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米同時テロ後、民間航空機のテロ対策を検討してきた警察庁は11日、日本航空と全日空が運航する米国路線の旅客機に、拳銃を携帯した私服警察官を同乗させることを決めた。
成田空港と関西国際空港を管轄する千葉県警と大阪府警に部隊を新設、両社の米国便に交代で搭乗させる。すでに両府県警の幹部数人を「スカイマーシャル」と呼ばれる航空保安官制度を持つドイツに派遣して訓練を受けさせており、年内にも同乗を開始する方向で、国土交通省などと協議している。
私服警察官の同乗は、昨年末、欧州から米国に向かう便がテロ情報で相次いで欠航したことから、同時テロを機に創設された米国土安全保障省が「米国に乗り入れる航空機に武装要員の搭乗を必要に応じて求める」と表明、日本航空と全日空にも要請してきた。
このため、警察庁は国交省と協議を重ね、成田、関西の両国際空港を抱える千葉県警と大阪府警に専門部隊を新設することにした。
しかし、機内でテロリストに発砲するにしても、計器を傷つけたり、飛行に支障が生じたりしないよう細心の注意が欠かせない。そこで警察庁は、教官を養成するため、今年夏から千葉、大阪両府県警の幹部数人をドイツに派遣、機内での犯人制圧に必要な特殊訓練を積ませている。
国際慣習法によると、機内の主権は、機体を登録している国にあり、警察庁は、日本の旅客機内なら警察官の職務執行に問題はないとしている。
どの便に警察官を同乗させるかは、治安上の理由から明らかにされないが、成田から毎日運航しているニューヨーク便など東海岸の路線を中心に、必要に応じて同乗させるとみられる。
◆スカイマーシャル=一般乗客に紛れて民間航空機に乗り込み、ハイジャックなどの異常事態に対応する保安要員。米国が1960年代に導入、英、独、豪、イスラエルなどが同乗させている。航空保安官や警察官など要員の身分は様々。米は同時テロ後、大幅に増員した。今年6月のシーアイランド・サミットで必要性が指摘され、年内に主要8か国の共通指針をまとめることが決まった。
(2004/9/12/03:05 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040912it01.htm