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社説:
学校占拠テロ 子供たちをすぐに返せ
ロシア南部の北オセチア共和国で武装勢力が学校を占拠し、子供たちなど数百人を人質に取った。チェチェン共和国からのロシア連邦軍撤退を要求しており、チェチェン独立派の犯行とみられている。
ロシアでは9月1日は入学・始業式で、子供たちの晴れ姿を見るために親たちも駆けつけ参列する特別の日である。
武装勢力にとっては、そんな華やいだ日が人質確保の絶好の機会と映ったようだ。校庭に乱入し、あっという間に多数の子供たちを人質にした。自動小銃や爆弾を突きつけ、子供たちによる「人間の盾」を作り、校舎に立てこもった。さらに、子供たちを道連れに自爆すると脅している。
爆弾に恐れおののく子供たちや、人質になった我が子を心配する親たちの悲痛な気持ちを考えると、一刻も早い解決と子供たちの無事を祈らざるを得ない。
どうしてこのような常軌を逸した行動をとるのか。武装勢力の行動に首をかしげざるを得ない。彼らなりの説明があるのだろうが、どうみても正当性は見いだせない。卑劣かつ許せない行為で、弁解のできない犯罪だ。
こんな悪質極まりないテロ行為を繰り返していれば、チェチェン独立という彼らの大義が汚され、自滅の道をたどらざるを得なくなるだろう。
武装勢力は過去にも、病院や劇場などを占拠し、罪のない人々をテロに巻き込んでいる。いつまでテロ戦術を続けるのか。
チェチェンの人々はテロと決別し、武装勢力の行動を否定すべきだ。さもなくば誰もチェチェンの独立など支持しなくなる。
その一方で、なぜテロが続くのか。ロシア政府も考えるべきである。「目には目を」の力の行使だけではテロは防げない。武力に頼らず、対話による政治解決の道を常に探り、人々の不満や要求にも耳を傾けるべきだ。
また、テロの土壌となっている不平等、不公平、差別、貧困、失業などの問題にも目を向け、テロ予備軍を出さない努力が必要だ。
今回の学校占拠事件と前後して、世界各地で凶悪なテロ事件が連続発生した。
イラクでは武装勢力の人質となっていたネパール人労働者12人が惨殺処刑される事件が明るみに出た。ネパール本国では、怒った市民たちがイスラム教のモスクやアラブ系航空会社の事務所を焼き打ちする暴動に発展した。
イスラエルではパレスチナ過激派による自爆テロで、バス2台が爆破され、約100人が死傷した。イスラエル政府は報復を宣言しており、「過激派指導者暗殺作戦」が再開されるという。
いずれもイスラム原理主義の影が事件の裏にちらついている。
米同時多発テロからまもなく3年。世界では常軌を逸するテロが続き、一向にやみそうにない。
暴力は暴力を生み、悲劇を増大させる。世界はテロの無意味さと対話の重要さをもう一度真剣に考えるべきである。
毎日新聞 2004年9月3日 1時08分
http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/afro-ocea/news/20040903k0000m070145000c.html