ＣＰＡ、スンニ派の融和狙う　抵抗闘争の継続を懸念――バース党員復権【朝日朝刊】

【バグダッド＝小森保良】米英暫定占領当局（ＣＰＡ）のブレマー代表が２３日、イラク国民に示した旧フセイン政権の支配政党バース党の元党員排除政策の見直しは、イスラム教スンニ派勢力に対する融和策と受け止められている。同等の中枢を独占してきたために公職から追放された人々がスンニ派に多く、その結果、同派には現在の占領体制への反発が渦巻いており、６月末に予定されている主権移譲への妨害も懸念されているためだ。

演説では、旧政権下で犯罪に関与しなかった軍人の他、名目だけの党員にすぎなかった大学教員や小中学校教師ら数千人の職場復帰が認められるとの見通しを述べた。

イラク統治評議会関係者らによると、元幹部を除き、官僚や技術者らの職場復帰も近く認められる見込みだという。

バース党員排除は当初、数万人が対象となり、各官庁で要職にあった人々が大量に追放された。復興事業に大きな影響が出る一方、特にスンニ派に大量の失業者を出す事態を招いた。イラク中北部の「スンニ派三角地帯」と呼ばれる地域で米軍への攻撃が絶えない大きな理由として、こうした失業者の怒りがあるとされている。

同派が大半を占め、反米攻撃にも関与しているとされる有力部族ドレイミ族の関係者は、「（今回の見直しは）抵抗運動に手を焼き、復興も軌道に乗せられない米国が政策を誤りを認め、スンニ派に助けを求めざるを得なくなった証拠だ」と話す。

一方、統治評議会の有力議員チャラビ氏は、「イラク国民の間に深刻な対立をもたらす」と批判。ＣＰＡの政策転換の撤回を求める姿勢を示しており、新たな火種となる可能性もある。

イラク暫定政権「権限は限定的」――ブラヒミ国連顧問

【パリ＝沢村亙】国連のブラヒミ事務総長特別顧問は２４日、パリでシラク仏大統領と会談後、主権移譲後のイラク暫定政権について、「権限は限定的なものになるだろう」と記者団に語った。暫定政権の権限については、米政府高官も米議会で、「著しく制限されたものになる」と証言していた。

米軍の増派を示唆――米中央軍司令官

【バグダッド支局】米中央軍のアビゼイド司令官は２３日、イラクの治安悪化を受けて、駐留米軍の１３万５千人の態勢を今夏以降も維持し、さらなる増派を求める可能性があることを示唆した。２４日付のニューヨーク・タイムズ紙（電子版）が報じた。

米国防総省は今月、交代期を迎えた兵士約３万６千人のうち、約２万人の任期を９０日間延長した。アビゼイド司令官は、「今のような治安状況が続くならば、さらに交代要員の派遣を求めることになる」と述べ、２万人の任期延長が切れた後、同規模の交代部隊の派遣を要請する考えを明らかにした。

さらに、「治安状況が悪化したり、（有志連合の）各国が駐留部隊の撤退を決めたりした場合は、さらに増派するのが適切だ」として、スペインやホンジュラス各国軍のような撤兵が続き、新イラク軍の態勢も整わない場合、駐留米軍の規模を１３万５千人以上に増やす可能性を示唆した。

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