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天木直人・メディア裏読み(9月23日)国連安保理常任理事国の議論はもう沢山だ・米軍再編をめぐる日米交渉が何故進まないの 
http://www.asyura2.com/0406/senkyo5/msg/687.html
投稿者 天木ファン 日時 2004 年 9 月 24 日 08:04:22:2nLReFHhGZ7P6
 

9月23日 ◇◆ 国連安保理常任理事国の議論はもう沢山だ ◆◇ 米軍再編をめぐる日米交渉が何故進まないのか ◆◇
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□★□ 天木直人 9月23日 メディア裏読み □
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◇◆ 国連安保理常任理事国の議論はもう沢山だ ◆◇
 
おびただしい数の記事や議論が、これからもこの問題に費やされると思うとう
んざりする。自称、他称の専門家や識者の意見がマスコミを賑わすであろう。
しかし、外務省の内部にいて各国の本音を見聞きし、そして外務官僚の考えて
いること、やろうとしている事が手に取るようにわかる私には、これだけは言
っておきたいと思うことがある。

 私は「さらば外務省!」のなかで外務官僚の劣化ぶりを指摘した。それは金
銭的スキャンダルであったり、出世主義に堕した官僚の姿であるのだが、私が
最も指摘したかったのは、今の外務官僚が、国際情勢を把握することなく、そ
して各国の本音を掴もうともせず、自分たちが勝手に思い込んだ外交を、何も
わかっていない日本の政治家を振付けて演じさせようする、その無能さ、危険
さであった。国連安保理常任理事国入りの迷走もその典型例である。
 
 日本のマスコミのちょうちん記事とは裏腹に、世界は日本の安保理入りにつ
いてさしたる関心はない。それは当たり前である。世界が取り組むべきより重
要かつ喫緊の外交問題は山積している。それにもまして世界がいぶかしく思う
のは何故今日本が常任理事国入りを急ぐのか、常任理事国になって何を世界に
貢献しようとするのかということである。
 
 「国連拠出金を20%近くも出しているのに常任理事国になれないのはおかし
い」という議論ほど世界を怒らせるものはない。会社の重役じゃぁあるまいし
株を持てばよいというものではない。そういうことを口に出す事自体世界の失
笑を買うのである。「日本にできることは金を使う事くらいしかないのに、それ
が嫌なら減らせばよいではないか」といわれるのが落ちである。 
 
 波多野元国連大使がよくマスコミに登場している。彼は私が入省した時の南
東アジア第二課長でよく知っている人である。なつかしい人である。その彼が
テレビで臆面もなく本音を喋っているのには驚いた。「私が国連大使のとき湾岸
戦争が起こって、日本が130億ドルも拠出したのに国連では蚊帳の外だった。
安保理会議の外にたって廊下トンビのごとく安保理事国の代表から情報をとる、
こんな馬鹿げた事がありますか。・・・」まさしくこの発想で、日本は今から十
年ほど前いきなり安保理常任理事国入りを言い出したのである。それは日本の
エゴではないか。各国に理解されるはずはない。
 
 9月23日付の毎日新聞8面の特別座談会で河辺一郎愛知大学助教授が言って
いる。「・・・日本が安保理の非常任理事国に当選した回数は合計8回でブラジ
ル(9回)についで最も多い。・・・非常任理事国になっていた延べ16年間に日
本が何をやってきたかを検証しなければ常任理事国入りしてどうなるかは議論
できない。・・・98年のイラク爆撃の時日本は非常任理事国で爆撃を正当化する
ための決議づくりに大活躍した。実際に米英が爆撃に踏み切った際、他の12カ
国は遺憾の意を示したのに、日本だけが明確に爆撃を支持した。・・・」 
 
 同じ日の朝日新聞2面の「時々刻々」という特集記事のなかに、日本の国連
入りを各国に働きかける外務省関係者の言葉が紹介されている。最後は米国頼
みでありその米国を動かす決め台詞はこうだと次のように言ったという。
 「常任理事国に日本が入れば確実に米国側に立つ。米国にとって非常に心強
い味方になる」。まさに米国の票をもう一つ増やすだけの事である。」他の国が
これを聞いたらどう思うであろう。
 
