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IP電話とSkypeとBluetoothの濃密な関係【IT_Pro】
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20040923/150287/
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20040923/150287/index2.shtml
[2004/09/24] バックナンバー
Bluetoothヘッドセットを付けたビジネスマン 海外ではこんな光景によく出会う。ちょいと近未来的サイバーな雰囲気を漂わせているが,これはBluetoothヘッドセットを付けたビジネスマンだ。彼はパソコンに向かって,会社の同僚を呼び出し,仕事の打ち合わせ中である。
パソコンとヘッドセットは2.4GHz帯の無線でつながっている。両手が自由になっているからパソコンのアプリケーションを操作しながら,白熱の“会議”を繰り広げている。活躍しているのはソフトフォンと呼ばれるパソコン上のIP電話である。
米国などで開かれる国際会議にはこんなユーザーがあちこちに陣取って,国際IP電話をかけまくっている。海外に出張される方なら,こんな光景はもう何年も前から当たり前で何を今さら,と思われるかもしれないが,日本ではまだまだ物珍しさがつきまとう。
相手が会社の同僚であれば,パソコン同士で完全無料通話,互いのパソコンを相互に見せあいながら,延々と「ここは,こうした方がいい」と具体的な意見交換や,指示が飛び交う。相手が取引先であれば,先方は多分,加入者回線電話なのだろう,あたりを歩き回りながら口角泡を飛ばす議論が続く。この場合も,先方は遠く離れた海外在住者のようだが,通話料は現地の市内料金のみ。1分間2円とか,4円とか。
Bluetoothヘッドセットがようやく日本にも
この種のBluetoothヘッドセットは,Bluetooth内蔵携帯電話や同じくBluetooth内蔵のパソコンにIP電話ソフトを組み合わせるとハンズ・フリーでの会話が楽しめる。
日本人はこんな装置を耳に付けて大声で話すなんてちょっと気恥ずかしいし,そもそもこうしたBluetoothヘッドセットが使える携帯電話がほとんどなかったから,普及が大幅に遅れた。日本の無線通信機器に対する認定業務が面倒で,時間がかかりすぎるという大きな問題があった。そのため,小さな海外メーカーなどは日本進出を敬遠,海外では街角の携帯電話コンビニでも売っているような便利な機器なのに,ほとんど日本市場に紹介されることもなかったのだ。
しかし,ようやく状況は変わるかもしれない。問題の無線通信機器認定の参入障壁については,重大な問題なので,別の機会に譲るとして,追い風がたくさん吹き始めていることを少し話題にしてみよう。
11月に控える道路交通法改正も,この分野の機器普及に追い風になりそうだ。車の運転者が走行中に携帯電話を操作すると6000円の反則金がかけられるようになる。改正前は携帯電話を片手で持ちながら運転していても,危険な運転をしているとはた目に認められなければ罪に問われることはなかった。しかし,11月からは違う。運転中に操作しているだけで,反則金対象となる。
こうなるとハンズ・フリーで着信電話を受けられるBluetoothヘッドセット,あるいは,スピーカ・ホンとして使える車載電話装置などを使わざるを得なくなり,市場にはこうした製品が続々登場しそうな気配だ。
対応がほとんど進んでいなかったBluetooth付き携帯電話も,ちらほらだが登場してきている。海外の機器に比べて2〜3年の遅れだが,環境が徐々に整ってきたため,携帯電話に対応するこの種のヘッドセットも街の電器屋さんで売られるようになるだろう。
さらに,パソコンで使えるIP電話サービスのキラー・アプリが登場してきたのも強力な追い風だ。たとえば,最近話題のインターネット電話「Skype」(関連記事)などが一般に使われるようになってくれば,通話がハンズ・フリーで行えるBluetooth ヘッドセットは脚光を浴びることになるかもしれない。
ヘッドセットを使うとSkypeも音質向上
P2P技術を使ってサーバーを介さずに電話・会議ができ,しかも音質が良いと評判のSkypeも,ヘッドセットを使うとさらに良い音質で通話できるようになる。さらにそれがBluetoothなら,「ヒモなし」の自由が得られ,とても快適だ。
Skypeは自分の話した声がネットを往復し,エコーを起こすのを抑制する機能が組込まれている。パソコンに内蔵されているスピーカとマイクで Skypeを使うと,スピーカから流れ出た相手の声が再びマイクに流れ込んでしまう。これを抑制しようとエコー・キャンセラが働くことになるが,これが原因でプツというノイズを反復して起こすことがある。
こんなときにヘッドセットを使うと,スピーカーとマイクが音響的に絶縁されるため音声がスムーズに流れるようになる。
実際に使ってみたら,本当に快適
何よりもSkypeが優れているのは,利用環境が広く開かれていることだ。インターネットにつながる環境さえあれば,ほとんどの場合利用可能だ。 ADSL以上の常時接続環境ならもちろん申し分ない。Skype Technologiesは,33.6kbps以上のダイアルアップ回線なら利用可能だとしている。
動作環境が幅広いのも素晴らしい。現在のところ,Skypeが使えるのは,Windows 2000, XP, Pocket PC, Mac OS X と Linuxと幅広い。
ファイアウオールやNAT環境の背後にあったとしても,ほとんどの場合,使える。これまで,パソコン上でボイス・チャットや加入者電話回線につなげられるサービスがいくつかあったが,ファイアウオールで利用可能プロトコルが制限されているような場合,あるいはプライベートIPアドレスで外界から切り離されているようなときには使えなかった。しかし,P2P技術を使ったSkypeはクライアント同士が互いに使える通信ポートを探しだし,自動的にセッションを張ってくれる。
通話内容はエンド・トゥ・エンドで暗号化され,盗聴にも強い。
あっけないほど簡単
Skypeのサイトには,無料でダウンロードできるクライアント・ソフトが置いてある。自分の手持ちの機器に合わせてこれをダウンロードし,自分で適当にユーザー名,パスワードなどを設定すると,すぐにPC同士のIP電話が楽しめるようになる。PCユーザー間なら当然使用料金は全くの無料だ。
さらに,最低10ユーロ(約1320円)ほどデポジットしておけば,世界各国の加入電話に格安の国際電話ができるようになる。デポジットはクレジット・カードで簡単に購入できる。
各国への電話料金はSkypeサイトでご確認いただきたいが,たとえば米国なら地上回線・携帯ともに1分間約2.24円,日本へは地上回線1分間約3.57円,携帯向けが約20.7円。これはかなりお得である。
Skypeでは,現在のところ,Skypeから加入者回線に向かってかける「SkypeOut」しかサービスしていないが,いずれ,加入者回線からSkypeユーザーを呼び出す「SkypeIn」も用意すると明言している。
前回の記事,「IP電話の利便性損なう総務省判断」で指摘したように,日本では,加入者回線からインターネット上のIP電話サービスにつなぐ仕組みは当分実現できそうにないが,海外のどこかに置いたゲートウエイからこれができるようになるだろう。
こうした新しい利用方法,特に電気通信関係の新規サービスは海外から巻き起こり,しばらくして日本に入ってくる。Skypeのようなサービスは,監督省庁などがあずかり知らないところから,一気に日本に入って来るかもしれない。こうした流れを止めようとするのは,もう,ナンセンスでしかない。新しいビジネスがすくすくと育ち,より利便性の高い社会が来ることを願いたい。
(林 伸夫=編集委員室 主任編集委員)