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8月21日付・読売社説(2)
[イラク民主化]「踏み出した一歩を再建の契機に」
イラクの民主化プロセスは、さらに一歩前進した、と言ってもいいのではないか。しかし、手放しの楽観が許されるような情勢ではない。
地域、宗派、民族、部族などの各代表が出席して開催された「国民大会議」が、「諮問評議会」議員百人を選出して閉幕した。諮問評議会は、総選挙の実施まで暫定議会の役割を果たす。
治安の改善や経済的復興と並び、政治プロセスの着実な進展は、イラクの再建を支える重要な柱である。諮問評議会には、暫定政府とともに、当面の政治体制の両輪として機能してもらいたい。
大会議は、国民の融和と統合を図る好機でもあったが、今回は、その目的を果たすことができなかった。諮問評議会議員の選出方法が透明性を欠いたとして、少なからぬ参加者の反発を招いた点は、対立の火種を残したのではないか、との懸念を生んでいる。
混乱の中で、完璧(かんぺき)な民主的手続きを追求することは、現実的ではない。だからといって、拙速に事を運べば、事態を悪化させかねない。暫定政府や主要政党指導者には忍耐強い努力が必要だろう。
イラクにとって、来年一月の総選挙の実施が、次に控える重要な政治日程となる。選挙を成功裏に実施するには、暫定政府や諮問評議会だけでなく、イラクの各層、各派の協力が欠かせない。
有権者名簿の作成などの技術面で、国連の支援は不可欠だ。国連要員の本格的なイラク復帰にめどが立っていないのは誤算だが、限られた時間の中で、イラク人自身で出来る準備作業を急ぎたい。
来年末に予定される本格政権の樹立まで、道のりはまだ長く、険しいものになることが予想される。国連要員の復帰のためにも、治安の改善が急務だ。改善にめどが立たないままでは、総選挙など絵に描いたもちに過ぎなくなる。
最大の懸念は、中部ナジャフで続くシーア派の反米強硬派であるサドル師派民兵組織と、米軍やイラク治安部隊との武力衝突である。国民大会議は、サドル師派に対し、民兵らが集結する墓所からの撤退や武装解除のほか、政治プロセスへの参加を求める決議を採択した。
最近、外国人組織などによる大規模テロは起きていないが、これらの勢力がイラクから駆逐されたわけでもない。
暴力の連鎖は、国家再建にとって何のプラスにもならない。サドル師も、ここは同胞の求めに真剣に耳を傾けたらどうだろう。
国際社会も手をこまぬいているわけには行かない。脆弱(ぜいじゃく)なイラクの政治プロセスに必要な支援を続けていきたい。
(2004/8/21/01:18 読売新聞 無断転載禁止)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040820ig91.htm