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引用:植物界の革命と新パートナー より:
恐竜の絶滅には60以上の説があるが、最新の説によれば、恐竜は花によって滅ぼされたとされている。
「あのか弱い花が恐竜に勝てるはずがない」なんて思ってはいけない。
これにはかなり強力な根拠があるのだ。
まず、草食恐竜の食料はなんだったのかを考えてみるとしよう。
彼らの食料は、水際だけに生い茂ったシダである。
では、シダがもし無くなってしまったら、どうなるだろう?
花にはこのシダを絶滅に追いやる仕掛けがあったのだ。
裸子植物は水辺にしか棲息できなかったが、それは水が胞子の仲立ちをしたからだ。
ところが被子植物の種は、乾いたところでも繁殖できた。
”花粉による風媒”という画期的なシステムを開発したのだ。
この繁頼力の違いは、植物の分布を大きく変化させた。
裸子植物は披子植物に取って代わられ、辺境に追いやられ、恐竜も同じ運命を辿ったのだ。
植物界の革命_1億5000万年前の”花の誕生”
更に、花がやってのけたのは他の生物との共生であった。
即ち、昆虫との共同作業を開発したのは、最初は偶然であったろう。
彼らの媒介に花は積極的に対応し、蜜を造ることによって、彼らを、花から花へと渡り歩く直接の媒介者にしてしまったのだ。
これは風媒よりも遥かに確実なシステムで、また、花粉そのものも進化して、速いものでは、受粉してから花粉官の交換に僅か3分しか必要としなくなった。
既にこの頃、裸子植物は花によって北方に追いやられ、次第に葉を堅くしていった。
この植物界の新分布に、恐竜たちも北方に移動せざるを得なかったのだ。
では、恐竜は花を食しなかったのか?
白亜紀末期のトリケラトプスは、花を食べる為に適応した恐竜と思われている。
しかし、その胃袋を満たすには、花はか弱すぎた。
そして、この時期に隕石の落下という決定的な打撃を被り、恐竜は絶滅した。
この頃、花は再度、画期的なシステムを生み出した。果物の毒性(種の青酸、果肉のアミグダリン等:引用者注)だ。
そして、この時選んだ新しいパートナーは哺乳類だった。
果物を食した哺乳類が、移動した先で種を排出することにより、更に勢力を広げていったのだ。
光合成は最新の科学をもってしてもなし得ない。
我々は、植物との共生を大切にしなければならない。
我々は、植物によってパートナーに選ばれたことによって今を得た、いわば片割れなのだから。
花の繁栄に取って代わられて絶滅した恐竜が、このことを雄弁に語ってくれる。