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中国経済を牽引(けんいん)する華南の広東省が、市場規模七十兆円の「汎珠江デルタ経済圏」を形成し、上海の追撃を振り切ろうと躍起だ。ホンダやトヨタなどの省都・広州への進出はその“旗艦”として期待が高まっている。ただ、広東では今夏、慢性的な電力不足に加えて売り物の労働力が逼迫(ひっぱく)。一部日系企業でも受注調整を迫られるなど課題も多い。(広州 長谷川周人、写真も)
■「9+2」
広東は、輸出加工基地である広州、シンセン、珠海、東莞などの珠江デルタ地帯を中心に外資をテコに稼いできたが、上海を核とする長江デルタ経済圏が急成長し、河北、遼寧、山東三省でつくる環渤海経済圏も追い上げてきたため、広東は輸出シェアで一九九八年の41・1%をピークに下降曲線を描き、国内トップの座が揺らぎ始めた。
そこで後背地の九省・自治区と連携し、香港とマカオを合わせ、「九+二」と呼ばれる汎珠江デルタ経済圏を今年六月に形成、中国最大の経済ブロックが誕生した。中国全土の二割を占める域内の人口は四億五千万人と欧州連合(EU)を上回り、市場規模は東南アジア諸国連合(ASEAN)に匹敵するという。
ホンダ、日産に続いてトヨタなどが相次いで広州進出を決め、「莫大(ばくだい)な税収をもたらすドル箱となる」(香港当局関係者)と地元の期待は膨らんでいる。
■見切り発車
ところが、インフラの未整備などを抱えたままでの見切り発車という印象が残る。
計画停電が週平均三日といわれる上海と比べ、広東の主要都市では一−二日と短いが、企業が自衛策として自家発電機を導入したくても、当局が自ら進める電力整備計画への影響を懸念して認可を出し渋る。
広東進出のある日系大手商社は、「省政府が大型自家発の導入を絞って半年の認可待ちなどざら。仮に許可が出ても燃料の重油が販売規制に遭う。いったいいつになったら使えるのやら…」と深刻な電力不足に頭を抱える。
東莞進出の日系金型メーカーは「停電は工場が週三日で、宿舎は一日三回。休日操業や午前四時始業でフル稼働するが生産は間に合わず、七月から受注調整に入った」という。
■農村回帰
進出企業がもう一つ直面する難題がある。安い労働力の不足だ。
企業は二億人を超える農村の出稼ぎ労働者を雇用期間を区切って循環させ、安い労働力を手に入れてきたものの、胡錦濤政権が農村改革に着手した結果、農民の平均現金収入は今年上期(一−六月)、前年同期比16・1%増加。農民は安い賃金で過酷な労働を強いられる都市への出稼ぎを考え直し始めているという。
東莞進出の日系企業労務担当者は「彼らは十月の収穫期まで農村を離れたがらず、今夏は目標の七割しか確保できなかった。この手当ては現有労働力の雇用延長しかなく、賃金コスト増は避けられない」と話している。
中国がASEANとの包括的な自由貿易協定(FTA)締結を目指すなか、東南アジアと国境を接する「九+二」は将来、南方展開の戦略拠点となる。また、内陸の発展を目指す国家プロジェクト「西部大開発」が難航しており、投資環境を沿海部から内陸に向け、外資を呼び込む狙いもある。
だが、外資から資金を吸い上げるだけで、インフラなど投資環境の整備を進めなければ、「九+二」の発展は危うさを伴う。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/02kei002.htm