現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ37 > 650.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
動物行動学の父(乳?)コンラート・ローレンツは、「種内攻撃」すなわち同一の種に属するものどうしが攻撃しあうことこそ 文化発祥の条件である、と言っている。
ニシンの群れには種内攻撃がなく、あれだけ「肩を寄せ合って」泳いでいても、まったく不快感を示さない。 ニシンにとって右隣のN1がとくに好きであることはなく、左隣のN2がとくに嫌いであるわけではない。 彼らの視線は個体に向かわない。 そこからは愛も憎しみも生まれず、敵・味方も感動的な友情もなく、それを裏切ることもなく、ただ淡々と生きているだけである。
だが、象ともなれば群れは家族や同類の固い絆で結ばれ、そこには掟があり弱いものを助け合い、強いものがリードし、壮絶な権力闘争があり、一方では勝者がおり他方では敗者がいる。 ローレンツによれば、愛と憎しみとの感情はこうした種内攻撃から一挙に枝分かれして生じてくる。 そこに人間の悲喜劇が生まれ、豊かな生活が、すなわち文化が生まれてくる。
つまり、人間は・…文化を完全に廃棄しニシンのように生きることを決しない限り・・・他人を攻撃する衝動、他人に勝りたい衝動を消し去ることができない。 ホッブスは、この衝動をまるごと人間の本性=自然と認めた。
<たえず出し抜かれること、これは悲惨である。たえず他に一歩先んずること、これは至福である。そして、競争を放棄すること。その名は死である。>