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(回答先: 最近の情勢について、思うつれづれ。 投稿者 トール 日時 2004 年 4 月 18 日 22:30:14)
ご意見読ませていただきました。私なりの見解と質問です。(長文失礼)
>まず第一の論点は、、今回のイラクへの自衛隊派遣の是非についてですが、
>私は自衛隊の派遣を支持しています。
>何故なら、現在日本は北朝鮮という身近にある驚異に対して、
>アメリカの援護が絶対に必要だからです。これは自衛隊の防衛能力を
>向上させることが、軍国化だと批判する左翼によって行えないことが原因です。
=恐らくは親米派と思われる貴殿のスタンスは何ですか?「右翼」ですか?
「右翼」=「保守」とはそもそも自然・文化・伝統的なものを重視する思想ですね。
しからば「左翼」を批判される貴殿が「新米」というのはその原則に反しませんか?
安易に表現される「左翼」「極右」等、そもそも今日においてそうした単純な
イデオロギーは個人レベルでも政府レベルでも適応しうるものでしょうか?
私はそうは思いませんのでお尋ね致します。
>そして、自衛隊の強化を反対している方は、
=貴殿の言われるところの「左翼」ですね。
>同時にアメリカへの同調も非難しています。・・・
=「左翼」とはそもそも「急進=ラディカル」であり、民衆の手によって、
積極的に現体制を変革していこうとする思想のことですね。この原則に
従えば、アメリカへの同調を非難する方々は世界情勢の悪化の元凶が
アメリカの民主主義の押し付けに起因しており、「日米同盟」に基づく
日本政府のアメリカへの盲目的追従に対する不満を表現しているという
点において「左翼」と言えましょう。
よく考えてみて下さい。上記の2つの「左翼」は矛盾していませんか?
私が申し上げたいのは、貴殿が指摘している「左翼」の前半は、
「軍国化反対=左翼」「賛成=右翼」という一元論に基づく単純な
解釈でしかありません。むしろ、本来的に「左翼=急進派」は
手段はともあれ「変革」を望み、「右翼」は望まないのです。
その観点において、戦後の日本は「真逆」になっていると言えましょう。
アメリカの保護の下に驚異的な戦後復興を遂げたはいいが、バブル崩壊以降
低迷の続く日本の現状を憂い、「現体制=民主主義」に対する「変革」を
唱えているのが「右翼」、そして「現体制の維持」を主張するのが
「左翼」というわけです。しかしながら、「現体制の維持=日米同盟の維持」が
必ずしも日本のためにならないのではないか?という考え方が、特に「9.11」
以降顕著になっていきました。それ故に、「軍事増強=憲法改正」による
「(本来的な)右翼」の発想は嫌だが、「現体制=アメリカへの隷属」が
齎す様々な弊害(ユニラテラリズムへの同調やテロリズムの標的等)を
取り除くべきであるという「(本来的な)左翼」思想には賛成だという考え方が
多くの日本人の中に芽生えてきたのでは?と考えております。
冒頭に申し上げた「単純」なイデオロギーは少なくとも崩壊しつつある、
というより簡単には線引きできない多面的な要素が組み合わさった、日本独自かも
知れないイデオロギーが台頭してきているのかも知れません。
(人によりそれは矛盾した論理であり、どちらかに収斂されるべきであるという
方もおられるかとは存じますが、それは個々人のスタンスにお任せ致します)
以上の見解及び「自衛隊派遣」と「自衛隊強化」は別次元の議論であるという
点を踏まえ、私を含め世論の大半は「自衛隊派遣」反対及びその原因である
「アメリカへの同調」にも反対していると考えております。
貴殿が指摘される「サマワにおける好意的感情」自体はその通りでしょうが、
その他の地域はどうなのでしょうか?日本がイラク全土で「サマワ」のような
評価を受けていれば(そもそも派遣していない地域で生の声等出ようはずも
ありませんが)、繰り返される「人質事件」や「アル・カイーダ」からの
警告もないことでしょう。多面的に物事を見ることは当然大切なことですが、
「自衛隊派遣賛成」結論ありきで物事を論じておられるように読み取れます。
>・・・世界にはそういう理念を持っていない国家や団体が多くあります。
=社会・共産主義国家=他国への侵略・領土拡大という認識をされているように
感じましたがそうでしょうか?
