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(回答先: 10月末の米軍主導の北朝鮮沖「海上演習」軍事挑発で「“朝鮮動乱”勃発→小ブッシュ戦争内閣発足」……という物騒な観測 投稿者 佐藤雅彦 日時 2004 年 8 月 26 日 22:00:40)
米国頼み「中国脅威論」の危うさ(8/25)
http://www.nikkei.co.jp/neteye5/tamura/
「いったい、日本の要人は何を考えているのだろうか」と当惑しているのはワシントンの共和党系シンクタンクの幹部である。というのは、「名前を出すわけにはいかないが、自民党有力者や外交関係者がワシントンにやってきては一様に、『中国脅威論を説いてくれないか』」と真顔で頼んでくるからだ。「最初は単なる気まぐれかと思っていたが、入れ替わり立ち替わり要請してくるのでただ事ではない。しかもこれらの勢力は日本外交で強い影響力を持っている」とシンクタンク幹部はみる。
国内世論喚起しやすい条件作り狙う
確かに中国が日本にとって「脅威」であるという材料を探せばいたるところにある。人民解放軍の核攻撃能力はもとより、台湾を向いたミサイル配置、尖閣列島の領有権問題もからむ大陸棚石油開発の強行などだ。台湾問題では、「台湾独立」を陳水扁総統が主張すればただちに武力侵攻するという強硬声明がいつ実行に移されるかわからない。このまま行けば、朝鮮半島の緊張緩和で駐留米軍の大幅削減に伴う東アジアの軍事的空白を中国が埋めることをアメリカが黙認することになりかねない。
ところが、日本国内で「中国の脅威」をぶっても、盛り上がりに欠ける。日本企業は市場が急拡大する中国へとなびき、経済面での中国脅威論はすっかり薄らいだ。軍事・安全保障面でアメリカ国内に中国脅威論が高まれば、日本の世論を喚起しやすく、その尻馬に乗れる、との計算があるのだろう。
ブッシュ政権は発足当初こそ、対中警戒論をぶち上げていた。ブッシュ大統領は就任当初、江沢民国家主席から電話をもらっても出なかったし、ホワイトハウスは中国の経済規模が日本を抜くのを恐れて小泉改革路線の全面支援を約束した。ところが「9・11」を機に対テロ戦争に突入して以来、ブッシュ政権は中国との敵対関係よりも「協調」にシフトし、クリントン政権当時の対中エンゲイジメント(アメリカが中国に穏やかに関与すること)政策に立ち返ったように見える。11月の大統領選挙でケリー民主党政権が誕生しようものなら、クリントン時代に振り子が完全に戻るだろう。それがアメリカ頼みの日本の一部勢力のあせりを誘う。
対中外交基本路線をアメリカに依存するというのはもちろん、主権国家としては論外だが、根本問題は日本にはまとまった対中政策が不在であることに尽きる。「安全保障」では日米同盟の枠組みを堅持さえすれば、あとはアメリカにまかせておけばよいという「甘え」が思考を怠らせている。
日米関係、過去の「漂流」経験を忘れずに
ばく進しているように見える中国の社会主義市場経済は、貧富の格差からくる社会問題やエネルギー・電力不足や環境汚染などが端的に示すように明らかに行き詰まりをみせている。中国共産党中央は人民元切り上げどころではない。北京の内部から伝わってくる情報では、これまでの資本主義市場化一点張りの政策を見直さざるをえないほど中国経済の内実は深刻な状況にある。先のサッカー試合での観客の騒動は中国国内の社会不安が「反日」エネルギーとなって爆発しかねない不気味さを秘めているという見方にはかなりの説得力がある。日本企業の対中投資とそのリスク除去は今や日本の「安全保障」とも言える。
小泉首相は相も変わらず「靖国」で対中関係をこじらせるが、個人的な信念はあっても冷徹な外交上の打算があるだろうか。一方ではワシントンに頼んでやみくもに「中国脅威論」を盛り上げようとする勢力が台頭する。日中関係を安定させるために、日本はこうするという説明ができなければ、今やブッシュ政権だって戸惑うだけだろうし、中長期的には対中政策をめぐって日米関係に齟齬(そご)をきたしかねない。中国をよく知る専門家が東アジア外交の中枢を占めていたクリントン政権時代に日米関係は「漂流」したことを想起すればよい。