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株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu78.htm
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チャルマーズ・ジョンソン著 「アメリカ帝国の悲劇」
軍事帝国となったアメリカはかく崩壊する!
2004年9月13日 月曜日
◆チャルマーズ・ジョンソン著 「アメリカ帝国の悲劇」
http://www.bunshun.co.jp/book_db/html/3/66/33/4163663304.shtml
本書は帝国主義の翼をあからさまに広げはじめたアメリカ帝国についてのガイドである。その勢力範囲は全世界におよんでいる。二〇〇一年九月の段階で、国防総省はアメリカ国外に少なくとも七二五カ所のアメリカ軍基地が存在することを認めている。実際には、その数はもっと多い。いくつかの基地は土地賃借権や非公式協定、または各種の偽装のもとに存在しているからである。しかも、この発表が行なわれてからさらに多くの基地が建設されている。
現代の多くのアメリカ人にとってこの軍事帝国の風景は、チベットやティンブクトゥーが十九世紀のヨーロッパ人にとってそうだったように、なじみがなく風変わりである。最近あらたに追加された基地のなかには、カタールの砂漢のなかにあるアル・ウデイド空軍基地がある。この基地では男女のアメリカ軍人数千名がエアコンのきいたテントで生活している。
また、オマーン湾のアル・マシラ島の海軍航空某地では、バレーボールとサッカーを掛け合わせたような「ワジ・ボール」が唯一の気晴らしだ。なかには一九九九年から二〇〇一年のあいだにコソボやキルギスタン、ウズベキスタンといった信じられないような場所に建てられた高価で恒久的な駐屯地もある。
アメリカの現代的な基地の帝国は、娯楽スポットや気晴らしのための行楽地もそなえている。イギリス統治時代に行政官たちが夏の暑さを逃れる避暑地として使っていたインド北部の高原都市のようなものだ。ダージリンやカリンポンやスリナガルの現代版は、バイエルン・アルプスのガルミッシュにある軍人専用のスキー休暇センターや東京の繁華街にあるリゾートホテル、世界中で営業する二一二四の軍人専用ゴルフコースである。
さらに、そうした場所へ提督や将軍を運ぶために、七一機のリアジェットや二二機のガルフストリーム皿、一七機のセスナ・サイテーションといった豪華ビジネス.ジェット機が用意されている。一機五〇〇〇万ドルもするガルフストリーム機は、二一名の乗客と二名のパイロット、一名の航空機関士、一名の通信システム操作員、それに客室乗務員一
名を乗せることができる。
昔の帝国と同じように、われわれの帝国にも地方総督がいる。この場合それは、治外法権を認める「軍地位協定」をホスト国に守らせて、アメリカ兵が地元住民に対して犯した罪の責任をとらなくてすむように目を光らせる軍の高官である。われわれの軍事化された帝国は独特の生活スタイルを持つ物理的な現実である。
しかし、それと同時に、多種多様な方法でアメリカの会社や大学や共同体と結びつきながらも、つい最近になって「本土」と呼ばれるようになった場所で日常生活として通用しているものからはつねに隔絶されている、経済的および政治的な権益のネットワークでもある。とはいえ、その隔絶感さえじょじょに消えつつある---帝国の変わりゆく性質はわれわれの社会も同様に変えつつあるからだ。
たとえば国防総省は、外交政策を決定し執行する第一の機関である国務省のお株をゆっくりとだが確実に奪って、それに取って代わりつつある。われわれはいまや、文民の外交官や支援活動従事者や環境スペシャリストよりもはるかに多くの軍人を諸外国に派遣している。
彼らが派遣された国々では、その意味するところは明白だ。わが国の駐屯地はアメリカが交渉や通商や文化交流よりも、軍事力の行使や威嚇によって他国と取引することを好んでいるというメッセージを毎日発信しているのである。文民対文民ではなく、軍人対軍人の関係によって。
この立場は二〇〇二年六月一日にジョージ・W・ブッシュ大統領がウェストポイント陸軍士官学校で行なった演説にはっきりと表われている。ブッシュ大統領はアメリカが六〇もの国々に対して「テロとの戦い」を遂行する心構えをしなければならないと主張した。「われわれはその戦いを敵のところまで持っていき、その計画を分断し、最悪の脅威が発生する前にそれと対決しなければならないのです」。
アメリカ国民は「自由と生命を守るために必要なときには、先制攻撃をしかける党悟を持たねばならないのです…・われわれが足を踏み入れた世界では、安全.への唯一の道筋は行動という道筋です。そしてこの国は断固行動するでしょう」
