現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ36 > 279.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
2004.7.6付・朝日新聞の『社説』は、「朝日や毎日の社説が、自衛隊の多国籍軍参加に関して小泉首相の国会軽視と国民無視の姿勢を批判した」ことについて、“一部のマスコミ、つまり朝日新聞と毎日新聞は反米だ!”と参院選の街頭演説で小泉首相が決めつけたと非難しています。そして、“朝日新聞がイラク戦争に反対し、自衛隊の派遣にも反対したのは反米だからではない。ブッシュ政権の単独行動主義が世界や日本、また米国自身にもたらす悪い影響が心配だから反対したのだ。・・・首相には世界や米国のありのままの姿が見えているのだろうか。多国籍軍への参加国は増えていない。米国内ですら、過半数の人々がイラクへの派兵を誤りだったと考えているという世論調査も最近公表された。小泉首相の物差しでは、それもこれもみな「反米」となるのだろうか。異なる意見には耳を貸さない首相の姿勢は、米国が世界に誇る伝統とは相容れない。・・・”と述べています。小泉首相が、このように悪あがきのような街頭演説をする裏には、就任いらいの“苦境に立つ”焦りがあるのかもしれません。しかし、7月11日の参院選の結果がどうなろうとも、ブッシュ政権の対イラク政策を無条件で受け入れ、それに加担したいじょう、日本はこれからも「イラク戦争」がもたらす厳しい現実とシビアに向き合ってゆかざるを得ない局面に入ってしまっています。
小泉首相は、率先して自衛隊をイラクの米軍に協力させるための法律をつくり、日本も、これで漸く世界の仲間入りができたと自慢げでしたが、果たしてそんな単純なことなのでしょうか?そもそもブッシュ政権は、「9.11NY同時多発テロ事件」の真犯人や直接的な原因を特定して、犯人グループの背後にある組織や共犯者を根こそぎ逮捕し、その上で大規模で凶悪な犯罪についての公正な裁判を主張すべきではなかったのでしょうか?果たして、初めの段階から、ブッシュ政権はこのような意欲を持っていたのでしょうか?いずれにしても、この点に関する捜査(調査)の結果は未だに未解明で謎の部分が多く混沌としたままになっています。ブッシュ政権は、いわば犯人が特定できないままに「テロとの戦い」の旗を掲げて「アフガニスタン戦争」と「イラク戦争」に突入したのです。特に、「イラク戦争」に関しては、周知のとおり開戦の根拠とされた「大量破壊兵器の存在」と「フセインとアルカイダの明確な繋がり」は否定されています。これに関しては、党派を越えて「9.11同時テロ」を検証してきた<議会・独立調査委員会>が7月に発表する「最終報告書」の中で“ブッシュ政権は、このNY同時多発テロを避けられたはずだ”という結論を出す方針だと報道されています。(6/27、共同通信)この最終報告書では、NY同時多発テロへの報復として踏み切ったアフガニスタンとイラクにおける「テロとの戦い」に関するブッシュ政権の情報収集段階での失態が明確に指摘されるはずであり、それは11月の大統領選挙を目前とするブッシュ政権にとって大きな打撃となることが予想されています。しかし、今、我われがここで自覚しなければならないのは、アメリカの大統領と日本の首相が選挙の結果として誰に変わろうが、日本の小泉政権が参戦してしまった“テロとの戦い”についての本質的な問題は何も変わらないだろうということです。
