現在地 HOME > 掲示板 > 戦争60 > 1100.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
(回答先: パレスチナ:大規模侵攻が続くガザ地区北部をルポ 投稿者 Kotetu 日時 2004 年 10 月 05 日 02:03:10)
自治政府、統治能力喪失に拍車 ガザ情勢、指導力欠く
◇新旧世代の対立あらわに
【エルサレム樋口直樹】ガザ地区へのイスラエル軍の侵攻は、3日までの5日間で50人以上のパレスチナ人が死亡する事態に発展した。これに対し、パレスチナ自治政府は侵攻の引き金となった武装勢力のロケット弾攻撃を抑止できず、戦闘拡大に歯止めをかけられずにいる。ガザの武装勢力、特にパレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハの若手活動家は、自治政府を支配する守旧派勢力にも敵意をむき出しにしており、自治政府の統治能力の喪失に拍車をかけている。
「彼は別の惑星に住んでいる」。ガザ北部での戦闘で30人以上の死者を出した翌日の1日、ファタハ系の武装集団「アルアクサ殉教者団」は、戦闘の最中に隣国ヨルダンへ出かけていたクレイ自治政府首相を厳しく非難する声明を発表。アラファト議長とパレスチナ評議会(国会に相当)に対し、クレイ内閣の解散を要求した。
アラファト議長の強い影響を受け、自治政府の治安・財政改革を断行できずにいるクレイ首相への不満は、評議会内にも充満している。ロイター通信によると、内閣不信任案を準備する議員らは既に、特別会の招集に必要な署名を集め終わったといい、クレイ首相の政治的指導力は低下の一途をたどっている。
「若手の武装勢力はイスラエル軍の撤退後、再び旧世代の現指導部に支配され、政治参加の道を閉ざされることに抵抗している」。パレスチナの民間調査研究機関「政策と調査研究のためのパレスチナ・センター(PSR)」のシカキ代表は、特にガザ地区で顕在化していた新旧世代の確執をこう分析する。ファタハの若手勢力にとって、暴力の継続は自らの武装の必要性を正当化し、旧世代に世代交代の圧力を加えるためにも必要不可欠な状況になっている。アラファト議長を頂点とする現指導部への挑戦は、自治政府とライバル関係にあるイスラム原理主義組織「ハマス」にもみられ、戦闘現場ではファタハとハマスが共同作戦をとることも珍しくない。
「イスラエルに侵攻の口実を与えるような行為は厳しく自制すべきだ」。クレイ首相は2日、ガザ地区での非常事態を宣言するとともに、武装勢力による無差別なロケット弾攻撃をやめるよう異例の声明を出した。一方、ハマスなどはより飛距離のあるロケット弾攻撃を予告するなど、攻撃の手を緩める気配を見せていないのが実情だ。
◇占領地拡大の方針−−シャロン首相が表明
【エルサレム樋口直樹】イスラエルのシャロン首相は3日、ガザ地区からのロケット弾攻撃を防ぐため、同地区北部での占領地をさらに拡大する方針を明らかにした。イスラエル軍放送によると首相はまた、「(自らが提唱する)ガザ地区撤退計画は実行される。すべての命令は、撤退時に(武装勢力の)砲火にさらされないためのものだ」と語り、ガザ撤退の断行を確認した。
イスラエル軍は3日、ガザ北部に加え、南部ハンユニスなどへも侵攻。地元からの情報では、戦車砲や武装ヘリのミサイル攻撃により、同日だけで民間人を含むパレスチナ人7人が死亡した。死傷者はさらに増える見通しだ。
毎日新聞 2004年10月4日 東京朝刊