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(回答先: [政治][経済] 再度「がんばれ!高木社長」 投稿者 奈々氏 日時 2004 年 8 月 18 日 00:14:42)
ダイエーの帰趨に注目が集まっている。ダイエーといってもプロ野球の話ではない。その親会社であり、日本の小売業をつい最近までリードしてきたダイエーのことである。もちろんUFJと東京三菱との合併も、ダイエー球団の合併話も、すべてが一つに繋がっていることは間違いない。ダイエーは、いよいよ瀬戸際に立たされているのだ。
ダイエーの創業者、中内氏が、日本の代表として全米スーパーマーケット協会の25周年記念大会に出席し、大感激して帰国したのは、1962年のことであった。そのとき中内氏が特に感激したことが二つあった。一つは、ケネディ大統領が、有名な『コンシュマー・ドクトリン』(消費者保護に関する特別教書)をつくり、安全である権利、知らされる権利、選ぶことのできる権利、意見を聞いてもらうことのできる権利という4つの消費者の権利を明示したこと。もう一つは、当時の冷戦中のソ連とアメリカの違いを、「アメリカにはスーパーマーケットがあって、消費者が自由に消費を楽しんでいることだ」というメッセージを大会に寄せたことである。
中内氏が最も感激したのは、メッセージの内容よりも、スーパーマーケットの大会に一国の元首がメッセージを寄せたことであった。日本では考えられないことが、目の前に起こっていたのだ。歴史的に捉えれば、このときから日本のチェーンストアがスタートしたと言っても過言ではない。つまり、それまで、多店舗化ということはあっても、産業化=社会化といった概念は、日本の小売業にはなかったのである。その後、チェーンストアの思想と技術は広く普及し、大衆の暮らしが格段に豊かになったことはご承知の通りである。
ところが、日本の現状は、社会的責任を持つチェーンストアの時代と言うには、まだまだ不十分に見える。『コンシュマー・ドクトリン』に照らしてみると、まったく逆を行っているのだ。三菱自動車の問題しかり、食肉のごまかししかり、病院の不祥事しかり、温泉までも消費者を欺いている。40年以上前にアメリカで明示された消費者の4つの権利は、完全に踏みにじられているのだ。
そんななかで、ダイエーが解体の危機に瀕している。不動産に頼った拡大路線、標準化に基づかない多店舗化、営業外収入による利益構造、消費者は味方だと勘違いした傲慢さなど、これまでの多くの失策はあるものの、その理念の素晴らしさは誰もが認めるところだ。こうした時代だからこそ、本来ならば先頭を切って走って欲しいところであった。消費者主権を掲げ、これまで突き進んできたダイエーの今後に注目するとともに、40年余りの歴史の中から、われわれはもっともっと多くのことを学ぶ必要があるだろう。
すべては終わりではなく、始まりなのである。