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個人発信『ウェブログ』から民主的メディア革命を(上)【hotwired】
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20010801301.html
Leander Kahney
2001年7月30日 2:00am PDT マサチューセッツ工科大学(MIT)のメディアラボは、膨大な数の『ウェブログ』――ウェブ上のコンテンツに関する個人的な注釈付きのリンクリスト――を調べて最も人気の高いハイパーテキスト・リンクのインデックスを作成するツールを実験中だ。開発者は、このようなインデックスを、マスメディア向けの情報源にするという野心的な計画を抱いている。
先週開始された『ブログデックス』は、検索エンジンのスパイダーに似ており、ハイパーテキスト・リンクを探して1日に約9000件のウェブログを訪問する。スパイダーとは、ウェブ中を動き回ってすべてのコンテンツを中央サーバー上に保存するコンピューター・プログラムのことだ。
ブログデックスはリンクを抽出し、人気順にランク付けする。人気が高いトップ10のリンクは、毎日ブログデックスのサイトに掲載される。
「自分たちが生み出している情報について考えるための道具が必要とされていると思う」と、ブログデックスの生みの親、キャメロン・マーロー氏(24歳)は述べている。マーロー氏は、メディアラボに在籍する博士課程の学生だ。
ブログデックスは、リンクの人気ランキングによって、ウェブログの世界で今何がいちばんホットな話題かについて、見当をつけやすくする。
ウェブログは現在、インターネットのなかで、最も熱い注目を集めているコンテンツだ。
ウェブログは、特定の利用者がウェブを動き回った足跡を記録したもので、その人の関心のある項目のリストのことだ。このリストは定期的に更新され、必要に応じてちょっとした解説が付いている場合が多い。
ウェブログはそのときどきの最新情報に密着しており、サーチエンジンよりも頻繁に更新される。このため多くの場合、ウェブ上で最新の、重要な、興味深いコンテンツを見つける最適の方法になる。
長い間、さまざまな形態のウェブログが使われてきたが、新しく使いやすいソフトウェアの登場でウェブログの数は爆発的に増加している。
またマーロー氏によると、ウェブログは個人や一般大衆の活動に意見や解説を添えた、新しいタイプのニュースを新しく生み出しているという。
「ウェブログはウェブ上で最も民主的なメディアだ。ウェブログの作成者たちは実に優秀な編集者で、絶えずコンテンツを融合させている。なかには多数の閲覧者を引き付けているものもある」とマーロー氏。
問題なのは、大きな人気を集めているウェブログがごく少数しかないことだ。ほとんどのウェブログは、比較的無名の存在だ。
マーロー氏は、コミュニティー全体の興味関心を集計することによって、ブログデックスが個々のウェブログ編集者に脚光を当てることを期待している。
ブログデックスがリンクを人気順にランク付けすると、関心が集まっているトピックに自動的にスポットライトが当たることになる。一定数以上のウェブログ編集者が同じ行き先にリンクを張っていれば、リストのトップに躍り出ることになるわけだ。
これは、検索エンジン『グーグル』の検索アルゴリズムで利用されているのと同じ理論だ。
グーグルの検索結果は、個々のウェブページ宛てに張られているリンク数が多い順に並べられて出てくる。このアルゴリズムは、ウェブ上のリンクの関係構造を、リンクの関連性の尺度として利用している。
ウェブの日刊ニュースサイト『SFゲート』の開設者で、同サイトの総責任者を務めたこともあるジョン・コート氏は、次のように述べている。
「キャメロン・マーロー氏のブログデックスのようなものが発展していけば、ニュースや意見の大衆のあいだでの伝達手段に大変革をもたらすものになると私は考えている。ブログデックスは本質的に民主的で、大手ニュースメディアを迂回するような情報経路を持っている。さらに、多極分散型の傾向が非常に強いため、巨大ニュースメディアに買収されたり吸収されたりする危険もほとんどないようだ。したがって、マスメディアのフィルタリングや大がかりなビジネス計画に支配されることもない。ブログデックスは、よりよい世界を作り出す力になることだろう」
これまでにもウェブログのインデックス作成ツールは存在した。昨年、『ビーボ』の『メタログ』が稼動開始したが、現在はオフラインになっている。『トム・アンド・イアン』は、人気のあるリンクのリストを掲載し続けているが、含まれているウェブログの数はほんの一握りにすぎない。
現在までのところ、ブログデックスが情報を収集しているのは、ウェブログ掲載システムの『ブロガー』を利用しているウェブログサイトだけとなっている。マーロー氏は来週メディアラボに戻ってからすぐに、『マニラ』、『パイタス』、『グレイマター』などを利用しているサイトも、情報収集先に追加する予定だ。