このような冷静な自覚のために役立つのがノーム・チョムスキー(Noam Chomsky/1928- /生成文法の提唱者でアメリカ言語学界の泰斗)の著書『9・11、アメリカに報復する資格はない!(山崎 淳・訳)』(文春文庫)です。この本の初版は、2001.10.15にニューヨークの小さな出版社セブン・ストーリーズ・プレスから出版されました。この本が出たのは、丁度、アメリカ国内が一致団結して「テロとの戦い」に燃えていた時であり、全米のいたるところに星条旗がはためいていました。このように“異常なほどの愛国心”がアメリカ国内に満ち溢れているときに“アメリカ自身がテロ国家の親玉だ!”と主張するこの本をチョムスキーは出版していたのです。しかし、ノーム・チョムスキーの事実検証に基づいた緻密な論証を読んだ多くの読者は、その“真実のアメリカの姿”に驚きました。しかも、“アメリカの真実の姿を初めて知った!”(米国自身の醜い自画像を初めて見た!)という全米の読者から賞賛の声が沸き起こり、それが世界中へ拡散(22カ国で翻訳・出版)して、その波紋は今も静かに広がりつつあります。それどころか、ポスト「ブッシュ、ブレア&小泉」の世界を視野に入れた場合の必読書として、今、再び注目されています。
この本の訳者・山崎 淳氏は“あとがき”のなかでチョムスキーを代弁して次のように述べています。・・・米国は、9.11のテロを単なる犯罪ではなく、戦争行為だと言い、「テロに対する戦争」をすると宣言した。この場合のテロという言葉は、テロ一般を指すのではなく、米国及びその同盟国に対して行われるテロという意味であると解釈するのが論理的である。そうでなければ、同じように一般市民を殺戮し、ハーグの国際司法裁判所によってテロで有罪を宣告された国が「テロに対する戦争」を主導するという矛盾が表面に出て来てしまう。テロ国家の親玉がテロと戦うというのは、暴力団の親分が暴力に反対するというのに似ている。・・・(途中略)・・・日本政府は、むしろ9.11のテロは人道に対する由々しき犯罪だと主張し、徹底的な事件の解明と犯人グループの背後にある組織の摘発や共犯者の逮捕と裁判を唱導すべきではなかったか?日本国憲法・第9条は、このようなときにこそ最大限に活用すべきではなかったのか?戦争放棄の思想は、決して軽いものではない。日本の凡庸な政治家が日本の存在感を世界にアピールする好機をまたもや逸したと思えてならないのである。・・・(途中略/このような戦争に突入して行った場合)・・・戦略核兵器を使うがいいか、とブッシュに同意を求められたら、小泉首相は何と答えるつもりだろうか?この「テロに対する戦争」は、そうした展開だってありうる。・・・(途中略)・・・もし米軍が核兵器を使用するようなことになったら、同盟国日本はなんとすればいいのか?・・・
このように冷静なチョムスキーの視点から「ブッシュの戦争」を観察すると、この「テロに対する戦争」は、一般に理解されているものとは全く違った“おぞましい異形”を露呈します。それは、この戦争が「人間の残虐性の本性」を拡大した戦争であるということです。近年の研究によると、霊長類の中には残虐な種と残虐でない種があることが分かってきました。(出典、2004.6.22・朝日新聞・文化総合記事『分子生物学者・柳沢桂子/宇宙の底で』)(それによると)最も穏やかな種は南米に住むムリキ(ウーリークモザル)で、彼らは雌雄混成の小さな集団で、果物と木の葉を求めて移動する生活を送っています。また、アフリカ産のボノボ(ピグミーチンパンジー)も平和な霊長類です。一方、猿よりも進化した原人が、どの程度の残虐性を持っていたかは分かっていません。また、アメリカの人類学者であるカートミルは、スポーツとしての狩猟について研究し、人間が動物を殺す動機は、動物が死ぬ瞬間に人間が感じるエクスタシーにあると結論づけています。チンパンジーの観察でも、襲撃のときに、特に若いオスたちが異常に興奮する姿が観察されています。つまり、人間やチンパンジーは、動物を殺戮することに快感を感じる本性を持っていることが推測されています。そして、柳沢桂子氏は、チンパンジーよりボノボに近い私たち人間が、一旦なくなった残虐性を再び持つに至ったのはなぜなのか?と疑問を呈しています。ともかくも、これらのことから直ぐに連想されるのは「イラク戦争」で行われた米軍による“イラク人捕虜たちに対するおぞましい虐待・リンチ”事件です。
