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(回答先: 夜間に「クッキー」贈り罰金刑、隣人に不安与えたと(cnn.co.jp)・・・ああ訴訟社会アメリカよ 投稿者 いやはや 日時 2005 年 2 月 06 日 06:03:43)
議論を巻き起こす訴訟と言えばタバコ会社が喫煙の危険性を伝えなかったとか、肥満でマクドナルドを訴えたとかありますけど、レンジにペットの訴訟の話は嘘なのだそうです。医学都市伝説にレンジにペットの訴訟と都市伝説と本当のバカ訴訟の話があったのでどうぞ。
毎年2月は「ステラ賞」が発表される季節である。この賞は毎年選定されるもので、一年の間、一番バカバカしい訴訟を起こした人に捧げられる。以前は完全な都市伝説が「ステラ賞」として、チェーンメールで流通していたりしたもので、かの「電子レンジの中のペット」などもその材料となっていた。少し前からStellaAwards.comというところが、ちゃんと公判記録を取り寄せて内容を吟味し、その上で毎年この季節に発表されている。
昨年度は拳銃とスタンガンを間違えて、容疑者を射殺してしまった婦人警官と彼女が属していた市警がこの賞を得た。市警は、拳銃と間違うようなスタンガンを作った会社の責任を問う訴訟をおこしたのである。これはなかなかインパクトのある訴訟であったが、今年のステラ賞ははっきり言って、いまひとつといわざるを得ない。
今年は1位から6位までが発表されているが、なんか妙に常識的というか、訴えるのはなんぼなんでも、というようなものというより、妙に企業の論理が目立つようなものが多く、判決が出ているものもえらく当然な日常感覚に基づいているように思えるのだ。まあーよく訴えたもんだよ、という訴訟に対して、何でそんな判決出るの?というようなものでないと、こういうのは面白くありませんな。
1位になったのはマリー・ウバウディというイリノイ州マディソン郡に住む女性。彼女は乗用車に同乗していて事故にあい、その車のメーカー(マツダだそうな)に15万ドルの賠償訴訟を起こした。その理由は、「メーカーはシートベルトの安全かつ適正な使用法を説明する手段をとらなかった」と言うもの。車に乗るとき、例えば飛行機の離陸時のような説明が流れるように作っておくべきであるという主張であった。判決はまだ下りていないが、原告は今まで一度もシートベルトをしたことがないと法廷で告白してしまったので、勝訴の可能性は乏しいらしい。
読んでいて一番面白かったのは、3位になったニューヨーク州に住むタニシャ・トーレスと言う女性のケース。彼女は"Wyndanch"(ウィンダンチと読むのかねぇ)という町に住んでいるのだが、あるとき携帯電話会社からの請求書の住所が"Crimedanch"と書いてあるのに気付いた。彼女は「自分は犯罪者ではない」と、怒りと当惑を感じざるをえず、訴訟に踏み切ったという。何でもこの町は犯罪多発地帯で、"Crimedanch"という冗談めかした呼び方がしょっちゅうされるらしいのだが。
今年のステラ賞にいまひとつのものが多いということは、アメリカがいくら訴訟社会とはいえ、やはり常識から逸脱したような裁判結果が得られるようなことは、だんだんとなくなってきたということなのかもしれませんな。一部は伝説にもなっている一連のアホな裁判は、人々の関心をひきつけて法曹関係者が自分たちのせまい世間だけで通用するような論理を振り回せなくしたという、結構ポジティブな効果があったといえるのかも。
Posted at 11:21 PM
もうずっと前に書いたと思っていたら、これにはまだ触れたことがなかったのに気づいたので、今更ながらに取り上げることに。都市伝説についての質問メールは、これに関するものが結構多いのだ。
この伝説は、飼っているペット、猫とかプードルとかの小型犬、をシャンプーしてやったあと、早く乾かそうとして電子レンジの中にいれ、破裂させてしまうという、まことにもって無邪気な無知と残酷さがあいまった内容で、その気色の悪さのために妙に頭にイメージが残るものである。
この話を日本で聞くときは、「アメリカでのバカバカしい訴訟」という文脈で聞くことがほとんどで、まず日本の話として聞くことはない。これをやってしまうのは大概は婆さんと言うことになっていて、その婆さんはレンジの会社を訴え、多額の賠償金を得るばかりでなく、「生き物を乾かす目的でレンジに入れないでください」という注意書きをつけ加えさせるのである。訴訟社会アメリカを揶揄する小話として、結構信じられているから不思議だ。
これのバリエーションである、「マイクロウエーブ中継局、もしくはレーダーサイトで電磁波ビームを浴び、内臓を焼かれた技術者」という話は日本の話としても結構聞くのに、ちょっと不思議だともいえる。労働災害という雰囲気のため、より信憑性が増すのであろう。少なくともlこちらのほうは、労災をめぐる訴訟になったという話では聞いたことがない。
都市伝説研究者のジャン・H・ブルンバンはその著「消えるヒッチハイカー」(新宿書房)のなかで、この伝説の原型を60年ごろの「運の悪いペットの不幸」においている。この頃アメリカの一般家庭に普及しつつ、実際はあまり使われていなかったガスオーブンや乾燥器に入り込んだペットが、間違って焼かれてしまう話である。
それが電子レンジに変化したのは70年代半ばらしい。やはり、それらが猛烈な勢いで普及し始めるころのことである。一般社会に浸透してきた新しいテクノロジーへの不安が、それぞれの時代において伝説として形をとったことがうかがわれる。
私のところには、こういうことが「あったのか、なかったのか」と詰問調の質問メールが来ることもあるが、別にそういう統計を取っているわけではないので、正確に答えるのは難しい。少なくとも、無知と善意からペットをレンジに入れた人のことが、メディアに報じられた事はないとだけは記しておこう。
当然、ぬれた髪を乾かすためにレンジに頭を突っ込んだ金髪女性もいなければ、すばやく日焼けするためにレンジに潜り込んだ人もいない。故意の動物虐待として、これをやった人はいるらしいが。
なお、この伝説は"Feo Y Loco"というバンドによって、"Microwave Cat"なんていうレゲェ曲になっているので、ストリーミングでお楽しみいただきたい。私にはどこがいいのか良くわからんが。
Posted at 09:33 PM
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