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(回答先: Re: 上田秋成 vs 本居宣長の 「天皇神話論争」 A 【宣長 切腹!】 投稿者 ジャック・どんどん 日時 2004 年 11 月 18 日 20:43:49)
割り込みレス失礼します。
ジャック・どんどんさんの秋成vs宣長の天皇神話論争のご紹介は興味深かったです。
長部日出雄『天皇はどこから来たか』の本はつん読だったのですが、引っ張り出して該当箇所を読んでみました。
なるほどと思う半面、小林秀雄の『本居宣長』からかなりの部分インスピレーションを受けているのかなという印象も受けました。
もちろん、小林のほうがかなり長く両者の天皇神話論争のくだりを紹介しています。
長部氏の記述は良くも悪くもジャーナリスティックな印象で、小生はといえば、いうまでもなく、ジャック・どんどんさんやバルタン星人さんと逆に、宣長の反論に説得力を感じてしまいます。
小林秀雄を引用すれば
「古伝を外部から眺めて、何が見えると言うのか。その荒唐を言うより、何も見えぬと、なぜ正直に言わないのか。宣長は、そう言いたかったのである。実際、「古事記伝」の註解とは、この古伝の内部に、何処まで深く這いり込めるか、という作者の努力の跡なのだ。」(『本居宣長(下)』新潮文庫、p.141)
ということになります。
地球儀を見ても世界の本質はわからないわけで、それをわかったような気になってしまうところが、近代理性主義(俗流と言うカッコ付きで「啓蒙主義」と言い換えてもいいと小生は思っていますが)の悪弊、限界、欠陥と言えるように思います。
秋成は、その点で近代理性の罠にはまっているようにも見えるのですが、何しろ宣長に関しては小林の該当本で目覚めた程度、秋成については「雨月物語」の作者程度の知識しかないので、このへんで。