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比較対照: ブログを始めるなんて・・・>Baghdad Burning 2003年8月17日(日)
http://www.asyura2.com/0406/war60/msg/1168.html
投稿者 木田貴常 日時 2004 年 10 月 06 日 01:28:32:RlhpPT16qKgB2
 

(回答先: サマラ炎上・・・>Baghdad Burning 2004年10月3日(日) 投稿者 Kotetu 日時 2004 年 10 月 06 日 01:11:12)

2003年8月17日(日)

目覚め
 
 近頃のイラクはどこで目を覚ますのも試練だ。目覚めには二通りある。徐々に忍び寄るか、急に襲いかかるかだ。徐々にくるときはこんな風。意識の縁のどこかにぶら下がって、心の中で消えゆく夢の断片をつかみとる……何かが自分の周りに這い上がってくる。霧のように。あったかで、ずしりと重い霧。正体は暑さだ……比較的涼しい夜でも120°(49℃近く)になる。見開いた目を瞬き、がっくりして暗闇を探る。停電だ。天井で回っていた扇風機の回転が遅くなり、そこですっかり目が覚める。息苦しい暑さの中で眠ろうとするのは、天井の扇風機を念力で動かそうとするようなもので無駄な努力だ。できるわけがない。

もう一つのパターンでは銃声や爆発音、怒号でいきなり現実に引き戻される。起きあがり、恐れおののき、うろたえ、夢も悪夢も忘却の淵に砕け散る。一体なんだろう。強盗? ギャング? 略奪者? 攻撃されたの? 爆撃? それとも、米軍が夜間にしかける家宅捜査かもしれない?


始まり
 
 これが私にとっての始まり、になるようだ。自分のブログを始めるなんて全く考えていなかったけれど……。以前は、ブログを書こうかと思うたび、「でも一体誰が読んでくれるの?」という疑問しか思い浮かばなかった。今は、やってみるしかないと思う。……でも、警告しておこう。不平と暴言をたっぷり覚悟してほしいと。何しろGoogleでrantlog(訳注:怒りのブログ)を検索してみたけれど、その結果一番すごいのはこのブログなのだから。 

少し自己紹介しよう。私は女性で、イラク人、24歳。戦争を生き延びた。あなたが知らなければならないのはこれで全部。いずれにせよ、近頃大切なのはこれだけしかない。

リバーベンド

2003年8月18日(月)

アナザー・デイ……

 今日はふつうの日。朝早く起きて、いつもの「家の周りの仕事」をした。貯水タンクがいっぱいになっているかチェックし、いつ停電になるか予測を試み、料理用のガスが十分かどうかをチェックする。

 ところで、インターネットでチャットルームや掲示板に投稿したとき、私を本当に悩ますのは何か? 真っ先に来るのは「あなたは嘘をついている、あなたはイラク人ではない」という反応(通常は米国人)だ。なぜ私がイラク人でないかというと、理由は次の3点。

(a)私がインターネットにアクセスできるから(イラク人にインターネットはない)、
(b)私がインターネットの利用方法を知っているから(イラク人はコンピューターがなんなのか知らない)、
(c)イラク人は英語が話せないから(私は自由主義者に違いない)。

どれも私を悩ますべきではないのだが、実際には悩みの種だ。私は街にいる兵士たちを見て、思わずにいられない。「それでは、彼らが私たちを占領する前は、イラク人についてこんなふうに思っていたし……今も思っていることなのかもしれない」。私たちはなぜ第二のアフガニスタンと見なされているのだろうか?

 この二日間で一番の出来事は、きのうテレビを見たことだ。大統領が輪番制で交代する統治評議会発の最新ニュース。ヨルダンが米政府に対し、アフマド・アル・チャラビをアンマン当局に引き渡すよう働きかけている! これは見物だった。実は、チャラビはブレマーが選んだ暫定政権全体の中で私のごひいきだ。もしブレマーがここ数カ月統治しようとしてきたイラク国民について何かしら学ぶところがあれば、チャラビの首に(善意の贈り物の印として)赤いリボンを巻いて、ヨルダン当局に引き渡すだろう。こんな卑劣漢が好きな人など見たことがない(その仲間のカンバールはさらに悪人だ)。

 事情を知らない人のために説明しよう。イラク暫定政権はイラク国民の「代表」としてブレマーが選んだものだが、権力に飢えた権力フリークたちのいずれにイラクの統治をゆだねるべきか、決めかねた。そこでブレマーは、米国が選挙のお膳立てを整えるまでイラクを統治する3人を(暫定大統領として)選出した。ムハマド・ハキム(イラク・イスラム革命最高評議会代表)、バール・アル・ウルーム(同じくシーア派の聖職者)、アドナン・アル・パチャチの3人だ。当然ながら、統治評議会のメンバーがこぞって反対した。なぜイラクはたった3人しか大統領が認められないのか!? そこで、9人になった。9人(アドナン・パチャチ、アハメド・チャラビ、ムハマド・ハキムほか様々)の1人ひとりが、1カ月交代で統治に当たる。イラクは何といっても変わりやすさが必要であり、私たちに必要なのは月替わりの新大統領。ともあれ、「今月のおすすめ」はイブラヒム・アル・ジャファリ。悪名高きアッダワ党(フセイン時代以前からフセイン時代まで様々の爆破事件を起こした)の代表だ。ジャファリについては後でもっと話そう。

