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(回答先: 「華氏911」がネオコンの陰謀? 町山智浩アメリカ日記 投稿者 外野 日時 2004 年 8 月 20 日 21:31:50)
(町山氏)http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040716
>田中氏の記事はさっそく英語に訳して全世界に知らせないといけないと思いました。
そして記事をよく読んでみたのですが、どうも変です。
ムーアが「タカ派やイスラエルに有利になるよう」に『華氏911』を作ったとしながら、
なんで彼がそんなことをしたのか、理由がどこにも書いてありません。
それによってムーアがどういう利益を得るのか、その動機も書いてありません。
もちろんネオコンと彼のコネクションを裏付ける事実も書いてありません。
そこで、田中氏がその説のソースにしているネット記事を読んでみたら、
「『華氏911』を観たらアメリカのイスラエル援助への批判が出てこないし、サウジを批判しているので、ネオコンにとって得な内容だと思う」と書いてあるだけでした。
つまり、ムーアがネオコンとつながっているなんて、どこにも書いていないんですよ。
それなのに田中氏は、ムーアがイスラエルとネオコンの利益になるように「華氏911」を作ったという「陰謀説」を展開しているのです。
(田中氏)http://www.tanakanews.com/e0716moore.htm
> というのは、この映画の内容には、911からイラク戦争にかけてのブッシュ政権の動きを作ったネオコンの存在が全く盛り込まれていないからだ。ネオコンはイスラエル右派と親密であるとされるほか、イラク駐留米軍はイスラエルが立てた戦略に依存している感もあり、ブッシュ政権の裏側を描くなら、ネオコンとイスラエルの存在について触れないのはおかしいが、この映画には、全くそれが描かれていない。ネオコンの中でウォルフォウィッツだけは映画に出てくるが「ネオコン」としてではなく「共和党右派」として登場している。(イスラエル化する米軍)("Michael Moore Shills for Illuminati Bankers")
(自分)
ムーアがネオコンと繋がっているかどうかは分からないが、ブッシュ政権の動きを作ったのはネオコンと呼ばれる、団塊の世代と同じ位の年齢層世代の元左派グループである事は今や常識である。
ムーアがネオコンやイスラエルと繋がっていることを証明できていないからといって、映画自体の内容が、事実の半分以上を伝えていない事を否定できるものではない。
(町山氏)
田中氏は、ムーアが常日頃からイスラエルへの支援に徹底して激しく反対していることを知らないのでしょう。
ムーアは『アホでマヌケなアメリカ白人』でアメリカのイスラエル援助を徹底的に批判しています(P208〜)
そこではムーアは「オレが払った税金がイスラエルに送られて、パレスチナの子供を殺すのに使われてるのは許せん!」と激怒し、「アメリカはイスラエルに援助するなら、その倍をパレスチナにも与えろ!」とまで書いているのです。
また『アホの壁inUSA』では「イスラエルは中東から出て行くべきだ!」と堂々と書いています。
田中氏の文章を読むと、これについて田中氏が知っていてたとは思えません。
なにしろブッシュ政権は史上最大の援助をイスラエルに対して行っています。
そのブッシュを降ろそうとするムーアは普通に考えれば反イスラエル的になるはずですが
田中氏は「ブッシュを批判しながらもブッシュのイスラエル支援を批判していない」から
ムーアが親イスラエルであると結論します。これはねじくれた論理としかいいようがありません。
田中氏はおそらくムーアの著作をちゃんと読んでいないのではないでしょうか。
なぜなら、どちらの本にもちゃんと、バカなブッシュは傀儡で、その背後のタカ派と財界が本当の悪だと書いてあるからです。
田中氏がそれを読んでいてわざとムーアが反イスラエルである事実をオミットしたとすれば、それこそ情報操作、陰謀の類ですよ。
町山氏は特にこのことが仰られたかったのだと推測します。つまり、ムーアの本を読めば彼はアメリカがイスラエルに加担しているのを非難している事は明白であり、そんな彼自身がイスラエルに加担して映画を作るなんてのは全くの見当違いである、と仰りたかったのだと思います。
しかし、実社会では、仮にある人間がある事に対して批判を述べていたとしても、本当にその人間がその事に反対しているのか、という事を判定するのは非常に困難です。
だからムーアがいくら著作で「アメリカはイスラエルから出て行け」と言っていたからといって、ムーアが本当に反イスラエルかどうかは分かりません。
例えばサダム・フセインは、勿論建前上は常に反イスラエルでしょうが、国内のクルド人との内戦や、隣国の同じイスラム教徒であるイラン人との戦争には熱心でしたが、イスラエルに対して実際に何かをしたと言う話は当時から聞かれず、現在では彼はモサドのエージェント或いは何らかの西側の息のかかった人間であったという説が定説となりつつあります。