ジョン・F・ケネディ大統傾の顧問をつとめた歴史家のアーサー・シュレシンジャー・ジュニアは、9・11のテロ攻撃から一年後にこう述べている。「ここ数力月の出来事で驚くべきは、予防戦争がアメリカの外交政策の論理的かつ道徳的な道具として示されていることである。……冷戦時代には、予防戦争を主張する者たちは頭のおかしな連中として片づけられたものだ。……封じ込めプラス抑止という政策が冷戦の勝利をもたらした。
ソ連の崩壊後、予防戦争を提唱する変人たちが主要国で権力の座につかなかったことを誰もが天に感謝したものだ。ところが、こんにちアメリカでは彼らが権力を握っているように思える」。彼はとくに最初のブッシュ政権で国防長官をつとめたディック・チェイニー(いうまでもなく現在の副大統領である)と二人目のブッシュ政権の国防長官ドナルド・ラムズフェルド、それに国防総省にいる彼らの仲間たちのことを指している。
文民ならびに制服組の軍国主義者が、われわれがいま見ているようなアメリカの政治的生命の支配に最後に少しでも近づきかけたのは、ロバート・マクナマラ国防長官が対ベトナム政策を指図していたときのことである。
一九九六年二月まで、わたしは軍隊と積極的なかかわりを持たないほかの大半のアメリカ人とおなじように、われわれの軍事基地の帝国にごくわずかな関心しか向けていなかった。わたしはそのとき、わが国が一九四五年以降ずっと占領してきた日本の小さな島、沖縄にある事実上のアメリカの軍事植民地をはじめて訪れたのである。
わたしがそれ以前に軍隊と最後にかかわったのは四十年前のことだったーわたしは一九五五年の夏、西太平洋で海軍士官としての現役任務を終えている。
一九九六年、アメリカ海兵隊員二人と海軍兵一人が沖縄の十二歳の少女をレイプした事件のあと、わたしは沖縄県の太田昌秀知事に招かれて、アメリカ軍事基地の問題について話をした。わたしは、広大な海兵隊基地キャンプ・ハンセンにほぱ完全に呑み込まれ、誘拐とレイプが行なわれた金武町に足を運び、地元の職員に話を聞いた。
町をあとにするとき、わたしは沖縄県民の敵意に深く心を動かされ、アメリカのどんな重要な戦略も沖縄の二〇パーセントにあたる一等地に三八カ所もの独立した基地を展開する理由を説明できはしないという事実を痛感していた。
基地が冷戦の到来によってただ行きあたりばったりに成長したことは、軍人専用のビーチやゴルフコースをはじめとする無数の娯楽施設や、空軍、海軍、海兵隊が重複してそれぞれべつべつの飛行場を持っていることを見ればあきらかだ。
土地の有効利用や一三〇万人の沖縄県民の生活などはまったく考慮されなかった。沖縄のアメリカ軍基地を見て、わたしはべルリンの壁が崩壊したあとも東ドイヅに駐留していたソ連軍の基地に似ていることに気づいた。どちらの場合も、兵士たちは帝国の駐屯地で外地勤務する生活のほうが「本土」での暮らしよりもはるかにお楽しみが多いために、そこに残ることを望んだのである。
兵士やその家族は軍人用のクラブやアパート、ジム、水泳プール、ショッピングモール(軍の隠語では「基地売店」と呼ばれる)に満足していて、キャンプ・ペンドルトン海兵隊基地に隣接するカリフォルニア州オーシャンサイドのような小さな田舎町でくすぶっているよりも、沖縄にいるほうがいいとまちがいなく思っている。
なにはともあれ、カリフォルニア州の強姦罪の刑罰は、沖縄で日本側によって同じ罪で有罪を宣告された軍人たちの刑罰よりも格段に厄介である。日本はアメリカから一九五三年に押しつけられたアメリカ軍関係者の処遇に関する取り決めによって、日本の当局に引き渡されて実際に収監された数少ないアメリカ軍人に対して特別な食事を与えることさえ要求されている。日本人の収監者には平均で二八○○カロリーの食事が与えられるが、二〇〇一年末に収監されていた一二名のアメリカ人には四〇〇〇カロリーの食事が供されていた。
沖縄訪問後、わたしは沖縄駐留アメリカ軍の歴史について調査をはじめ、それについて文章を書いたー第二次世界大戦最後の日本軍との激戦にはじまって、一九九五年九月四日のレイプ事件を些末なこととして片づけようとするアメリカ軍高官と国防総省の役人の目論みにいたる駐留軍の歴史を。
わたしの視点はあくまで学者としてのものだった。わたしは大学教授として日本と中国の政治経済を研究することに人生を捧げてきた。アメリカの全地球的な軍事覇権主義を分析するのが仕事ではない。沖縄に住んでいない多くの日本人がそうであるように、わたしはこの島の状況を特異なものだと見なしがちだった。
最悪でも、国防総省の自己満足と怠慢の悲しむべき結果であると。解決策は自明のように思えた。不要な基地をいくつか閉鎖し、かなりの地上部隊をアメリカ領に帰し、沖縄県民に押しつけられた重荷を軽くする。そうやって、島のいたるところで顕著なアメリカに対する憎しみをいくらかでも改善していくのである。
わたしはもし国防総省が本気で優先順位をつけたら、沖縄の基地のなかでも嘉手納空軍基地のように冷戦後の世界で役に立つかもしれない施設の一部を残すことさえできるかもしれないと考えた。そうしなければ、遅かれ早かれ沖縄県民が決起してわれわれを追いだすようにわたしには思えたのである。
