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(回答先: プロ野球選手会史上初のスト突入! 投稿者 ZUMA 日時 2004 年 9 月 17 日 21:16:41)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040917ig90.htm
「本日の試合は中止となりました」。各地の球場には、きょう一斉に、こんな看板が掲げられているだろう。
プロ野球の選手会は「スト決行」を決めた。プロ野球史上、初めての事態だ。試合を楽しみにしていたファンへの裏切り行為である。
一週間前、双方が歩み寄りを見せ、ストの延期を決めたばかりだ。その後の話し合いは何だったのか。
選手会は、最後まで近鉄の存続にこだわった。だが、これはそもそも球団の経営事項に関することである。実現が難しいとみると、今度は新規球団の来季からの参入に固執した。
経営側も、そこまでは譲れなかった。新規参入には、きちんとした審査が必要だからだ。
中立的立場にいたコミッショナーが、最終局面で出した調停案も、結果的に選手会に踏みにじられた。コミッショナーは「ストに入れば球団がさらに疲弊し、解散、倒産に至ることもあり得る」と警告していた。
今後、ストの違法性が議論されることになるだろう。試合の中止で経営側は相当の損失を被る。経営側も、当然賠償請求を検討している。
入場料収入や放映権料など、球団側の被る損失は数十億円という試算もある。球場周辺の交通機関や店舗、旅行会社の売り上げなどにも影響するはずだ。
プロ野球には、七十年の歴史がある。日常生活の中で、ちょっとした野球の話題が人と人をつなぐ話のきっかけとなっている。オープン戦、ペナントレース、日本シリーズ、ストーブリーグ、それぞれが四季の風物詩として暮らしに溶け込み、一つの文化を形作っている。
アテネ五輪の間も、夏休みに入った子供たちなど、ファンのために試合は続けられた。百四十試合を滞りなく終え、優勝チームと個人記録を歴史に刻む。そのことに意味がある。ストは、その一ページを空白にしてしまうのだ。
野球界が今後、「労使対決」のイメージに染まってしまうことを恐れる。選手会が、ストの「引き際」を心得ていると信じたい。
ずるずる続けば一九九四年の米大リーグストの二の舞いだ。高額年俸の抑制制度導入を図る経営側に選手側が反発し、ストは二百三十二日に及んだ。多くのファンが離れ、翌年、リストラや年俸カットが選手たちを待ち受けていた。
ファンの期待を思えば、正常なペナントレースに戻す努力を選手会、経営側双方でぎりぎりまで続けるべきだろう。スト中止もまた英断である。
(2004/9/18/02:33 読売新聞 無断転載禁止)