現在地 HOME > 掲示板 > 戦争58 > 513.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
「華氏911」の母、米国揺さぶる 息子失い反戦活動へ
http://www.asahi.com/international/update/0813/004.html
イラク戦争で息子を失った1人の母親の悲しみが、アメリカを揺さぶっている。マイケル・ムーア監督の映画「華氏911」に死亡兵士の母として登場したライラ・リップスコムさん(50)は、「ブッシュ大統領は彼女の疑問に答える義務がある」(ニューヨーク・タイムズ紙)と評されて注目を浴び、11月の大統領選を控える同政権の悩みの種にもなった。14日からの日本公開を前に、米・ミシガン州で朝日新聞のインタビューに応じ、「海を隔てても母の思いは同じ。疑問をそのままにせず目覚めよう」と話した。
02年のクリスマス。ライラさんは長男のマイケル3等軍曹と最後に交わした会話を忘れられない。
「ママ、イラクに派遣されることになった。まもなく開戦するだろうが、今回の戦争には何の意義も見いだせない。行きたくない」
陸軍に6年以上もいて、ボスニア紛争にも従軍したベテラン兵士だった長男の言葉に驚いた。
「そのとき私は強い母であろうとしました」とライラさん。無言で息子を抱きしめることしかしなかった。
「あのとき私が勇気を持って声を上げていたら、何か行動を起こせていたら、息子が死ぬことはなかったのではないかと……。この思いはずっと引きずっています」
03年4月2日、マイケルは輸送ヘリが墜落して26歳で死亡した。最後に受け取った手紙には、「大統領は僕らをここで無駄死にさせようとしている」と怒る心情がつづられていた。
ライラさんは、自動車の街、ミシガン州フリントの公的機関で深刻な失業者対策にあたる。父を戦争で亡くし、2人の兄はベトナム戦争、長女は湾岸戦争にそれぞれ従軍した軍人一家の一員。星条旗の掲揚も欠かさない典型的な「愛国者」だ。それが、息子からの最後の手紙に突き動かされて、昨年から反戦団体の一員として活動を始めた。ムーア監督から出演要請があったのは今年2月だ。
映画が全米で6月に公開されると、一躍「時の人」になった。「ブッシュ大統領は、大量破壊兵器という見せかけの理由で息子を死なせた」と糾弾する姿をテレビや新聞、雑誌が一斉に取り上げた。7月4日の独立記念日に、ライラさんをミシガン州の劇場に招いた平和団体の女性幹部(40)は「ムーア監督は偏りすぎだと批判する人はいても、信仰心厚く、息子を失った彼女を非難できる人はいない」と言った。
「華氏911」には、戦争の「舞台裏」を暴露する数々の映像がちりばめられている。ライラさんは試写会で、あるシーンを信じられない思いで見つめた。開戦を宣言する国民向けのテレビ放送の直前、カメラテスト中のブッシュ大統領が笑いながら目玉を右へ左へと動かしていた。
「大統領は、息子を死地に追いやる宣言の直前までふざけていたのよ」
自分のもとにも、戦死者の遺族に大統領が送る定型のお悔やみの手紙が届いた。
「私の人生で最も空虚な手紙だった」
(08/13 15:27)
写真:「息子を失う母の気持ちはアメリカも日本も同じ」と話すライラ・リップスコムさん=米・ミシガン州フリントで
http://www.asahi.com/international/update/0813/images/int0813004.jpg