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独禁法改正案調整大詰め 「課徴金2倍」で紛糾
公取委「抑止力」/経団連は過剰淘汰懸念
公正取引委員会が今秋の臨時国会に提出を目指している独占禁止法改正案の調整が大詰めを迎えている。公取委は違反事実を申告した場合の減免制度などで譲歩したが、違反企業に対する課徴金については、現行の2倍程度に引き上げるという原案をそのまま通す方針だ。しかし、産業界に加えて自民党建設族議員の反発は強く、タイムリミットとなる今月12日の閣議決定まで紛糾しそうだ。
公取委は、前の通常国会で提出を断念した後、法案修正を進めたが、経済界が最も反発する課徴金引き上げは堅持した。現行では違反対象商品の売上高に対して、大企業で6%としている課徴金率を12%まで引き上げなければ、抑止力にならないとの信念がある。
データの整っている平成四−十五年に明らかになったカルテル十四件、八−十五年の入札談合三十件を公取委が調べたところ、約九割の事件で企業側が8%以上の利益を上乗せしていたことが判明。6%の課徴金を支払っても、企業側にとっては痛手になっていなかった。談合では最高50・1%も利益を増やした企業もあった。
このため、違反商品売上高の15−80%という米国、総売上高の10%以下としている欧州連合(EU)など外国の課徴金率も参考に、現行の倍の12%でなければ制裁にならないと判断した。
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日本経団連は6%を維持したうえで、再犯だったり談合を主導したりした悪質事件には二倍まで加算し、利益が少なかったり調査に協力したりした場合は三割まで減算する対案を出した。
背景には、いまだに根強い談合体質を引きずっている地方の建設業者などが、罰則強化によって“過剰淘汰(とうた)”が進むのではないかとの懸念がある。現状でも違反業者には課徴金や損害賠償請求に加え、入札者からの指名停止や行政による補助金停止といったさまざまな制裁があるからだ。
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最大の関門となる自民党独禁法調査会(柳沢伯夫会長代行)では建設族議員を中心に、「12%では中小業者の利益率の倍以上。摘発は違反企業の健全再生ではなく、退場を意味する」などと反対意見が続出。談合の温床とされる公共調達についても「価格だけの判断は、地元優良企業を飢え死にさせる。外部業者による落札は、地震などに耐えられない欠陥工事を許してしまう」と不満が上がった。
自民党独禁法調査会は五日も審議を行う予定だが、今年二月に会長だった山中貞則氏が死去して以来、取りまとめ役が不在のままだ。
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≪賛意と反対…経済界割れる≫
独占禁止法の改正案について、経済界の内部でも対応は割れている。
経済同友会の北城恪太郎代表幹事は九月の記者会見で、改正案について「問題を起こさない仕組みを作ることが重要」と支持を表明。違反企業に対する課徴金大幅引き上げや、調査協力企業の制裁を減免する制度の導入に賛意を示した。
これに対して日本商工会議所は、「公正取引委員会から修正案を示されていない」(植松敏専務理事)としたうえで、「現在のような経済情勢で規制強化を必要とする根拠は希薄だ」と、改正そのものに反対する姿勢を崩していない。
日本経団連は、公取委が改正方針を示した昨年末以来、「他の法体系との整合性を無視した、拙速な独禁法改正には反対」(奥田碩会長)などと反対の姿勢を通してきた。しかし小泉純一郎首相が九月十三日、竹島一彦公取委委員長に対し、「(改正案の国会提出は)自民党の公約に盛り込んでいる」と指示するなど改正案提出が不可避になったため、条件闘争の姿勢を示し始めた。
とくに課徴金を従来の「不当利得の剥奪(はくだつ)」ではなく「行政上の制裁」として位置づける制度全体の見直しを条件に、これまで導入に反対してきた密告・調査協力制度(制裁減免)を一定の条件の下で受け入れる方針を提示。課徴金については、「新たに基準額を設け、事件の重大性や悪質性の程度に応じ増額あるいは減額」とする仕組みなどを要求している。
http://www.sankei.co.jp/news/morning/05kei001.htm