一九九二年にフィリピン人はそうしたし、二〇〇三年には韓国の民衆がそうすると脅したー一九八九年には東ベルリン市民がソ連に対してまったく同じことをしている。沖縄が特異ではなく典型的な例であることをわたしが理解するのには時間がかかった。島の一等地を基地として収用し、地元住民に犯罪をはたらいたアメリカ兵には治外法権が認められる。
基地の正門周辺にひしめきあうバーや売春宿、いつ終わるともしれない事故や騒音、性的暴行、飲酒運転による衝突事故、麻薬の使用、環境汚染こうした沖縄の状況は、じつはアメリカ軍の基地がある場所ではどこでもくりかえされているのである。
日本本土にある数多くの基地や、韓国にある百カ所以上の軍事施設、ドイツやイギリス、イタリア、バルカン半島、ぺルシャ湾、ラテンアメリカといった場所に展開する大規模な部隊と比較してみると、沖縄は島の大きさの割に基地の数が多いという以外には変わったところはない。
アメリカ軍の地方総督たちは広報活動が嫌いなので、アメリカのマスコミがこうした基地の帝国を訪れたり、それについて記事を書いたりすることはめったにない。わたしは大半のアメリカ人が見たことのない現代アメリカの生活の一面を垣間見たのである。(P10〜P15)
(私のコメント)
夏も終わりましたが、私は多くの本を読みました。しかしながら次々起こるニュースの解説に追われて本の紹介は久しぶりになります。昨日も本屋を立ち寄ったところチャルマーズ・ジョンソンの「アメリカ帝国の悲劇」と言う本が並んでいたので買いました。読みごたえの有る本ですが、現在のアメリカの抱える問題をローマ帝国になぞらえながら論評している。
本当は911テロの謎や北朝鮮の大爆発時この事なども論評しなければならないのですが、たまには歴史的観点からも眺めなおすことは必要だ。沖縄の問題については11日の明治公園の反戦集会でも沖縄からの参加者のスピーチもありましたが、本土の日本人は沖縄のことに関しては無関心だ。
沖縄では連日のように新聞のトップは米軍機墜落事故のニュースが飾って、集会も盛んに行われているのに東京の新聞やテレビではほとんど報道されません。またイラク反戦デモ集会を開いても左翼系の団体が集まるのみで国民的な運動にはなりそうもない。ほとんどの日本人にとっては沖縄やイラクなど海の向こうの出来事でしかない。
私は民族主義者であり反米保守的な立場でイラク反戦デモに参加していますが、沖縄の基地撤廃運動家達は左翼と連帯するよりも、反米保守派と手を組んだほうが国民的運動になりうると思う。左翼は所詮中国や北朝鮮の手先に過ぎず、戦前の日本を否定している。だからこそアメリカは日本の左翼をバカにして相手にしないのだ。
しかし私のような反米保守派は戦前の日本を肯定し、日本はアジアの開放のために立ち上がったのであり、アメリカこそ世界各国に軍事基地をこしらえた帝国主義国家だと攻撃している。日本はいまだにアメリカの駐留軍が居座って、日本の政治家は彼らにおべっかを使いながら自らの地位を保っているのだ。
日本はアメリカに守ってもらわねばならないほどの小国ではないし、半世紀前は太平洋の覇権を巡ってアメリカと4年も全面戦争をした国であり、日本が本気で再軍備すれば北朝鮮や中国などは脅威を感じておとなしくなるだろう。ところが左翼は憲法を守れだの自衛隊反対だのとアメリカの思いのままにしているから、沖縄の米軍は居座って立ち退かないのだ。
むしろ反米保守派の言うように「日本は自分で守りますから、米軍は本国へお帰りください」と言われることを、アメリカ政府は一番恐れている。だから沖縄の米軍基地撤廃運動家は反米保守派と連帯を組んだほうが米軍基地のない沖縄の実現の早道なのだ。
チャルマーズ・ジョンソン名誉教授は左翼の活動家ではなく、アメリカ政府の政策スタッフにもなった本流の学者ですが、アメリカのネオコンを激しく攻撃している。さらには共和国から軍人達が実権を握る世界帝国に変貌したアメリカを攻撃している。その意味ではリベラル派の学者ですが、以前には保守本流の学者がリベラルに見えるほど現在のアメリカは右翼的だ。
私は以前の日記で、アメリカは西欧流の民主主義国家から、ロシアや中国のような大陸的な帝政国家に変貌していると書きましたが、アメリカのような巨大国家はやはり帝政の興亡を繰り返すような政体に変化してゆくのだろう。そして秘密警察や強大な軍隊で締め上げないと現在のロシアのようにチェチェン紛争のような内乱が後を絶たない国家になると思われる。
チャルマーズ・ジョンソン名誉教授はこのような国家の変質を厳しく指摘している。例えばCIAのような国家の中の国家が出来上がって国家予算を秘密裏に好きなように使いまくって国民には公表されない。そして国民の動向を厳しく監視して秘密裏に取り締まる。このようなアメリカの軍国主義化と帝国主義化をこの著書で厳しく追及している。