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http://www.asyura2.com/0403/war55/msg/733.html
上記内容に関して、回答がありましたので転載します。
★以下転載★
劣化ウラン汚染の再生鉄は果たして安全なのでしょうか?
山崎久隆(劣化ウラン研究会)
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ウラニウム混じりの鋼鉄。ぞっとするしろものですね。安全か危険か。まずもって
「安全」であるはずはありません。ではどの程度危険か。これは、どういった状況に
あるかでかなり違ってきます。
汚染された戦場の廃棄物の様態が、ウラニウムの粉塵にまみれた状態である場合には、
製品となる鋼鉄材よりも、それを取り扱う解体、輸送、加工に従事した人々の被曝が
より深刻なものとなるでしょう。ダグ・ロッキー(*1)がまさにその状況にあった
人です。彼と彼の部下に何が起きたかは、もう十二分に紹介されていますから、その
まま引用して警告することができます。
ウラニウムにより破壊された戦車などを洗浄した場合。これは、粉塵などはかなり除
去可能であると思われますが、それでも洗浄作業に従事した人々は深刻な被曝を被る
可能性がありますし、洗浄した際に出る汚染水を適切に処理していなければ、周辺地
域に深刻な汚染を拡散させます。ウラニウム汚染水の問題は、国連環境計画によるコ
ソボ調査報告(*2)にもウラニウムによる土壌並びに地下水系の汚染として言及さ
れていますから、それをそのまま引用して警告することができるでしょう。
最後にもっとも大きな被害を引き起こすケースは、ウラニウム兵器の破片そのものが
鋼鉄材に混入するケースです。
例えば劣化ウラン弾の廃弾(不発弾という表現が多く使われますが、不発弾とは炸裂
しなかった砲弾に一般的に使用される表現で、劣化ウラン弾は元々炸裂弾ではないの
で不適当です。廃棄された弾丸という意味で、廃弾が正確です)は、戦車などに突き
刺さったままの状態でインドに送られる危険性が高く、そのばあい、適切な汚染チェッ
クもされていなければ一緒くたに溶鉱炉に放り込まれる恐れが高くなります。
ウラニウムは1129度で溶けますから、たちまち溶鉱炉で溶融し、重いので多分下
の方にたまります。いわば「スラグ」となると思います。しかし完全に分離するわけ
ではないので、製品鋼鉄材にもかなり混じっていくでしょう。ウラン合金(というの
は適切な表現ではないけれど、象徴的に言えばそういう状態)の鋼鉄材ができるわけ
です。
スラグは不純物の多いものなので安い鋳物材に使われると思います。どういったもの
が具体的な転用先になるのかはよくわかりません。
こうなったらもはや分離は不可能で、汚染鋼鉄材事件、つまり台湾で起きた事件(*
3)と似た状態になります。
ただし、台湾汚染鋼鉄材事件は、混入した放射性同位元素はコバルト60で、放射線
の量が格段に違い、また鉄と似た元素だったため鋼鉄に混じり込み、ひどい被曝事件
となりました。
ウラニウムの場合はアルファ線源なので、劇的な、つまり数ヶ月で人を殺すと言った
ようなひどい被曝を引き起こすことはまずありません。しかしそれだからこそ発見さ
れにくく拡散し易いとも言えます。
起こりえることとしては、時間と共にウラニウム238は別の放射性物質に壊変しま
すので、アルファ線だけでなくベータガンマ線も出しつつ、長期間にわたり徐々に人々
を被曝させていきます。例えばプロトアクチニウム、トリウム、ラジウム、ラドン、
ポロニウム、ビスマス、鉛(放射性)です。
その被曝した人の中に放射線によるガンや白血病になる人が「若干名」出るというこ
とだと思います。
しかし「若干名」は、被曝した人の総被曝線量に対して、一定割合で発生しますので、
混入したウラニウム238および壊変放射性同位元素による、人への被曝線量の総量
で決まります。この被曝線量は汚染鋼鉄材に被曝する人口数との関数になるので、ど
れだけ多くの人が接する場所に汚染鋼鉄材が使用されるかに係ってきます。
住宅建材に使用された場合の影響が最も大きく、人間が接触しない例えば海底構造物
とか鉄橋構造物などに使用されるぶんには影響はほとんど無いと言えるでしょう。
だから、日本の場合、原発の解体により生ずるコンクリートや鋼材については、当面
新しくつくられる原発などに使用するという話になっているわけですね。これならば
万一放射性同位元素に汚染されたコンクリートや鋼材が使われたとしても原発の放射
能のほうが強烈なので影響はないというわけです。
もちろん、わたしはそんな予定調和みたいなことになる保障など無いので、原発廃材
の再利用には反対しているのですが。
*注*
*1 ダグ・ロッキー氏へのインタビュー(アルジャジーラ)
[news mail 25 June 03] 世代を超えて続くイラクの劣化ウラン被害
http://www.chimerafilms.co.uk/children_nmj.html#2506
*2 国連環境計画によるコソボ調査報告など
きれいな戦争という汚い嘘
ロバート・ジェイムズ・パーソンズ(Robert James Parsons)
ル・モンド・ディプロマティーク日本語版
http://www.diplo.jp/articles02/0203-2.html
劣化ウランと米国の戦争 劣化ウランは人体と環境を破壊する
山崎久隆
http://www.nodu.net/du/DUandUSwar_yamazaki01.htm
*3 台湾汚染鋼鉄材事件
(TUPチームメイト井上さんからのメールの一部)インドへの劣化ウラン汚染再生
鉄輸出のニュースで思い出す事件が、(たしか)1980年代末期の台湾での放射能
汚染アパートです。
当時の台湾電力の放射性廃棄物の管理は想像を絶してでたらめで、放射能汚染された
スクラップを屑鉄市場に流したのが、建設鉄材に加工されて、アパートの建設のため
に使用されました。その結果、住民に、白血病、ガンなどが多発し、抗議運動が行わ
れました。
ウランの場合は、アルファ線放射のみなので、ベータ、ガンマ線も出す原発廃棄物と
は違うでしょうが、加熱加工、ドリル、カッターを用いる作業、錆の剥落など、ざっ
と数えるだけでも、体内被曝の機会は多いと思います。(井上さんのメールここまで)
(台湾の放射能汚染マンション訪問記が掲載されています)
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http://japan.nonukesasiaforum.org/japanese/taiwan9901/taiwan2.htm