(1937〜79年)は第2次大戦後のアルゼンチン、ブラジル、チリなど、他のラテンアメリカの軍事独裁政権にとって雛形となるもので、すべて米国諜報機関によって作られ維持されたものです。

米国の支配への意図、そのための戦争への意図は明白に検出できるものであり、その意図は100枚の証拠書類と同等かそれ以上の「証拠能力」を持つでしょう。さらに重大なことがあります。

権力を持つ者(集団)が持つ「支配への意図」は、それを止める他の権力が存在しない限り常に続いていくものであるし拡大していくものである、ということです。実際にその後、手を変え品を変えして現在まで続いて起こっていることを考えれば、このことは明らかでしょう。このような彼らの「意図」の検出を明確に科学的手段として位置づけないから、彼らの犯罪をやり放題にさせているのだ、と思います。

もちろん権力を握る側としてはそれでは困る。だから社会・人文科学がいつまでも自然科学にコンプレックスを持ち続けて自立してくれないほうが良いわけです。例えばブッシュ=ネオコンにとって、この分野の人間が9・11を「あれはイスラム原理主義者のテロだ」「確たる証拠も無しに米国支配者の自作自演と決め付けるな」などと言ってブッシュの応援団を手弁当で務めてくれるので、まさに笑いが止まらない、といったところでしょう。彼らは社会・人文科学者が自分たちの応援団になっていてくれないと困るわけで、また社会・人文科学者の方も結局は科学的方法論などというものを本心では信頼しておらず、自分たちも科学者として自立するなど、考えてもみないのです。

人間は必ず嘘を付きます。その嘘が通用するのなら自分の利益のために、権力を維持し拡大するために、嘘をつきまくりつき通すでしょう。メイン号でついた嘘は、第1次大戦、第2次大戦、ホロコースト、ベトナム、湾岸戦争、9・11、3・11でつきまくりつき通されました。どうやらアポロの月旅行も嘘だったようですが、このような権力を持つ側の「意図」の検出が、明確に科学的な方法として取り入れられない限り、彼らは今後も嘘をつき通すでしょう。「意図」が分からない限り嘘は判明しないのですから。

そしてその社会・人文科学者たちは、嘘つきの片棒をかついで社会的立場を得てそれを守ろうとします。彼らは結局は科学者ではない! 「意図の検出」作業を抜きにした形で、物体と紙の上の文字だけを「証拠」として「実証」などと言うから、結論の出ない堂々巡りの議論で、しまいには多数決で権力側についた者の勝ち、となってしまうわけです。そんな似非科学の信奉者が叫ぶ「論証」などに何の意味があるでしょうか。

その他、例えば「自由」「民主主義」にしてもそうです。「自由主義」「民主主義」という経済・政治の形態だけを抽象的に取り出してみても何にもならないのであって、誰が何の意図を持って語る「自由主義」「民主主義」なのか、ということが最も大切な点だ、と思います。

学校の教科書や受験参考書を読むと、第2次大戦は「自由主義・民主主義とファシズムの戦い」だそうで、その後は「自由主義・民主主義と共産主義の戦い」(ただし「共産主義」の側からは「自由主義・民主主義と帝国主義の戦い」となりますが)、続いては「自由主義・民主主義とテロリズムの戦い」と、まあこうなるわけです。で、それを誰が言っているのか、ということです。よくよく見ると、ラテンアメリカで自由も民主主義も奪い取って略奪と殺人を繰り返したやつらが言っているわけで、一番タチの悪い大嘘付きが一番強くそれを言っている、つまり、テロと戦う「自由主義・民主主義」など、史上最大の大嘘、と言うことになるでしょう。

それを多くの似非科学信奉者が、「自由主義・民主主義」という言葉が入っているために「大嘘だ」と断言できない、というのだから、こいつら本当に脳細胞が破壊されているな、という結論になります。これも元々すべて、社会・人文科学が自然科学に奇妙に隷属して物体と紙の上っ面だけで歴史と現在の状況を判断する、本当は科学など信用していないくせにそれを「科学的」と唱えていることが元凶である、と私は考えます。

「仏の嘘をば方便と言ひ武士の嘘をば武略と言ふ。」現在、社会・人文科学の中に最も求められることはこのような智慧ではないでしょうか。いつまで「方便」や「武略」がまかりとおる世の中が続くのか! 私の最悪の敵はこの論考で述べたような似非科学の信奉者なのです。権力を握る側の者は最初から大嘘つきですから立場ははっきりしています。しかし権力を使っての暴虐を批判するような顔をして結局は大嘘を本当らしく塗り替えて擁護する、この似非科学信奉者が一番救いようのない連中でしょう。

この続編はまたいつか作らねばならないと思っていますが、今回はここまでとしておきます。

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