自分としては「〜も読んでない(見てない)のに・・・」という日本人の悪しき慣習をそろそろ終わりにしようじゃないか、と提案します。仮説を検証するという態度から外れていくからです。そもそも論理的に、だからと言ってそういう本人の言っている事が正しいという訳では全くありません。
例えば、
(町山氏)
>それに「華氏911」では、ネオコンのウォルフヴィッツは誰よりもヒドイ扱いを受けています。
どのくらいヒドイかは観てのお楽しみ(ゲロゲロです)。
あと、軍産複合体というか、軍需産業と石油開発企業のパーティに潜入した映像も強烈だ。
それを見てもムーアがネオコンの味方だと言うのはかなり難しいでしょう。
自分は一応映画を見てきましたが、ウォルフォビッツなんて全く記憶にございません。
もっとも「ネオコン」とか表示がなされていれば気付いたでしょうが・・。従って、自分と町山氏の2人の間に限っては、すくなくともウォルフォヴィッツの扱いに関しては、自分は記憶にもない端役、町山氏はゲロゲロ、と完全に意見は2分されます。1人1人の人間の意識なんてこの程度のものです。
それに町山氏は軍産複合体とネオコンとイスラエルを結び付けているようですが、イスラエル自体が巨大な兵器輸出国家であり、カーライルグループを含むアメリカ軍産複合体とはむしろ競合している可能性もあり、現実は非常にドロドロして分かりにくくなっていて、簡単に答えを出せるようなものではないし、また簡単に答えを出してはいけないと思います。
(町山氏)
>そもそもネオコンと結託してイスラエルに莫大な援助をしているのはブッシュであって、『華氏911』はそのブッシュ打倒のための映画なので、
「じゃあムーアは反イスラエルで反ネオコンだ」と考えるのが普通のはずです。
田中氏が言う「ムーア=親イスラエル」には根拠がありませんが
「ムーア=反イスラエル」のほうは先の著作をはじめ山のように証拠があります。
たしかに「『華氏911』にはイスラエル支援批判がない」と感じた人も少しはいたようです。
私が参加した7月6日のマイケル・ムーアの記者会見でもアラブ系の女性記者が、「イスラエル支援を批判していない」と抗議しました。
するとムーアは「ゲイ結婚についても言及してないよ。二時間しかないから何もかも盛り込めないよ」と言った後、はっきりとこう言ったのです。
「僕にはパレスチナの人たちの悲劇についての映画を作る計画があります」。
そのアラブの女性記者は、それをムーアの約束と受け取ったようで、満足気に微笑んで着席しました。ちょっと感動的な光景でした。
『そもそもネオコンと結託してイスラエルに莫大な援助をしているのはブッシュであって、『華氏911』はそのブッシュ打倒のための映画なので、「じゃあムーアは反イスラエルで反ネオコンだ」と考えるのが普通のはず』という事ですが、こんなに単純に世の中はできていません。
町山氏はアメリカに生活しているうちにこのような単純な善悪二元論を心棒するようになってしまったと考えると非常に問題があります。
現実は支配者連中が、調整と軌道修正を重ねながら自分達の支配を拡大して行っているという所でしょう。この見地に立てばムーアもある「誘導子(inducer)」に過ぎないという論の方がすっきりと受け入れられます。その際には彼が直接の誘導子(direct inducer)なのか、それとも間接的な誘導子なのか(indirect inducer)なのかという事も問題になります。間接的、というのは、ムーアが仮にネオコンやイスラエルとは全く関係がなくとも、実際にカンヌで流されたフィルムを権力側が一定の方向に「編集」し直して世界中で流す事により、大衆にある方向性を持った思想を抱かせるのに使われた「駒(porn of the game)」だという事です。この場合はムーアがそれを知っていようが知っていまいが、あるいは薄々気付いていようが、関係ありません。
この程度の話は「陰謀論」というより「読みの範疇」であり、思考放棄していない人間ならば当然のように考えて然るべきものです。
それに記者会見の内容をそのまま信じるというのも非常にナイーブな話で、実際「よく見られることが全て(Looking good is everything)」のアメリカでは、質問の内容に関してはあらかじめ質問者との間で調整がなされているのが普通で、それを町山氏が知らなかったのはただ氏がカヤの外の人間だったからに他なりません。
(町山氏)
>以上を読んでいただいた方にはおわかりだと思いますが、
つまり田中氏は、ムーアの映画や著作に直接あたらずに、ネットで拾った記事だけを元に『華氏911』をネオコンの陰謀と決めつけたと思われます。
それは自分ではレコードを聴かないで、他人のレコ評読んで、それだけを元にレコ評書くのと同じです。
しかし、「ムーアがネオコンの利益になるよう映画を作った」と書くのは、レコ評と違い、世界的な大問題です。
それを「国際ジャーナリスト」を名乗る人物が何万人もの人々に向けて配信するということは大変な責任を伴う行為で、ちゃんとした証拠も無しに安易にやることではないと思います。
今まで「アカだ」「売国奴だ」と言われても笑っていたムーアも、敵であるはずのネオコンの手先だと書かれたら、さすがに抗議せざるを得ないのではないでしょうか?