マーロー氏はブログデックスを立ち上げた日の翌日から長期休暇を取った。多数のウェブログがいっせいに取り上げられたため、当然、トラフィックが大量に襲来したが、準備体制は整っていなかった。
「ブログデックスは、リンクを正しく更新していない。今のところ、うまく対処できているとはとても言えない状態だ」とマーロー氏は話している。
(8/2に続く)
[日本語版:河原 稔/湯田賢司]
個人発信『ウェブログ』から民主的メディア革命を(下)
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/technology/story/20010802307.html
Leander Kahney
2001年7月30日 2:00am PDT (8/1から続く)
マーロー氏はまもなく、特定のリンクの人気の高さを一定期間にわたって追跡調査するツールをブログデックスに追加する予定だ。
特定のリンクが持つ「勢い」を観察してゆけば、いつ主流へとブレークするかを予測したり、流行遅れになった時点を突き止めたりできるようになるだろう。
「これは、インターネットの『ミーム学』、つまり、一定期間でミーム[文化的情報の複製単位:文化「意」伝子]がどのように進化、発展するかを調べる1つの方法となる」とマーロー氏。
さらにマーロー氏は、誰が何をウェブログに掲載し、どことどこのウェブログが互いにリンクを張っているかを自動的に分析できる機能も付け加えたいと考えている。
「形成過程にある社会ネットワークに興味がある」とマーロー氏。
マーロー氏が描いている分析方法の構想には、リンクタグに挟まれたテキスト部分を取り出して分析するという方法が含まれている。このテキスト部分には、リンク先の特徴を説明する言葉が使われている場合がある。
一定数以上のウェブログ編集者が、リンク部分に「これはオススメのサイトだ」と書いていれば、そのサイト、ページ、ニュース記事などについてのウェブログ・コミュニティー全体の意見がわかるというわけだ。
このタイプの情報が、ウェブログのインデックス、つまりディレクトリーを作成する際に利用できるかもしれないとマーロー氏は考えている。だが、ディレクトリーがどのようなものになるかは、まったく見当がつかないという。
「これはすべて、情報源の性質によって決まることだ。まずディレクトリーを構築して、どのようなものになるかを見てみるつもりだ。目に見える形にできさえすれば、そのディレクトリーがどのような姿になるか具体的に手がかりがつかめる」とマーロー氏。
マーロー氏によると、インデックスは、『ヤフー』のようなディレクトリーと、今ホットな話題とそうでないものを示すリストとの中間的なものになるという。ヤフーのディレクトリーは現在、大きくなりすぎて使いものにならないとマーロー氏は考えている。
マーロー氏は、ゆくゆくはマスメディアのニュース編集者や記者の役に立つ一連のブログデックス・ツールを作りたいと考えている。これらのツールを使えば、マスコミは爆発的に増加中の「個人発信ニュース」に関する情報を入手できる。
たとえば、マスコミの編集者がブログデックスを使って、関心のある領域の専門知識を持ったウェブログ編集者を割り出せるようになることを、マーロー氏は構想しているわけだ。従来のロイターやAP通信がニュースを供給するように、ウェブログからのニュースが編集者に配信されるようになるかもしれない。また、ミームがウェブに伝播するようすを追跡調査して、廃れた時点でインデックスを作成することも可能になるだろう。
人気のウェブログ・コミュニティー、『メタフィルター』の管理者、マット・ホーヒー氏は、『メタログ』サイトの閉鎖でできた穴をブログデックスが埋めるかもしれないと述べている。
「人気の高いミームは何かを調べるために、メタログをよく訪れていたものだ。メタログは、ホットなニュースを手に入れる場を提供したばかりでなく、人気の高いミームを話題にしている人物を探し出せば、同じ問題に関するさまざまな見解を入手することもできた。ブログデックスがこれから実際に、誰が何を話題にしているかを明らかにしてくれることを期待している」とホーヒー氏。
またホーヒー氏は、「現在、何万というウェブログがある。これらに分け入って行く際に役立つような、一元化されたサービスがあればいいと思う。話題の新規ウェブログや、その中にある人気の高いリンクをたどれるような、中央に一元化された検索システムができてほしい。ブログデックスはおそらく、便利なウェブ・アプリケーションとして、役立つことだろう」と述べた。
米タイム社の代替メディア技術部門の責任者、ピーター・メイヤーズ氏は、こうした意見がすべて希望的観測の域を出ないとしても、「マーロー氏と彼の実績を大いに評価している」と述べている。タイム社はメディアラボのスポンサーだ。
[日本語版:河原 稔/湯田賢司]