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★阿修羅♪
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驚くべきことですが、歴史資料を見ていたら今回の『イラク自衛隊派遣』に関する小泉首相の記者説明が“開戦(ﾎﾟｰﾗﾝﾄﾞ侵攻)直前にﾋﾄﾗｰがﾏｽｺﾐ人を集めて行った演説の話法(論旨の組み立て)”にあまりにも酷似していることに気づかされ驚きました。
･･･『･･･(途中略)･･･私は、この数十年間、周囲の状況によって、やむなく殆ど平和のことばかりを口にしてきた。軍備をドイツ民族に取り戻すことができたのは、もっぱら私がドイツの平和への意志とその計画を何度も再確認してきたからに他ならない。この軍備は一歩一歩着実にドイツ国民のために自由を回復し、次の段階に進むための必要条件であることがますます明らかになってきた。・・・（途中略）・・・私が、ここ数年いつも平和を守ると言い続けたのは、強いられて不承不承そう言っていたに過ぎない。当時は未だドイツ国民の心理を段階的に変えていく必要があったのだ。また、平和的手段で獲得できない場合は力によって獲得すべきものがあることをドイツ国民に徐々に理解させ（教育し）ていく必要があったのだ。』
【ドルーシュ著：ヨーロッパの歴史(ｷﾞｭﾝﾀｰ･ﾌｧﾝ･ﾉﾙﾃﾞﾝ「第三帝国講義」p39)p341より引用/これは、ヒトラーが1938年11月10日（ポーランド侵攻の1年前）にドイツ中のジャーナリストと出版業者を集めて行った演説。この時、ドイツのマスコミは、大政翼賛的な雰囲気の中でヒトラーに対する批判の言葉をもはや失っていた。このヒトラーの演説文の中の「ドイツ」を「日本」に置き換えると、それはソックリ今の日本に当てはまる。これは単なる偶然の一致なのだろうか？ ますます混迷の度合いを高めつつある日本の先には、ヒトラーの亡霊が佇んでいるのかもしれない。】
今回、小泉首相が記者たちを集めて行った『自衛隊イラク派遣(兵)』の説明について、一部の識者は“首相はとても低級な国語力の持ち主だ”と批判しています。確かに、あの程度の読解力では中学・高校の社会科の試験は不合格です。しかし、そんな単純なことでしょうか？憲法前文の趣旨は“日本は恒久平和主義と主権在民を最も大切にするが国際協調のためにも最大限の努力を惜しまない”ということです。その後、第９条で交戦権が放棄されていることは周知のとおりです。小泉首相は、憲法「前文」の後半で都合がよい部分だけを引用し、それを＜意図的に曲解>して“平和と民主主義の実現のために軍事力を使う必要があるというブッシュの主張を無条件で支持した自分の立場を正当化”したのです。このｼﾅﾘｵは、第１次世界大戦での大きな敗北経験を経て生まれたﾄﾞｲﾂ“ﾜｲﾏｰﾙ憲法”の主権在民と平和重視の精神を捻じ曲げて開戦(ﾎﾟｰﾗﾝﾄﾞ侵攻)の必然性を導き出した、上の「ﾋﾄﾗｰ演説」の論旨の組み立て方とあまりにもｿｯｸﾘです。この演説を前にして、何の批判の言葉も出せなくなっていた当時のﾄﾞｲﾂのﾏｽｺﾐの姿も、小泉首相の「説明・記者会見」で厳しい批判が口にできないまま只立ち尽くす日本のﾏｽｺﾐ(及び野党と国民)の状況にｿｯｸﾘ重なります。歴史的な偶然の一致として見過ごすには、あまりにも恐ろしい光景ではありませんか？
《注》『ﾜｲﾏｰﾙ憲法』とﾋﾄﾗｰ政権の『授権法』(国民及び国家の困難を除去するための法律)：『ﾜｲﾏｰﾙ憲法』は、1919年にﾜｲﾏｰﾙで開かれた国民議会で制定されたﾄﾞｲﾂ共和国憲法。国民主権、男女平等の普通選挙、所有権と生存権(社会権)の保障などを規定したため、最初の典型的な民主主義憲法とされる。ﾋﾄﾗｰは、1933年1月30日に政権を掌握するとともに＜国民革命＞と称する「ﾄﾞｲﾂの大改革」に着手したが、このため同憲法は不幸な運命を辿る。1933年3月24日に成立した『授権法』(一種の「特別措置法」)は、ﾋﾄﾗｰ政権に広大な法律制定権を与えたため、ﾋﾄﾗｰは独裁体制への道を歩み始めた。『ﾜｲﾏｰﾙ憲法』は正式に廃止されることなく、しかもそれは全く無視された。ﾋﾄﾗｰは、便宜的な特別措置法たる『授権法』で“合法的”にﾅﾁｽの独裁体制を成立させることができた。この結果、『ﾜｲﾏｰﾙ憲法』は国家の基本法としての憲法の意味を永遠に失ったのである。
（2003/12/13/News-Handler、初出）関連URL、http://blog.nettribe.org/btblog.php?bid=9816b255425415106544e90ea752fa1d
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。