 それにしても最近やたらと北岡伸一国連次席大使の発言が日本のマスコミに
登場する。まるで日本の国民に対して日本の常任理事国入りが必要である事を
説いて回る広告塔のようである。それもそうだとうなずける。なにしろ東大教
授時代から御用学者に徹した彼は、まさにその効用を買われて国連大使になっ
たのである。
 しかし忘れてもらっては困る。彼の仕事は国連大使として、世界の国々に日
本の常任理事国入りの正当性を説明することにある。それが難しいからといっ
て、我々国民にその必要性を説いて回ってどうしようというのか。
 
 このような外交に途方もない税金が使われてきた。マッチポンプの外務官僚
の筋書きに乗って国連総会で演説をして鼻を高くしている小泉首相は各国から
本音でどう見られているか少しは考えたらどうか。それはまた日本という国が、
日本の国民が世界から笑われているということでもある。
 
 
 ◇◆ 米軍再編をめぐる日米交渉が何故進まないのか ◆◇
 
 これほど重要な問題について何故日本はもたもたしているのか。何故政府の
考え方が国民に伝わってこないのか。その答えを9月23日の朝日新聞、舟橋洋
一の「日本、世界」が出している。要するに明らかに安保条約を逸脱した米側
の要求を、外務官僚が世論の反発をおそれて的確な対応ができずに立ち往生し、
いたずらに返答を引き伸ばしているということなのである。外務省が必死にや
ろうとしていることは、米側の要求を少しでも減らし、安保条約の範囲内でな
んとか凌ごうとする従来どおりの対応である。
 
 しかし米国の要求はもうそのような誤魔化しでは対応できないところまで来
ている。米国の要求に従って国民に了解を求めるか、国民の前にすべてを明ら
かにして国民の求める政策を米国に納得させるかのどちらかの選択を行わねば
ならない時に来ている。本来の外交に正面から向かい合う気迫のない外務省は、
ますます自らの立場を失っていっているように見える。
 
 舟橋洋一はおよそ次のようにこれまでの日米交渉の実態をリポートしている。
 「・・・8月末に訪米した海老原紳外務省北米局長と飯原一樹防衛庁防衛局長
がローレンス国防副次官を訪問した際、そこに現れたウォルフィッツ国防副長
官が中国の安全保障上の挑戦に再三言及し日本側の考えを繰り返し質した。と
ころが日本側はそれには直接答えず、沖縄のヘリ事件について抗議する旨を伝
えて終わった。ウォルフウィッツは席をたった。こうした状況に危機感を募ら
せたアーミテージ国務副長官は二人に対して「列車脱線事故のようだ」と日米
関係の現状に警告を発し、再編問題で日米間の戦略対話が作動しない事に深い
懸念を表明した。・・・」
 
 昨年から日本側と交渉に入った米政府高官は次のように舟橋氏に語ったとい
う。
 「日本側は、近く総選挙があるので時期が悪いということだった。その後何
も返答がないまま今年4月、再度日本側に協議を申し入れたが、参議院選挙が
近いのでまずいという。7月、選挙が終わったのでそろそろどうだと今度は正式
な提案を出した。すると参議院選挙の結果がいまいちだった、もう少し待って
欲しいとの返事だ。いかげんにしてほしい。・・・」
 
 これでは米国がイライラするはずである。舟橋氏は言う。「米側の最大の誤算
は“盟友”小泉首相率いる官邸が岩のように硬く、“同志”外務省が氷のように
冷たかった事である。政府は口を開けば「沖縄基地の負担軽減」を言うが、実
は基地改変は小ぶりでとどめたいように見える。日米地位協定の見直しという
「パンドラの箱」を開けることを恐れているのかもしれない。しかしそのよう
な数字のつじつまあわせではない本格的な対応が必要だ。再編に向けての共同
作業は米軍基地の一つ一つの役割と機能を洗いざらい点検することだ。・・・」
 日米安保関係は、政府や外務省、防衛庁に任せられないところまで来ている
と私はつくづく考えるのである。


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