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(回答先: 「20世紀の戦争をどう理解し、解釈して、どう戦わせるかというのが、21世紀の戦争になる。」 西尾幹二 投稿者 TORA 日時 2004 年 10 月 20 日 16:17:04)
株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu82.htm
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アメリカン・ドリームは還らず (猿谷 要)
米・中の帝国から距離をもった外交が日本を守る
2004年11月2日 火曜日
◆アメリカン・ドリームは還らず 東京女子大名誉教授 猿谷 要
http://www.sentaku.co.jp/keisai/kantou.htm
◆今回の米国大統領選挙戦を見て、何を感じましたか。
猿谷 アメリカという覇権国家も、やはり衰退を免れない、といった感慨ですね。古代のローマも、近代以降の大国スペイン、イギリスにしても、時がいたれば世界支配力を失った。大英帝国は植民地戦争でライバルのフランスを打ち負かし、一方では産業革命の成就で圧倒的な経済力を身につけた。しかし、今、帝国の何が残っているか……英語だけではないですか。
◆米国のどこにそういう兆しが?
猿谷 嫌われていることに気づかずにいる。覇権国家の衰えはそうやって始まるのです。自分たちの価値基準がグローバルに受け入れられて当然だと信じ込んでいるから、世界を知ろうとしない。中東に米国式民主主義をそっくり移植しようなんて……。
◆相手はバビロニア帝国、格が違うというわけですか。
猿谷 長い時間の積み重ねがつくった文化というものへの尊重が足りない。九・一一テロ以後の国連無視にもそれが表れた。二十世紀の人間が知恵を絞ってつくった制度です。それを自分の下僕のように扱ってはアナン(国連事務総長)が怒るのも当然です。
◆しかし、米国民はテロへの戦いでは心を一つにしているようですね。
猿谷 国家的危機にさいしては個人の自由の幅が多少狭められても黙って受け入れる。星条旗への忠誠を保つ。それはアメリカ人のユーモア精神のようなものと表裏の関係にあると思います。同時多発テロから四日経って、テキサスの空港で荷物の検査を受けた乗客が、バッグの中身を問われて「ニュークリア・ウェポン(核兵器)」とジョークを飛ばしたらすぐに逮捕。一年後のニューヨークでは、レストランの駐車場で検査を受けた女性が「爆弾を忘れたわ」と答えたら、係員はウィンクして「この次には忘れないで」と。
◆率直でいて、人間味がある。
猿谷 米国研究を志した私の原体験は、太平洋戦争の末期、北海道の陸軍航空隊員として見たアメリカ人パイロットの顔なのです。われわれの飛行場にグラマンが超低空機銃掃射をかけてきたのですが、私の位置からはその若い操縦兵の横顔がくっきり見えた。本当に少年のような、純粋な表情だった。「鬼畜米英」は間違いだとその時、気づいた。
◆アメリカ人の気分としては居丈高になるのをむしろ嫌う?
猿谷 そう、私のアメリカ行脚は一九六〇年代からですが、出会う人々の気質はそれほど変わったと思わない。ただ、米国がかつての好かれた国から嫌われ恐れられる国になったことが、彼らの胸にどんな痕跡を刻んでいるか。自分たちの国は頂点を過ぎた、とはうっすら感じているでしょうね。
◆アメリカン・ドリームはもはや還らない?
猿谷 今世紀のなかばには白人が人口で五割を切る。アフリカ系とヒスパニック、アジア系などの合計が半数を超えるでしょう。国柄が内部から大変化するのを避けられない。そこに多民族共生の新たなモデルをつくるか、あるいは多民族抗争時代に入るのか。米国民全体にそういう不安感が芽生えている。アメリカン・ドリームで後世に残るのは、ハリウッドとジャズ、それにジーンズ、マクドナルド、コカコーラ。みなソフト・パワーであって、戦争能力とは関係がありません。
◆日本は、中国の冊封体制と中華思想を拒否し、 適度の距離感を保ってきた。
http://macky.nifty.com/cgi-bin/bndisp.cgi?M-ID=0367&FN=20041024013007
■4.唐の日本冊封の野望■
しかし、中国も唯々諾々と日本の対等外交を受け入れたわけ ではない。高句麗との戦いで崩壊した隋の後を受けた唐は、高句麗を滅亡させ、さらに新羅と組んで百済を攻めた。百済から 救援を求められた日本は水軍を送るが、663年、白村江の戦いで敗北する。 天智天皇は九州・大宰府に水城(みずき)、各地に山城(さん じよう)を造り、さらに667年には都を近江の大津に移し唐の襲来に備えた。
671年、天智天皇10年の11月、唐からの使節が総員2千 人、船47隻を率いて来日した。明かな威圧外交である。この時の国書には「大唐皇帝敬(つつし)みて倭王に問うの書」な るものがあったという。蛮国の王に中華皇帝が書を送る、という中華思想のスタイルそのままである。軍事的優勢の好機に、 再び日本を冊封体制に取り込もうという狙いがあった、と考えられる。 翌年、日本では壬申の乱が起こり、政権をとった天武朝は中 華との対峙と大陸からのより明確な文化的離脱をめざすべく、律令国家体制構築を進めていく。
