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(回答先: 「はだしのゲン」市民グループが全10巻の英訳完成 投稿者 kakiko 日時 2004 年 8 月 05 日 17:02:20)
はだしのゲンはピカドンを忘れない 岩波ブックレット NO. 7中沢 啓治 (著)
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<一九六六(昭和四一)年に、母が死にました。<中略>帰ってみると、兄がぶつぶつ怒っているのです。「どうしたんだ」と聞くと、広島にあるABCC(米国原爆傷害調査委員会)が、母が死ぬとすかさず駆けつけてきて、母の内臓をくれと執拗に食い下がったというのです。兄が、「何をぬかすか、原爆を落とした上に、おふくろの体まで取っていくのか」と怒って追い返したというのです。じつはそのABCCというのは、非常に恐ろしいのです。ABCCは原爆投下一ヵ月後、すぐに広島に上陸して、焼け跡にまだ死体などが転がっているときに、死体の内臓とか、体のいろいろな部分を全部採集し始めたのです。<中略>私が小学生のころ、毎日、黄色とグリーンに色分けされたライトバンが来るのです。そして、検便を持たせて小学校をその車にのせてみんな連れていくわけです。<中略>ABCCに何であんなに連れていくのだろう。それで先生に、「あえは何をするんですか」ときいたら、「わからん」というのです。後で考えてみたら、だんだんわかってきたのです。私たちの本川小学校は広島の中心地にある学校で、ここには生き残った児童がみんな通って来るわけですから、こんないいモルモットはいないわけです。ですから、せっせと児童を連れていったわけです。母も被爆後は、しばしば貧血状態になったり、胃けいれんを起こしたり、路上で倒れたりして苦しんだのです。何度も病院に行って、何とかよくなる方法はないかときくと、医者が「ABCCに行きなさい、あれはアメリカの医療機関だから、いい治療をしてくれる。私が紹介状を書いてあげますから、行きなさい」というので、母はわらをもつかむ気持ちでABCCに行ったわけです。ABCCに行くとすっ裸にされて、シーツの真ん中に首が出るぐらいの穴が空いているのをすっぽりとかぶされる。前後にシーツがたれるわけです。そして調べたあげく、その調査結果は本人に一切知らせないし、薬ひとつもくれない。母は「何でああいうところに行って、血を抜かれれてきたんだ、バカをみた」とぶつぶついっていました。広島の医者がなぜ被爆者をABCC機関に紹介するかといえば、被爆者を紹介するとアメリカのいい医療品がただでもらえるからです。その医薬品を、こんどは被爆者とか一般の人に売りつけて、もうけるわけです。だからせっせと被爆者をABCCに送りこむわけです。ABCCはその生き残った被爆者のデータを全部とりまくるのです。そして、その大事な部分は、日本人にはまったく公開せずに、ワシントンにある研究所に全部送って、自分たちの核戦争に備え、利用しているのです。日本人にはわずかに必要もない部分だけが公開されているのです。そういうABCCの存在に、私は腹が立ってならないのです。母が死んだ翌日、母の死体を焼きました。私は焼け跡でいやというほど死体が焼かれるのを見ているから、人間の骨がどういうふうに出るかということはわかっています。母の死体が焼かれて出てきました。何と頭蓋骨も骨も全然ない。おきの中に白い粉が点々としているだけです。放射能というのは母の骨の髄まで食い尽くしたうえ、骨まで残さないのかと、私はものすごく腹が立ったのです。<中略>東京にもどる汽車の中で、じっくり戦争責任の問題と原爆について考えてみたのです。考えを突きつめていくと戦争責任の問題と原爆の問題というのは、日本人の手で何ひとつ解決していないではないかということに突き当たったわけです>(P48〜52)