ムーアが、彼の観客を騙していたということになるからです。
ムーアは「僕とネオコンがつながってるとする論拠を示せ」と田中氏に迫るかもしれません。
そしたら田中氏はどう答えるのでしょう?
「ネットでそういう記事を2,3本読みました。論拠はそれだけです」で許されると思っているのでしょうか?
こういう無責任な言説は世界的に批判にさらされるべきだ、と思ったら、
ID:hiyori13 氏が英訳して国際的なさらしものにしてくれました。ご苦労様。
http://cruel.org/candybox/e0716moore.htm
英訳の終わりにID:hiyori13氏がつけた訳者コメントが抜群に面白いのですが、
邦訳すると言葉がキツすぎるのでみなさん頑張って読んでみてください。
私が改めて言うまでもないですが、日本や、特にアメリカでは、「言論の自由」が保障されています。
町山氏の為にもう一度言いますが、アメリカでは特に「言論の自由」が保障されています。これは「思想・信条の自由」の延長線上にあるものであり、人権の一つだと思います。
であるから田中氏が国際ジャーナリストという肩書きがあろうがなかろうが、ネットで拾った記事だけを元にしたにしろそうでないにしろ、『華氏911』をネオコンの陰謀だと表現しても何の差しさわりもありません。もし違ったとしても恥をかくだけです。逆にこれで失敗したら名声を失うだけなので、勇気ある発言ととりあげてもおかしくない位です。勿論町山氏が田中氏を非難する「声明」を発表されるのも何ら問題はありません。
また上記のようにムーアは直接ではなく間接的に使われただけ、というのなら、ムーアとネオコンのつながりはあってもなくてもかまいません。田中氏は映画の「主題」に対する危惧を抱いているのに対して、町山氏は田中氏の話のタイトルに目くじらを立てていて、本質が分かっていません。言うならば、田中氏も書いているように
<一番の重要ポイント>
「確かに、この映画の主張を鵜呑みにする人が多いほど、イラク戦争を起こして泥沼化させた張本人であるネオコン勢力は、罪をブッシュとサウジアラビアに押し付けることができ、自分たちの責任を問われずにすむ。」
という点がクリティカルであり、まさに田中氏が言いたいのはこの点で、町山氏はこれに関しては見えていません。これでは盆に暗い(fat headed)との謗りを免れません。
(町山氏)
>せめて映画を論じるなら映画をまず観てから、本を論じるなら読んでから、が最低のモラルではないでしょうか?
それに自分の足で海外に取材に行って人に会ってこそ国際ジャーナリストだと思います。
ネットで読んだことを調査なしで書くだけなら、それは「ネット読み」と名乗るべきでしょう。
これには多少同意します。ただしこれはあまり同意できないというのと同じ意味です。 私の意見はこうです。
「世の中の流れを完璧に捉えている人間なら、内容を見なくても大体のところは的をはずさずに予想ができるだろうし、愚者(morons)は100回見たところでその意味を掴めない」
この私(の意見)からすれば、「俺は見た見た」と騒ぐのは、愚者の行為そのものです。
あいつは見てないと騒ぐのはそのバカさ具合を確定するようなものです(confirm their stupidity)。
私の結論としては、
○町山氏が自分の「証拠」として挙げている物は、どれも証拠としての能力を持っていない。
○特に、町山氏は映画外でのムーアのイスラエルに対する批判っぷりを指して田中氏が間違っていると言っているが、ほんっっとうに天地神妙にかけてムーアが反イスラエルでないという事は何も知らない人間には絶対に分からない筈であるし、実際にそういう表面的に反対して本当は裏では繋がっているというのはこの世界ではしじゅう起こっている事である。
○町山氏は華氏911はブッシュ打倒の映画だと言っている。これはその通りであるが、それだけでは読みが浅すぎる。この映画からブッシュを消すとどうなるか。過去に書いたが、この映画を100%信じるとすると、「イラクから撤退して、サウジアラビアでビンラディン一家を捕まえて、アフガニスタンでビンラディンを拘束する」ことは否定されていない(正しい)ことになる。つまり無辜の民衆を対テロ戦争というアホな名目で殺し続ける事を継続する、というメッセージを読めなかったら、結局町山氏はアメリカ支配層の無意識的な手下となって、彼らのプロパガンダの拡大再生産を続けるしかない。
参照・http://www.asyura2.com/0406/war58/msg/651.html