また、人間の一般的な社会生活・言語生活の中でも本性としての暴力性・残虐性が出現します。具体的に言うと、それは異論や異なったイデオロギー及び弱者などに対する言語や動作による「排除」という非物理的な行為であり、世に言う「いじめ」や「狂気のバッシング騒ぎ」は、その典型的な事例です。そして、人間の理性が、これらの「排除的理性」(合理化・合法化された暴力性・残虐性/無論、その根っこの部分には、その行為によって快感を得るという人間の動物的な本性が根を張っている)からどうやって逃れることができるかということが、現代社会では深刻な問題となっているのです。また、見方しだいですが警察・軍隊などの国家権力の暴力(武力)行使も、このような「排除的理性」の方向へ大きく傾くことがあります。だからこそ、どれほどの民主主義国家であろうとも政治権力・行政権力を市民の目線で厳しく批判し、監視する必要があるのです。このような近年における霊長類研究の結果だけでなく、S.フロイト(Sigmund Freud/1856-1935/精神分析学を確立したオーストリアの精神科医/エロス(結合を志向する保存本能)とタナトス(死を志向する破壊本能)など深層心理学の研究に大きな業績を残した)やH.アレント(Hannah Arendt/1906-1975/アメリカの政治学者・哲学者/ドイツ生まれだがナチスに追われて亡命/全体主義成立などの研究で業績を残す)などの優れた研究も、人間の中に存在する動物的な残虐性(暴力性)についての知見を提供しています。従って、残念ながら人間が攻撃的本能を抱え込んでいることは間違いなさそうです。だからこそ、我われの大きな課題として、この宿命的な人間の暴力と残虐性を制御する方法を工夫しなければならないのです。
ここで、チョムスキーの事実検証の例を著書『9・11、アメリカに報復する資格はない!』の中から少々取り上げてみます。
・・・いかなる直接的な意味においても、あの9.11の攻撃が米国政治の「結果」ではない。しかし、間接的には、無論、あれは「結果」である。その犯人が、CIA・エジプト・パキスタンなどの情報機関により、サウジアラビアの資金で組織され、武器を与えられ、訓練された傭兵隊にルーツを持つテロリスト・ネットワークから来たことは殆ど疑う余地がない。・・・(途中略)・・・これらの軍隊の組織化が始まったのは1979年であった。(カーター大統領の国家安全保障特別補佐官ズビグニュー・ブレジンスキーが言うことには)彼は、1979年の半ばにはアフガニスタンの政府と戦っていたムジャヒディンの密かな支援を画策し、ソビエト・ロシアを彼の言うアフガン・トラップ(アフガニスタンの罠)に誘い込もうと努力していた。・・・(途中略)・・・」彼はロシアが、六ヶ月後に政府支援の軍隊を送り込み、まんまと罠に嵌ったことをとても自慢している。その結果は、我われのよく承知するところである。米国は同盟国と一緒になって、おそらく10万人以上の強大な傭兵隊を編成した。見つけられる限りの最も戦闘的なセクターから人を引っ張ったが、それはたまたま過激なイスラム教徒であって、「イスラム原理主義者」と我われが呼ぶ人々だった。・・・(途中略)・・・ビンラディンは1980年代に参加した。資金を送るネットワーク関係の仕事をし、そのネットワークは多分現在も存在している。・・・(途中略)・・・1981年、同じグループに根拠を持つ軍事組織がエジプトのサダト大統領を暗殺した。サダトは、彼らの軍隊の設立に力のあった人物だ。・・・(途中略)・・・1989年までに、彼らはアフガニスタンの聖戦に成功している。また、米国がサウジアラビアに永久的な軍の駐留を確立するや否や、ビンラディンらは、それはロシアのアフガニスタン占領に対比させるべきものであり、これからは銃口をアメリカ人に転ずると発表した。