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(回答先: 04/14 10:20 ウイルス誤送で原因調査 米、危険性認識せず選択か 共同 投稿者 倉田佳典 日時 2005 年 4 月 15 日 20:58:41)
特報 米国発ウイルスばらまき騒動
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050422/mng_____tokuho__001.shtml
米国の研究所が“過失”で世界中に殺人的なインフルエンザウイルスをばらまき、世界保健機関(WHO)が緊急アピール。各国で捜索、処理騒ぎが起きている。肝心の米国内の処理が終わっておらず、ほかの国々の情報も混乱した状態だ。ならず者国家を征伐する国が、間違って人類を滅ぼしかねない逆説とは。
「研究所に厚生労働省から連絡が入ったときは、相当うろたえていたようです。まさか、そんな物が入っていたなんて…。かかわった社員は念のため健康診断を受けた。迷惑な話です」
問題のウイルス、H2N2型インフルエンザ検体を受け取っていた国内の検査機関の関係者は明かす。
米国の民間組織「米国臨床病理医協会(CAP)」が、オハイオ州のバイオ関連会社「メリディアン・バイオサイエンス社」に試料づくりと送付を委託し、日本を含む十八カ国・地域、三千七百四十七カ所の施設にH2N2型検体を送付していたことが明らかになったのは今月十二日のことだ。
カナダの研究機関が、送られてきた検体が一九五七年から五八年に大流行し約百万人が死んだ「アジア風邪」と同じ型のウイルスだと気づき、カナダ保健省を通じWHOに報告した。このウイルスは一九六八年以降に出生した人には免疫がなく、現行のワクチンには同型に対するウイルス抗原は含まれていない。
■日本9施設完全に処分
WHOは二十一日もホームページの題字の真下に緊急性を表すオレンジ色で警告欄を設け注意を促している。各国に廃棄を要請し、現在までに日本国内の九施設を含め検体の処分は終了。唯一、まだ処分途中なのは米国だ。
また、レバノン、メキシコなどで、メリディアン社が送付した検体を研究機関が受け取っていないという迷子騒ぎも起きた。「送った」「もらってない」のやり取りの末、よくよく捜したところ運送会社の倉庫や空港などから見つかった。
なぜ米国内の一民間機関から世界各国の多数の研究機関にウイルス検体が送られるような仕組みになっているのか。前出の国内研究機関の担当者は説明する。「CAPの認証というのは、検査機関にとっては国際的な権威がある。いわば国際標準化機構(ISO)のようなもの。主立った企業は信頼性を高めるため取っている」
今回送られたのは、CAPの認証をとった企業が、引き続きその能力を持続させているかを検査する精度管理試験のためのセットだったという。「厳しい管理を求める組織がこんな問題を起こすとはどういうことだ。三菱自動車が不祥事を起こしたときに『あの三菱が…』というのと同じような衝撃がある」
グローバルスタンダードの潮流が「空飛ぶキラーウルス」を出現させたといえそうだ。
なぜ、致死ウイルスがテストのなかに混ざったのか。CAP側は当局に対し「人事異動や業務委託などの要素が重なり、潜在的に危険のあるウイルスを加えることになった」などと説明。メリディアン社側はホームページで見解を発表しているが「試料は専門機関の熟練者が取り扱っている」と外部への危険性がないことを強調する。
さらに「二〇〇四会計年度、わが社のCAPへの売り上げは三百万ドルに上り、営業利益は七十五万ドルだ」と業績について触れたうえで、「CAPへの試料供給の長い歴史の中で、規則違反をしたことはない」となぜか誇らしげだ。
米疾病対策センター(CDC)のガーバーディン所長は「実験室で増殖しやすいことなどから、危険性を十分認識せずこのウイルスを使ったのではないか」とメリディアン社の“重過失”の見方も示している。
今回、米国内から持ち出された「アジア風邪」のインフルエンザウイルスの危険性や流行の可能性について、専門家はどう見るか。
「キラーウイルス感染症」などの著書がある日本生物科学研究所理事の山内一也氏も「H2N2が収まった一九六八年以降に生まれた人には抗体がなく、免疫がゼロだから、人に感染すると、大流行の再来を招きかねない。危険性はある」と強調する。
生物資源利用研究所所長でインフルエンザウイルスが専門の根路銘(ねろめ)国昭氏は「このインフルエンザウイルスはウイルス全体の危険度のレベルが下から二番目に低く、米国内での取り扱いで規制されていない」としながらも、「実は九〇年代後半に中国南部で、H2N2とみられる抗体を持つ二十歳以下の二人が確認されたが感染源は分かっていない。他の国や地域で外部に発生すれば、日本で再び流行する可能性も否定はできない」と、いまだH2N2型ウイルスが出現する恐れも指摘する。
こうした危険性のあるウイルスの検体が今回の事件では世界中にばらまかれたのだが、どうしてこのようなことが発生したのか。
「生物テロ どうすれば生き残れるのか」の著書がある山野美容芸術短期大学教授で細菌学が専門の中原英臣氏は「私もインフルエンザウイルスよりもっと危険度の高いウイルスを一定のルールに基づいて海外の研究機関などに送付したことがあるので、H2N2型を送ってはならないということはないと思う」としながらも、「通常、検査能力テスト用試料であるならば、すでに自然界で消滅し、送る必要のないウイルスを送ること自体、メリディアン社の完全なミスだ」と指摘する。
そのうえで「今回はインフルエンザウイルスでよかったが、もっと怖いウイルスならばどうなのか。単純ミスも日本航空と同じで、繰り返されると大きな事故になりかねない危険性がある。この種の扱いでミスは許されない。ルールと法律がきちんと管理されなければ」と危機管理の必要性を指摘する。
軍事ジャーナリストの神浦元彰氏は「生物化学兵器は病原体が潜伏中に伝染していくという想像もできないほどの被害を起こすものだ。人間は事件、事故が起こらないと、問題の恐ろしさを分からない面があるが、人間は必ずミスを犯すということを肝に銘じておかなければならない。日本人は米国について立派で安全な国と思っているが、それは幻想で過大評価だ」と批判する。
「将来、大流行する恐れのあるウイルスの検体を、米国の一検査機関が勝手に世界中にばらまいたこと自体、大きな間違い。指示系統は二の次の問題だ」。前出の根路銘氏も問題点をこう指摘したうえで、米国の管理のあり方にも疑問を提示する。
「米中枢同時テロを体験し、世界で一番セキュリティーが厳しいとされる米国で、危険性のあるウイルスの検体が不用意に世界中にばらまかれたということ自体、米国の危機管理が徹底されていなかったと言われても仕方がない。その甘さが問われている」