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(回答先: ネットで「本」を読みますか?【slashdot】 投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 9 月 26 日 14:53:06)
「9.11報告書」を読みやすくして提供するブロガーたち【hotwired】
http://hotwired.goo.ne.jp/news/news/culture/story/20040729205.html
Staci D. Kramer
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2004年7月27日 2:00am PT 2001年の米同時テロに関する国家調査委員会(通称:9・11委員会)は先ごろ、『9.11委員会報告書(PDFファイル)』を発表した。待望の最終報告書は、ドキュメントをそのまま作成した形のPDF版と書籍の形で公開された。ところが、発表形式に不満を持った一部のインターネットユーザーが、報告書をもっと入手しやすく、読みやすくしようと、すぐさま文書に手を加えはじめた。その結果、報告書の発表からわずか数時間のうちに、ウィンドウズの『メモ帳』、HTML、機能を付加したPDFなどのフォーマットに変換したバージョンが、オンラインで公開されている。
委員会と米政府印刷局(GPO)は22日午前11時30分(米国東部標準時)、PDF形式による最終報告書の全文および要約をオンラインに公開した。同時に、GPOと米W・W・ノートン社の共同出版による書籍版も発売された。この本は瞬く間にベストセラーとなった。
ウェブデザイナーでブロガーでもあるジェイソン・コトキー氏は、フリーの変換ツールを使い、報告書の要約をHTML形式に変換した。そして、それを読みやすく整理して常設リンクを追加し、自身のウェブログサイト『コトキー』に掲載した。「実際に誰もがリンクでき、ブロガーたちがコメントできるような形式にしたかった」とコトキー氏は言う。全文をHTMLに変換するのは時間がかかりすぎるために断念した。25日午後の時点でのページビューは約1万で、コトキー氏の予測を超えるにはいたっていない。
同じくブロガーのミシェル・カタラーノ氏は、1998年にクリントン元大統領のスキャンダルに関する『スター報告書』をオンラインで読もうとして、あまりの読みづらさに断念した経験がある。そこで今回はアプローチを変え、7.5MBにおよぶPDF版報告書のサイズを約6分の1に縮小したテキスト版を、協力者の手も借りて作成し、自身のブログ『ア・スモール・ビクトリー』に掲載した。25日時点でのダウンロード回数は348回だ。報告書が他のフォーマットでも手に入ることを考えれば、落胆するような数字ではないとカタラーノ氏は言う。
「PDFは好きではない。具体的な箇所を人に指し示すのが難しいからだ。理想としては、報告書全文をHTML形式にして検索できるようにするのがベストだと思う」と話すカタラーノ氏は、それでも委員会が迅速に報告書を公開したことを評価した。「こうした情報がただちに公開されるのが、民主主義の素晴らしいところだと思う」
カタラーノ氏は、政府がもう一歩大きく前進し、人々が多様なテクノロジーを利用している現状を認識して、今後は重要文書をテキストやHTMLなど複数のフォーマットで公開してくれることを期待している。
この報告書を、自らの技術をアピールする好機として利用する例も見られた。検索エンジンの米ビビジモ社は、報告書をインデックス化し、トピック別にいくつかのクラスター(グループ)に分類して、文書をパラグラフごとに検索できるようにした。各クラスターには、たとえば「サウジ」「タリバン」などのトピックラベルがつけられている。ユーザーが独自のクラスターを作ることもできる。検索件数は最初の3日間で2万件を超えたという。自由検索のキーワードとして最も多かったのは、「バーガー[サンディー・〜:クリントン政権時代に国家安全保障問題を担当していた大統領補佐官。テロ関連の機密書類を米国立公文書館から持ち出した疑いがかけられている]」「クリントン」「イラク」「ブッシュ」「イラン」だという。
PDFの専門家、シド・スチュワード氏は、報告書の発表から45分と経たないうちにPDF版の改良バージョンを作成し、人気ブログ『ボインボイン』にリンクを掲載した。改良バージョンでは、ファイルサイズを縮小し、ブックマークを追加して、フロントページとしてHTML形式の目次をつけた。おかげで、近く出版予定の自著『PDFハックス』(PDF Hacks)を口コミで前宣伝できたという。
「自分の文章を人に読んでほしければ、できるだけ簡単に読めるようにすべきだと思う。PDFは作成やオンラインへの掲載が非常に簡単だ。PDF機能(たとえばブックマーク)をいくつか追加するには多少手間がかかるが、やるだけの価値は十分にある」とスチュワード氏は電子メールで述べた。
HTMLバージョンの作成はもう少し面倒だが、HTML形式のフロントページを持つウェブサイトに大きなサイズのPDF文書を掲載することが「小さな一歩となり、やがては人々を動かすことにつながる」と話すスチュワード氏は、情報技術に関する障壁の解消は法律で義務づけられているのだから、政府が何らかの情報を発信するさいには、必ずHTMLバージョンも提供すべきだと考えている。
ブロガーのアンドルー・グルーメット氏は、スチュワード氏のバージョンを使って、報告書からとくに読むべき部分をリストアップし、さらに原文の当該箇所に直接飛べるリンクを提供している。また、同じリストのXMLバージョンも提供している。
音声バージョンの提供にはもう少し時間がかかった。デジタル音声コンテンツを販売する『オーディブル・コム』では、報告書の発表後ただちに5、6人の声優に朗読を分担させ、23日には31ページにわたる要約を、サイトに登録すれば無料で聴けるかたちで提供した。報告書全文の音声バージョンはまだ制作中だが、28日までには公開する予定で、オーディオブック版も10ドルで発売するという。
要約の音声バージョンは、提供開始から4日目の26日午前の時点で、わずか1300回しかダウンロードされていない。同サイトではほかに、リチャード・クラーク元大統領補佐官とコンドリーザ・ライス現大統領補佐官が証言を行なった9.11委員会の公聴会の音声ファイルも提供しているが、こちらは提供開始から5日間で3000回ダウンロードされ、現時点で12万回を超えているという。
オンラインでは複数のフォーマットで無料で手に入るにもかかわらず、報告書の書籍版はかなりの売れ行きを示している。発売初日だけで15万部以上が売れ、『アマゾン・コム』でもたちまちランキングトップに躍り出た。
オンライン版を提供している人たちも、無料で見られるものを8〜10ドルプラス送料を払って購入する人がいることに驚いてはいない。全部で500ページを超える文書をプリントアウトして持ち歩いたり、オンラインで読んだりすることを考えれば、けして高い値段ではないのだ。それに本は、ウェブページやプリントアウトした文書よりもいい記念になる。
カタラーノ氏も、すでに前半の200ページをオンラインで読んだにもかかわらず、書籍版も買うつもりだという。「こうしたものは読むためだけに買うとは限らないし、そもそも報告書を500ページ読み通せる人は多くないと思う。これは歴史を語る記念品なのだ」
[日本語版:鎌田真由子/高橋朋子]
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