おりしも唐は新羅の反乱に直面し、673年から新羅討伐が始 まる。唐は新羅と日本が結ぶ可能性を恐れねばならなくなり、対日圧力は劇的に弱まって、日本冊封の野望は潰えた。701年 に30年ぶりに遣唐使が送られた時には、唐はもはや冊封に応じない日本に圧力をかけようとはせず、文化移入を目的に入唐 する日本の留学生を受け入れていった。その遣唐使も894年を最後に廃止され、以降、日本は独自の国風文化を築いていく。
■9.中国に対する適度の距離感■
現代世界は多くの主権国家が対等な立場で条約を結んだり、 国際機構に加盟したりする事を前提としている。そして自立しうる力のある民族は、自ら主権国家を構成するのが望ましいと 考えられている。
しかし長く冊封体制を続け、中華思想を抱いてきた中国人に は、この世界は居心地の悪い世界である。俗な喩えで言えば、今までやくざの親分をやっていた人間が、急に町内会の一員に なるようなものである。今後、心がけを改めて、国際社会の平等な構成員としてやっていくには、相当な心的葛藤を克服しな ければならないだろう。異民族を多く抱え、また国家統合の求心力として中華思想しか持たない中国にとって、これは国家の 存立を揺るがしかねない問題である。
それに対して、我が国の方は古代から中国の冊封体制を拒否 し、自主独立の国としてやってきた。明治以降、近代の国際社 会にすんなり溶け込めたのも、対等な主権国家間の外交という 経験があったからである。
我々の先祖は1300年も前から「中華思想」や「冊封体制」 という中国側の建前を拒否し、大陸との接触を文化的・経済的なものに限って、大陸の戦乱に巻き込まれる事を極力避けてき た。日中関係がほとんどの期間、平和に保たれたのは、友好というより、日本側が中華帝国に対して適度の距離感を保ってき た事が原因である。結果的に見れば、それは大成功だった。この先人の知恵を我々は継承すべきであろう。 (文責:伊勢雅臣)
(私のコメント)
日米関係の今後のことを考えるにあたって、日本が今まで中国とどのような外交関係をしてきたかを、歴史的に検証してみれば、日米外交をどのように考えて行ったら良いかがわかるだろう。もしアメリカが未来永劫にわたって世界帝国であり続けられるのなら、アメリカの植民地として支配され続けられることでしょうが、中国の巨大帝国の興亡の歴史を見ればわかるとおり永遠に続く大帝国はありえない。
アメリカは歴史上まれに見る巨大帝国ですが、建国から二世紀あまりで国力に陰りが見えてきました。日中関係で見れば大唐帝国に白村江の戦いで破れて、唐からは絶えず軍事外交的圧力を受けていた時期と、現在の日米関係が一番よく似ているでしょう。アメリカとの戦いで敗れて占領までされて、なんとが名目的な独立はしたものの、絶えず軍事外交的圧力を受け続けている。
大唐帝国は新羅との戦争で泥沼にはまり、日本に対する圧力はだんだん弱まっていき、やがては滅んでいった。アメリカもイラクとの戦争で泥沼にはまり、やがては大唐帝国のように国力を弱めて行き、日本に圧力をかけるどころではなくなり、帝国としてのアメリカは滅んでゆくだろう。そうなっていくとすると日本は軍事や外交をアメリカに頼るわけには行かなくなる。
日本にはアメリカの恒久的繁栄を信じて疑わない政治家や評論家がたくさんいますが、世界史を見ればわかるとおり、巨大帝国は2,3世紀ぐらいしか続かない。多民族国家としてみれば米帝国はモンゴル帝国に一番近いだろう。強力な軍事力でも二つの帝国は似ていますが、二世紀も持たずに内部分裂している。だからアメリカも将来は内部分裂して今のアメリカは存在しないだろう。
アメリカでは大統領選挙が行われていますが、ブッシュが勝とうとケリーが勝とうと過去の栄光が戻ってくることはないだろう。今までが幸運すぎたのだ。鉄や石炭は豊富にあり石油はジャブジャブと湧き出してくる。ヨーロッパからは二つの世界大戦などで大量の移民がやってきて、新世界を作った。しかしこれからのアメリカは文化的な蓄積もなく、歴史的な蓄積もない弱さを露出するだろう。
数十年ぐらい前まではアメリカ人は人種的にも文化的にもヨーロッパ人とほとんど変わらぬ人々で、移民してきてから間もない人たちだった。ところが現代のアメリカは世界から移民が押し寄せてヨーロッパの影は薄くなり、名実ともに多民族国家となり、有色人種が半分以上を占める国になるだろう。だから最近のアメリカとヨーロッパの対立は歴史的必然なのだ。
現在の日本は政治、経済、外交、軍事など、全てにわたってアメリカに接近しすぎているように思う。祖先が強大な中国の軍事的圧力を命がけで排除してきたのに比べ、現代の日本の政治家を天武天皇が見たらどう思うだろうか。現在の日本の支配層はアメリカの影響を排除するどころか、アメリカを経済的に必死になって支えている。アメリカに対する冊封体制に自らはまり込んでいる。
日本が中国に対して平和的に2000年もの間、保ってこれたのは適度に距離を保って外交をしてきたからだ。しかし現代の日本はアメリカに接近しすぎて、アメリカの一員となりイラクに自衛隊まで送り込んでいる。アメリカの支配層は日本を冊封体制の一員として経済的軍事的にこき使うことを企んでいる。日本としてはそろそろアメリカとは適度の距離を保って外交していくべきであり、歴史的に見て伝統的な外交に戻るチャンスがやってくると思う。