それは、1983年、米国軍隊がレバノンに駐留したとき既に起きていた。・・・(途中略)・・・1997年、彼らはエジプトで約60人の観光客を殺し、エジプトの観光産業を破壊した。そして、長年にわたり、北アフリカ、東アフリカ、中東、バルカン半島、中央アジア、西中国、東南アジア、米国などあらゆる場所で活動してきた。彼らのグループは1980年代の戦争から派生したものであり、ブレジンスキーの言葉が信じられるなら、それ以前、「アフガン・トラップ」を仕掛けたときから存在している。・・・(途中略)・・・テロリストたちが頼りにしているのは蓄積した絶望、怒り、欲求不満の貯水池であって、そうした感情は金持ちから貧乏人まで、世俗的な者から過激な者までイスラム教徒全体に広がっている。従って、このグループの活動は米国の政策に少なからず根があるのは明白であり、それは聞く耳を持つ人々には絶えず言われ続けてきたことである。
・・・また、1980年代に米国は中央アメリカで大きな戦争を行い、20万人の拷問された手足とバラバラにされた死体、何百万人もの孤児と難民、荒廃した四つの国を後に残した。この時の米国の攻撃の主要標的はカトリック教会で、教会は「貧者の優遇権」(神は特に貧者を愛するという考え方)を採択するという“重大な罪を犯していた”からである。
・・・1984年、レーガン大統領は5月1日を「法の日」に指定した。・・・(途中略)・・・この記念日の前日、レーガン大統領は“米国は国際司法裁判所(オランダ・ハーグ)の訴訟手続きを無視する”と発表し、そして翌日には「法の日」を祝った。国際司法裁判所はレーガン政府を「非合法な力の行使」とニカラグア攻撃における国際条約の侵犯の廉で有罪を宣告するに至った。裁判所の“国際テロという犯罪”を止めよという命令に応え、米国は直ちにニカラグアへの攻撃をエスカレートした。・・・(途中略)・・・このようにして1980年代のニカラグアは米国による暴力的な攻撃を蒙った。何万という人々が死んだ。国は実質的に破壊され、回復することはもうないかもしれない。この国が受けた被害は、先日ニューヨークで起きた悲劇よりはるかに酷いものだった。・・・(途中略)・・・国際司法裁判所は米国に行動を中止し、相当な賠償金を支払うように命じた。しかし、米国は判決を侮りとともに斥け、直ちに攻撃をエスカレートさせることで応じた。そこで、ニカラグアは安全保障理事会へ訴え、そこでも同様の決議を獲得したが、2年続けて、米国とイスラエルの二国が反対した。・・・(途中略)・・・すなわち、国際司法裁判所が国際的テロで有罪を宣告した唯一の国が米国であり、米国だけが国々に国際法の遵守を求める決議案を拒否したのだ。
・・・1985年、レーガン政府はベイルートで爆弾を仕掛けた。モスクの外に爆弾トラックを置き、最大の使者が出るようにタイミングを計り、礼拝を終えて一斉に帰る人々を狙って爆発させたのである。死者80名、負傷者250名、その大半が女性と子どもだったと、3年後の「ワシントン・ポスト紙」が報じている。
・・・クリントン政府は武器の80%という決定的な支援を行い、残虐行為のエスカレーションを手伝った。しかも、これは実に大掛かりな残虐行為だった。民族浄化と破壊を狙った1990年代における最悪の戦争の一つであり、米国に主たる責任があることだが、これは殆ど知られていない。