>まあ今回は無事解放されましたが、これも日本政府がテロに屈しないと言う
>断固とした態度を取ったからです。
=現段階の不確定要世の高い情報ソースからそこまで断定はできません。
結果論で貴殿の「新米・政府擁護」を正当化することはいかがかと存じます。
>アメリカが戦っているのは民主主義の戦いです。
=「民主主義」という「大義名分」に根ざした「イデオロギー」の押し付けです。
確かに地政学的に重要度の高い地域における軍事的脅威は存在しましたが、
中東が欧米列強の思惑の犠牲になった歴史的背景を考慮してみてください。
それは現在も変らないのです。アメリカは国益のために、様々な「大義名分」を
拵えて「異文化・異教徒」の世界をコントロールしやすい体制にしようと
しているだけのことです。アメリカこそが自由と正義を盾に武力行使を
正当化しているとは考えられませんか?そこに気づき始めた日本人が
「反米」感情を露にし始めているのではありませんか?
私はアメリカを全否定するつもりは毛頭ありません。民主・自由主義の素晴しい
要素は、他のイデオロギーが束になっても敵わないところもあります。
しかしながら、何についても言えますが「絶対」はないのです。人間の価値観に
内的要素としての「絶対」はあっても外的・社会的要素にはありません。
貴殿の「民主主義絶対視」は「イスラム原理主義」となんら本質的に変りません。
「一元論」であり「YesかNo」それだけです。
>支配的な社会主義国家を倒し、民主主義に変えて手を引く。
=社会主義国家が支配的であると言い切れる根拠をお示しください。
>・・・もし、アメリカが民主主義でなければ、日本や韓国は今も合衆国の
>属国であり、イギリスは世界中に植民地を持っているでしょう。
=帝国主義をどう説明されるのですか?(現在もアメリカ帝国と揶揄される現実は?)
>(イギリスが世界中から軍を引いたのは非効率的であることも要因ですが、
>豊富なエネルギー資源を持つアラブは絶対に押さえておくのが常識です)
=そこに領土を持つ必然性がなくなっただけのことではないでしょうか?
(民主主義そのものではなく、併せ持つ経済システムが補完しているだけの事です)
>だから私は、ただ目先の問題だけにとらわれ、幼い反米論を繰り返し、
>日本のアメリカからの自立を主張する考え方に反対なのです。
>日本にはアメリカの手助けが必要です。それは隣国に北朝鮮という
>危険極まりない国家を持っているからです。
=これまで申し上げてきた見地から、(少なくとも)私は「反米」論が
稚拙であるとは思っておりません。むしろ、根源である「日米安保」の
見直し及び非武装化に伴う危機の回避をどう両立させるか、という点が
真の「民主主義国家」として民意を反映した政府の進むべき道であると
考えております。与野党を超えた一蓮托生の議論がなされるべきです。
衆参同時解散・総選挙を至急行い、イラク派兵の微妙な時期に行われ、
信任を得たものの何もできないに等しい政府をリセットした上で、
前向きに政治を、世の中を変えていこうとする代議士を峻別する力量が
私たち国民に問われていると思います。
>もしアメリカの支援がなければ、北朝鮮が日本を叩きつぶすことは
>実に容易なことなのです。・・・
=世界の警察はアメリカであってはなりません。国連であるべきです。
日本はスイス同様、永世中立国という立場を取り、有事の際は
国際法に委ねるスタンスを取れば北朝鮮云々の問題は解消されます。
>日本は独自に防衛するために新たな戦力を持つか、アメリカの協力を
>得るかしなければならないのは、賛成、反対に関係なく事実として
>存在しています。・・・
=上述のような第3の選択肢、議論を重ねればもっと出てくるでしょう。
平和なヨーロッパと近隣国に迫った脅威という差は確かにあります。
いきなり自ら丸腰になることはあり得ません。注意深く慎重に、
アメリカを徒に刺激せず国際世論形成を行っていけば、地球規模での
北朝鮮包囲網は醸成されていくはずです。それを契機として「武力行使の
永久放棄」を謳う国家として相応しいスタンスに移行すればよいのでは
ないでしょうか?
基本的に貴殿を否定・誹謗中傷等毛頭しておるつもりはございませんので
表現等お気に障られた点がございましたらご容赦ください。