 笑わせるのは、この9人がアルファベット順(但し、アラビア語のアルファベット)に政権を担当することだ。ブレマーにとっては彼らがそろってしっぽを振り、いずれ劣らず不正直で無能なので、やむをえない決断を迫られたとしか思えない。首尾よくいくには、まず1人ずつイラクを治める機会を手にし、9カ月後にはこの地における米国の資産をもっともよく代表する1人を決定して、その人物が「選挙で選ばれた1人」になることだ。「選ばれた1人」は魔法のように褒美を??イラクを与えられる。私の願いは、パチャチが占領軍の王座につくまで現システムを長期にわたって維持してほしいということだが、彼はすでに今にも倒れそうな気配をみせている。

2003年8月19日(火)

信じられない……

 国連事務所ビルの爆発はおそろしく……すさまじく、悲しむよりほかない。あんなことが起きたなんて、誰にも信じられない。なぜ国連事務所ビルが標的になったのか、誰もわからない。国連が援助目的でここにいるのは明らかだ。
 怒りに燃える私に憤懣のやり場はない。事態は何一つ前進していないのだ。前進は「皆無」。この事件はその一例にすぎない。メディアはアルカイダの仕業だと主張している。とんでもない。占領前はこの地にアルカイダがいたことなど一度もない。 原理主義者らは目立たないように鳴りをひそめていた。ところが今、彼らは「至る所に」いる。ブレマーの傀儡政権に対しイラク国民を「代表」しているのだ。

 一方、石油省にはこうした事態は決して起こるわけがない。石油省は24時間ぶっとおしで1日の休みもなく戦車と軍が厳戒態勢を敷いている。警戒はバグダッド陥落を期に始まった。ブレマーの油断ない監視のもと、石油の最後の一滴が尽きるまで警戒が続くだろう。一体なぜ、国連事務所ビルの前に戦車を配備しておけなかったのだろうか。なぜ? なぜ? なぜ? 米国防総省の計画がこれまで苦闘を続けたことは知っている。けれども、今回の爆破は1マイル先から見通していたに違いないと思える。


疲れ
 
 疲れたまま目覚めるなんてどうしてありえるのだろう? 眠りながら格闘していたような気がする。悪夢の数々と格闘し、おそれと格闘し……銃声や戦車の音に聞き耳を立てることと格闘していたような……。今日はとにかく疲れた。これは眠りたいような「疲れ」の質とは違う。ただひたすら活動を停止したい……可能ならば予備に回してほしい、と思わされる疲れだ。最近は誰でもこんな風に感じていると思う。

 今日、バグダッド北西部の行政区域、アンバールで子どもが殺された。名前はオマル・ジャシム。わずか10歳か11歳の男の子だ。誰かこの出来事について耳にしただろうか? 今でも問題になっているのか? フォックスニュースやCNNが報道したのか? この男の子は米軍の家宅捜査のとき殺された。その理由は誰も知らない。家族は打ちひしがれている。家には何もなかったので、何も取られなかった。いつもの家宅捜査の一つに過ぎなかった。人はみな家宅捜査をおそれている。何が起きるか決して予測できないからだ。対応を誤れば撃たれるかもしれないし、対応を誤るというのも本当のところ何なのか。物も盗まれてしまう……金、時計、お金(ドル)……。兵士たちが「すべて」盗みを働くと言っているのではない。それでは公平を欠く。まるでイラク全土が略奪に遭っていると言うようなものだから。
 だが、略奪者や殺人者、ギャング、民兵の心配をしなければならないのは本当に厄介だ。誰かがこう言うのを知っている。「恩知らずのイラク人め! あの人たちは『おまえたち』のために仕事をしている……家宅捜査は『おまえたち』のためにしているんだ」。しかし本当は、度重なる家宅捜査の遂行目的はただ一つ。私たちが占領下にあること、独立国ではないこと、自由がないこと、解放されていないことを絶えず思い知らせることにある。私たちはもはや自分の家にいても安全ではない。あらゆるものが他の誰かのものになってしまった。
 
 今の時点では未来が見えない。でなければ、見るという選択肢がない。もしかすると、嫌な記憶や予感であるかのように未来をブロックしようとしているだけかもしれない。それでも、未来はじわじわと我が身に忍び寄る。この瞬間、私たちは生きている。半年前はこわくてじっくり考えられなかったこの瞬間を。まるで悪夢から抜け出す道を探すようなものだ。彼らが石油を手にして行ってしまえばいいと、……それだけを私は願う。


(翻訳 岩崎久美子)

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