・・・1998年8月にクリントン政府がスーダンのアル=シーファ工場を爆撃した。・・・(途中略)・・・スーダンは国連に爆撃の正当性を調査するよう求めたが、それすら米国は阻止した。・・・(途中略)・・・しかし、我われは、人権に少しでも関心を持つ人々の間で自明と思われていることを思い出すことから始めるべきだろう。・・・(途中略)・・・あのスーダンの攻撃から1年後、『命を救う薬品(破壊された工場)の生産が途絶え、スーダンの死亡者の数が静かに上昇を続けている。・・・こうして何万人もの人々(その多くは子どもである)がマラリア、結核、その他の治療可能な病気に罹り、薬がないため死んだ。・・・(途中略)・・・あの工場は、スーダンの主要な薬品の90%を生産していた。・・・(途中略)・・・1998年8月20日、米国政府が取った作戦行動は未だにスーダンの人々から必要な医薬品を奪い続けている。・・・』(ジョナサン・ベルケ/ポストグローブ、1999年8月22日号)
・・・ブッシュの「テロに対する戦争」は新しくもなければ、真の意味での「テロに対する戦争」でもない。思い起こすべきは、20年前レーガン政権ができたとき「国際テロリズム」は米国が直面している最大の脅威だと宣言したことだ。・・・(途中略)・・・レーガン信奉者たちは、この公約を実行し、規模と破壊において異例の反国際テロリズムのキャンペーンを組織した。結果、米国は国際司法裁判所で有罪判決を受ける羽目になり、その一方で米国は数え切れない多数の人々に手を貸した。例えば、南アフリカでは、西側が支持した略奪行為によって、レーガン時代だけで、150万人が殺され、600億ドルの損害が生じた。国際テロに対するヒステリーは1980年代半ばにピークに達し、一方で米国とその同盟国は彼らが根絶を要求している癌を広げるのに先頭を切っていた。・・・(途中略)・・・これらのことについての文献は膨大である。事実を知らぬままでいる理由はない。被害者は、無論、事実をよく知っているが彼らを被害者にした国際テロ事件の規模や性格となると、きちんと把握している者は、ほとんどいない。(このことは、NY9.11同時多発テロ事件の遺族たちと、大方のアメリカ国民についても同じことがいえる。)
しばしば我われは、“テロの根本原因は貧困だ”と言う言葉を聴かされることがありますが、これは必ずしも正しい答えではないと思われます。貧困への怒りがテロの真の原因だとするならば、テロが起こるたびに最も悲惨な目に合うのが最下層で極貧の無辜の人々であるという事実が、そのことについての説得力を失わせています。恐らく、この言葉は貧困層の中からテロリストが生まれる確率が大きいという意味でとらえるべきです。むしろ、テロの原因は、チョムスキーが指摘するように本物の民主主義の意味を履き違えた政治権力者たちの貧困な精神構造がもたらすもの、すなわち自らの都合で養成したテロリストと政治権力の合作こそがテロの真犯人だということです。ところで、チョムスキーのこの著書が示唆するのは次のようなことだと思います。
●我われ一般国民は、自国の政治権力者たちが現在やっていることの本当の姿をリアルタイムで“ありのままに見る”ことはできない
●だからこそ、政治権力者たちを市民の目線で監視し、絶えず批判の眼で見つめ続けるる必要がある
●政権に取り込まれているマスメディアは、ジャーナリズムとしての本来の働き(健全な批判能力)を取り戻すべきだ←これについてはチョムスキー著『メディア・コントロール』(集英社新書)が詳しい。
●近代の歴史資料の中には、<真実>を知るための膨大な証言が眠っているので活用すべきだ
●政治権力者たちの最大の弱点は、残虐性(暴力、軍事力、戦争など)に誘惑され易いという点だ
●「NY9.11同時テロ」の“真犯人”は「オサマ・ビンラディン一派と米国政府自身が合作したもの」だといえる←米国議会が党派を越えて「9.11同時テロ」を検証してきた<独立調査委員会>が、この7月中に発表する「最終報告書」の中で“ブッシュ政権は、NY同時多発テロを避けられたはずだ”という結論を出す方針だと報道されているのは、暗に「この事実」の仄めかしだと考えることができる。
●このような市民(国民)としての意欲的な努力があってこそ、「本物の民主主義」が実現できるという信念を持つべきだ(この意味でチョムスキーは愛国者であって、反米主義者ではない!)
