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(回答先: Re: なつかしい説です 投稿者 ルフラン 日時 2004 年 8 月 31 日 13:30:11)
石油成因論をまとめると以下のようになるでしょうか。
1)生物起源説(有機的成因論)
A)生体分解説(化石起源説)
生体をつくる有機物が分解してできるとする説。熟成の弱い原油ほど生物の痕跡が多いことや、炭素同位対比と熟成度との関係、貯留層の地質学的な特性(構造や時代論)など、状況証拠の多さから「定説」として受け入れられている。
B)生物合成説
地殻中の微生物の活動により合成されるとする説。実際に石油を合成するバクテリアが発見され、生体を分解して熟成するには浅すぎる貯留層を説明する説として提出された。深部地殻生物圏の存在が明らかになると、異常に深すぎる貯留層も説明できるとして注目されている。しかし、火成岩や変成岩中で油田が見つからないことから、実際の量は非常に少ないと考えられている。
2)非生物起源説(無機的成因論)
A)地殻における無機的合成説(ゴールドの説)
地殻中で無機的な反応により合成されるとする説。化石が含まれそうにない程深い場所からも石油が出ることから着想された。実際に地殻深部と同じ温度圧力条件で実験的に合成できることから、これを完全に否定することはできない。しかし、2−B同様、火成岩や変成岩中に油田がみつからないことから、量的にはとるにたらないと考える専門家がほとんど。また、深部地殻生物圏の発見から、合成のメカニズムとしては1−Bの方が有力視されている。
B)マントル起源説
隕石中に炭化水素が含まれていることから、地球創生期に存在していたものがマントルに残っているとする説。マントルで新たに作られるとする考えは現在では最も少数派か。いずれにしても、マントル条件下での安定性が問題視され、ロシア以外での支持者は極端に少ない。
ここでちょっと整理しておきたいのは、もともとのMana2 さんの問題意識は、マントル起源説は正しいのか、正しければ、将来のエネルギー問題に影響を与える可能性はあるのか、という点です。その視点からは上記4つの説を、2−Bのマントル起源説と、それ以外の地殻起源説とに二大別して考えた方が良いでしょう。どちらが正しいのかによって、埋蔵量や探査・掘削技術などが根本的に違ってきます。
私は、マントル起源説には無理が多すぎると思います。完全に否定はできないのかもしれませんが、だからといって、将来のエネルギー問題がこれで解決できると主張するのであれば、「トンデモ学説」と呼んでも良いくらいだと思っています。
ルフランさん:
> 日本海には天然ガスは勿論、多量の石油が埋蔵されているとの未確認情報も有ります。
深海掘削計画(DSDP,ODP)による日本海の掘削は、どこでも天然ガスが多すぎるため(海洋汚染回避のため)、基盤岩(玄武岩?)まで到達していません。
> 地震多発地域と 石油・石炭の埋蔵地域は重なっているように見えます。
気のせいだと思います。
> メタンハイドレートの存在位置も重なっているようです。
メタンハイドレートが安定に存在するためには海溝のような低温・高圧でなければならないので、当然です。
> 余談ですが、トーマス・ゴールドは地震の原因を爆発だと捉えています。
ゴールドは、他分野に渡る先見的な予言を多数していますが、「トンデモ学説」も多かったのです。岩盤中での爆発は、地震波のP波初動が全ての観測点で「押し」になるという特徴があります。この現象は、地震観測網のデータから採石場の発破によるノイズを識別するのに利用されています。自然に生起するほとんど全ての地震波は断層運動によると仮定した時に期待される「押し」「引き」分布を示し、これによって、地殻の運動がシミュレーションされています。