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NTTの『牙城』基本料金
ソフトバンク、KDDIが切り崩し
NTTが事実上独占してきた固定電話の基本料金が、激しい価格競争時代に入りそうだ。先月末以降、ソフトバンクグループとKDDIが相次いでNTTより安い新サービスを発表。「聖域」を脅かされるNTTは強い危機感を抱いて防戦に懸命だ。消費者には大歓迎の“価格破壊”も、通信事業者にとっては生き残りをかけた厳しい戦いとなる。 (経済部・市川千晴)
「NTTが独占してきた基本料を奪いに行く」。先月三十日、ソフトバンクグループの孫正義社長はNTTより月額基本料金が二百円安い固定電話サービスを十二月一日から始めると発表、同社に「宣戦布告」した。
さらに、十日後の今月九日にはKDDIが詳細は未定ながら両社よりさらに割安な固定電話サービスを来年三月までに開始することも分かった。都市部住宅向けの月額基本料を千五百円程度、市内の通話料を八円程度(三分間)と最も安く抑え、市外通話も他の二社が距離に応じて二十−八十円(同)かかるのに対し、距離にかかわらず一律十数円(同)とする方針でお得感を強めた。
新規参入二社の特徴は、NTTでは固定電話設置時に必要な七万二千円の電話加入権が無料なこと。月々のコストを比較しても、ソフトバンクはNTTからの移転工事費の一部として顧客から五年間、毎月百円を徴収するためNTTとの実質的な差は百円にとどまり、KDDIも同様の料金を徴収する可能性はあるが、それでもNTTより格安の見通し。関係者からは「加入権料を敬遠し携帯電話しか使わない利用者も取り込める」との指摘もある。
NTTは電話局から一般家庭など顧客までの回線を他の事業者に開放する義務を負っているが、総務省の審議会の答申に基づき昨年十一月に回線使用料を引き下げたことが、新規業者の参入が加速する背景にある。ソフトバンクグループやKDDIはこの仕組みを活用。電話局から顧客までの回線はNTTから借り、電話局間は自前の交換機やIP(インターネットプロトコル)電話網を活用することで、NTTに支払う接続料を軽減、浮いたお金で格安サービスを実現させる。
価格競争の先頭を走っているKDDIは「これまで構築してきたIP電話網を活用し、ソフトバンクより割安で競争力のあるプランを打ち出していく」と鼻息も荒い。
戦術の練り直しを迫られるソフトバンクも「さらにさまざまな料金プランを提供したい」と第二弾の攻勢に出る構えだ。
一九八五年のNTT民営化以降、固定電話の通話料金は遠距離を中心に大幅に下がった。だが、基本料金は民営化時に都市部の住宅で月額千五百五十円だったのが、今は千七百五十円と、逆に二百円値上がりした。
それだけに、今回の基本料金低下の動きは消費者には朗報。東京都内に住む主婦(35)は「生活費を少しでも減らしたいので、NTTよりも安いプランがあれば、ぜひ切り替えたい」と前向きだ。
一方、一兆八千億円の「基本料金市場」をほぼ独占しているNTTにとっては、見過ごせない事態だ。携帯電話の普及で固定電話離れが進み、通話料金市場が一兆四千億円にまで縮小している中、NTT東西地域会社の電話収入の六割を占める基本料収入は大事な「虎の子」だからだ。
NTTは防戦に躍起。「(固定電話への新規参入は)全国一律サービスである固定電話の維持に影響を与える恐れがある」として、これまで課されてきた電話回線網の開放義務の撤廃の検討に入るよう、情報通信審議会(総務相の諮問機関)に意見書を出した。
だが、通信政策に詳しい甲南大学の佐藤治正教授は「全国一律サービスの経費は基本料金でまかなえているはず。(電話回線網の開放義務のように)競争を機能させる規制も必要だ」と、NTTの主張には否定的だ。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20040912/mng_____kakushin000.shtml