なお、暴力(残虐性)には「経済の暴力」が存在することを忘れるべきではないと思います。それを具体的に言えば過剰な借金(国家の場合は財政赤字)と貧富の差の拡大であり、近い将来ブッシュ&小泉の両人が去った後に残されたものを検証してみたら、派手なパフォーマンス、サプライズ&戦争(戦争協力)の結果として残されたものは、「過大な財政赤字(米国では双子の赤字)」と「核装備等による軍備強化」の現実だけということになりかねないのです。そして、政治権力によって、無理やりに「経済の暴力」の後始末を押付けられるのは一般の無辜の国民です。例えば、それは「課税強化、貧富差の拡大、ハイパー・インフレによる預貯金等資産価値の大幅な減額、預貯金封鎖、自己破産の多発」などという、いわば一般国民生活の破壊と破綻です。その先に見えるものは自殺・一家心中・一家離散等の増加、強盗・殺人・窃盗・略奪・押し込み等凶悪犯罪の多発です。フランス革命の原因とされるアンシャン・レジームの底流にも、この「経済の暴力」が存在したことを忘れるべきではありません。
これら悲観的な未来を予測するのは縁起でもないことのようですが、既に次のような凶兆(不吉な前兆)が現れていることからも目をそむけるべきではありません。
▲国の借金が700兆円突破
・・・6/25、財務省は国債や借り入れ金などを合わせた国の借金残高が過去最高額を更新して、ついに累計で700兆円を突破したことを発表。国民一人あたりで換算すると約550万円の借金を背負っていることになる。これは、歳入不足等を補うために国債発行の勢いを止めることができないから。小泉首相は、このような傾向が進むことを“そんなことは大した問題ではない!”と断言している。なお、この金額に地方自治体の債務を加算すると、実に928兆円の大赤字となっており、1,000兆円を越えるのも時間の問題。(日本の財政赤字カウンター/http://ueno.cool.ne.jp/gakuten/network/fin.html)
▲日本の小型武器輸入額が世界で第四位
・・・6/30付・共同通信の報道によると、日本の小型武器輸入実績(2001)が世界で第四位となり、約165億円(1億5,100万ドル)であることが分かった。(スイスのジューネーブ国際問題研究所、2004年版『小型武器概観』)
▲防衛庁の文民統制(シビリアン・コントロール)の見直しを制服組(軍服組)が提案
・・・7/2付の各紙報道によると、自衛隊の運用で防衛庁の文官(背広組)が持つ監督権限を大幅に見直すよう自衛隊の制服組(軍服組)幹部の一人が、石破防衛庁長官へ正式に申し入れた。石破長官は前向きに検討が必要だとの所見を述べている。
▲日本の軍事費の伸び率が世界でトップ
・・・1985年を100とした軍事費の伸び率(2000年)を大きさの順で見ると、日本40%、中国40%、東アジア(豪州含)26%、アメリカ-23%、NATO-28%、ロシア-84%で、日本と中国がトップ・クラスでダントツの伸びとなっている。(004/06/08Blog『ベスのひとりごと/政治家・経済人・マスコミ・小中学生に蔓延する異常な現実感覚』http://blog.nettribe.org/admin.php?fid=editentry&eid=bf102a269acf14894db2de81c2b62252)
▲日本の所得格差が過去最高に
・・・6/25付の各紙報道によると、6/25に厚生省労働省は、所得のバラつきを示す「ジニ係数」が0.4983になったことを発表。これは、1962年の調査開始以来で最高の数値で、日本の世帯の所得格差が拡大していることが判明した。「ジニ係数」は所得格差が小さいほどゼロに近くなり、大きいほど1に近くなる。
▲団塊世代が大量退職ならGDP16兆円減少の予測(日本のGDPは約500兆円)
・・・6/30付の各紙報道によると、6/29に財務省の財務総合政策研究所は、「団塊世代」(1947-49生まれ、現在50代半ば、約700万人)の大量退職が日本経済に与える影響を分析した結果、その場合のGDP(実質国内総生産)は2010年度で約16兆円減少することが分かったと発表した。
<参考>関連内容は下記URLを参照
http://www1.odn.ne.jp/rembrandt200306/
http://blog.nettribe.org/btblog.php?bid=9816b255425415106544e90ea752fa1d
http://blog.goo.ne.jp/remb/
http://blog.melma.com/00117791/