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イラクの情勢についてのルモンド報告。イラク全土が実質的にゲリラの手に落ちている、サダム・フセインの残党とアルカイダの合体が実現されている、アメリカ軍は政治的、心理的に負けたのみならず、軍事的にも負けたというもの。楽観的に見てもこの戦争は何年も継続されるだろうと。読むことをおすすめする。
アメリカはイラクのコントロールを失いつつある
バグダット特派員報告。
戦闘が続くにつれて、レジスタンス・グループは結束し強化され、合同軍は退却し、スンニー・トライアングルばかりか、イラク全土を敵の手に渡してしまった。空爆と対人攻撃だけでは反乱軍を壊滅させることが出来なくなっている。
「これは魂と精神のための戦いだ」と言っていたのを思い出すが、いまやすでに政治的、心理的にはこの戦争は負け戦である。しかしアメリカ軍は、それに加えて、イラク領土を日に日に敵に明け渡し続けており軍事的な袋小路に陥っている。4月にシーア派とスンニー派が蜂起してから数ヶ月、アメリカ軍とその同盟軍である新イラク軍はイラクのすべての国土でコントロールを失ってしまった。イスラム武装グループがそれを支配している。いま明らかなことは一つ:反乱軍は追い風を受けてどんどん強力になっているということだ。
イラク人はそれを喜んではいない。ゲリラ勢力は彼等が占領支配した町や村でイスラム独裁制を敷いている。彼等はその領地からバグダッドなどに攻撃を仕掛けているが、それが国民に被害を及ぼしており、それを喜ぶイラク人なんていない。それはともかく、国民の反米感情はもはや後戻りできないところまで高まってしまった。イラク人は両勢力の間に挟まって身動きできず、自分の国が大混乱に沈没するのを諦めて見ているしかない。
イラクはいまや無政府状態にある。疑いなく一番過激なイスラム国際原理主義の手の中にある。その中で2005年1月には選挙を迎える。こんな状況はアメリカ軍として何とかしなければならない。ところが、彼等がイラクにやってきたときからそうであったが、アメリカは何をどうやっていいのかあまりわかっていないように見える。
棍棒の一撃
アルサドルのマージ軍団との戦いが3週間前に終わって、アメリカ軍はスンニー・トライアングルで失った領土を取り返すときが來たと判断したようだ。イラク政府もそれを支持している。アメリカ軍箱の作戦を「都市部での戦略」と呼んでいる。
アメリカ軍の広報担当者はナジャフでのやり方、即ち最初に強烈な軍事攻撃をかけた後に交渉に臨むというやり方が、スンニー・トライアングルでもなされるべきだと考えている。「選挙に向けてあいつらがバグダッドなどに攻撃を仕掛けてくるがそれはさせておけば結構である。イラク国民は民主主義か恐怖政治かどちらかを選ばざるを得ないからだ。時間はかかるだろうが、イラク国民はテロリストを否定し自分の国は自分で治めるようになるだろう」と米軍広報担当者は言う。「新イラク軍による段階的な支配地域の回復が望ましい。もっとも軍隊は一朝一夕に出来上がるものではないが」とも言う。たしかに、2003年にイラク軍を解散してイラク軍の将兵をゲリラ側に追いやってしまったことを考えれば、新イラク軍と言っても簡単にはいかないことがわかる。
具体的には、アメリカ軍が航空部隊と連携しながら、短時間で強烈な攻撃を何度もゲリラ側に仕掛けると言うことを想定している。このやり方がファルージャやラマディ、バグダッド(ハイファ通り)などでとられた。ファルージャではこの五ヶ月半アメリカ軍は毎晩ミサイル攻撃を繰り返しアルカイダの手先を殺したが、実際どれだけの殺傷が行われたのか、第三者による検証は行われていない。町の責任者は、米軍の空爆で死んだのは民間人ばかりだという。空爆のやり方が余りにも精度が低いのでアメリカ軍は現地にスパイを送りこむことすら不可能になっている。一方、ハイファ通りではアメリカ軍は空爆によらず地上部隊を投入し家を一軒一軒しらみつぶしに調べ、逮捕して尋問するやり方が採られている。
新局面
中立の立場から政府とゲリラ双方にチャンネルを持つスンニー派のイスラム聖職者協会はスンニー・トライアングルに対する攻撃のおかげで事態は新たな局面を迎えることとなったという。「アメリカは暴力という言葉しか知らない。ゲリラを停め選るには他に方法があった。でもあそこで戦闘員より民間人の方をたくさん殺してしまったので、レジスタンスを増強させることになってしまった。一年半前はイラク人はすべてアメリカ人が持ち前の効率性でもってイラクを成功に導いてくれるものと信じていた。いまやすべてのイラク人はアメリカが負けると考えている」聖職者協会の要人は言う。「我々が持っている数字によればアメリカ軍は戦闘員(ゲリラ)の40倍の民間人を殺したことになっている。彼等の家族は復讐を誓っている。これは我々の伝統であり習慣なのだ。ひっきりなしに葬式に出席するが、いままで平和主義者でおとなしかった人達がレジスタンスや復讐を言いだしている」という。
ゲリラの指導者たちのなかで、武闘派の宗教指導者にインタビューした。彼はもっとシニカルで、こういった。「アメリカ軍がたくさん民間人を殺したことは真実だ。なんの罪もないのに殺された人達はかわいそうだが、我々にとってはとてもうれしいことなのだ。これによってイラク国民はどんどんレジスタンスに参加するようになっているからだ」と。彼にとってはアメリカ軍は一番のゲリラ・リクルーターというわけだ。「我々はイラク国民にレジスタンスは合法的なものだと教える。アメリカが仕掛けた戦争が非合法であるからそれに対するレジスタンスは合法的なのだと教える。レジスタンスは単にイラク国民ばかりでなく、イスラム教徒ばかりでなく、占領に対する戦いと言うことで、全世界の人々にとっての義務であるのだと教える。我々は日毎に強力になっている。選挙を妨害する。これはイラクに対する陰謀だからだ。やがてすべての町で人々は立ち上がることになるだろう」と彼は予言する。
実現された合体
この数ヶ月のすべての情報が確認していることであるが、以前には萌芽状態にあっただけであったが、ファルージャの戦い以降、サダム・フセインの元特殊部隊勢力とイスラム原理主義者たちの合体がいまや実現している。ゲリラ部隊の戦闘効率の上昇が一つの証拠。同時に外国人を人質に取るとかの悪辣な「禁じ手」作戦がバグダッドで増えていることもその証拠である。
イラク政府の情報分析関係者は、「イスラム原理主義者がサダム・フセインの旧勢力を吸収した。なぜならイスラム原理主義者はお金を持っているし、将来に対する明確な計画を持っているからだ」という。「イラク人のナショナリズムは、ある人たちにとっては、アルカイダのプログラムと一緒になっている。つまりイスラム共和国によるイラクの解放と主権復活だ。半数近くのゲリラはすでにイラク外部の勢力の支配下にある。外部勢力とは、主にサウジ・アラビアとイランのシーア派反乱軍だ」という。
この人物はゲリラ対策を担当する高級将校だが、「アメリカ軍を使って一番悪い奴を殺すべきだ」という。その上で「新イラク軍だけを使って奪われた領土を回復するべきだ」と。「問題はアメリカ軍の作戦はいつも一方的で、えてして馬鹿げていることだ。アメリカ軍は混乱こそが自分たちの占領を正当化させると考えているようだが、それには疑問がある」という。アメリカの同盟国にも同じ疑問を持つ国がいっぱい居るから、もっともなことだ。
「たしかなことは一つ。新イラクの国民は必ず勝つと言うことだ。イラク人はイラクをサダム・フセインの残党とアルカイダの手に渡すことはない」と彼は結論づけた。しかし悲しそうな目つきでこう付け加えた。「一年前までは、この勝利は確実だと思えた。でもいまは、多分何年もかかる戦争となるだろうとみんなが考えている」と。
Les Americains sont en train de perdre le controle de l'Irak
LE MONDE | 18.09.04 | 15h48
http://www.lemonde.fr/web/article/0,1-0@2-3218,36-379544,0.html
Letter from Yochomachi > Le Monde(ルモンド抄訳)
http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C394170269/E172661152/index.html