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イラク主権、国連主導の暫定政権案…米が方針転換へ
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20040416it13.htm
【ワシントン=永田和男、飯塚恵子】ブッシュ米政権は6月末を期限とするイラク人への主権移譲の受け皿について、有力視されていたイラク統治評議会の拡大案に代わり、国連が主要メンバーを選ぶ暫定政権を採用する検討に入った。
一方、16日行われる米英首脳会談では国連の関与拡大を軸とする安全保障理事会決議の採択を急ぐ方針を確認する。
ファルージャ情勢の悪化や人質事件の頻発でイラクの治安状況は深刻さを増している。一連の方針転換の背景には、国連を通じて国際社会を巻き込まない限り、イラク民主化のシナリオは崩壊しかねないという危機感がある。
主権移譲の受け皿について、米政府高官や統治評議会の一部メンバーはこれまで、評議会を現在の25人から50―75人程度に拡大する案を検討してきた。しかし、15日までイラクを訪れていた国連のブラヒミ事務総長特別顧問は「国民の広範な支持が得られない」として拡大案をはねつけたという。
米紙ワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズによると、ブラヒミ氏が評議会の拡大に代わる案として提示したのは、国連が米国や統治評議会と協議のうえで、大統領や首相、閣僚を任命するという国連主導の暫定政権づくりだ。ブラヒミ提案はアナン国連事務総長に提出された後、今月中にも正式発表される見通しとされる。
これに対し、ブッシュ政権は従来の姿勢を変えて、「(提案には)ブラヒミ氏の英知と経験が反映されている」(パウエル国務長官)と評価した。
政策転換の背景には、イラク国内での騒乱の広がりや反米意識の高まりがある。米政府高官は暫定政権づくりでは米国色を薄めていかざるをえないとの認識があるという。
一方、ブッシュ米大統領は16日、ホワイトハウスで行うブレア英首相との会談で、主権移譲には国際社会の幅広い協力が不可欠だとして、新たな安保理決議採択を急ぐことで一致する見通しだ。
安保理決議については、日本、イタリア、ポーランドなど米国の占領統治を支える同盟国からも「多くの国の参加を促すには、国連のお墨付きが欲しい」とする声が強まっていた。
米国はさらに、イラク戦争に反対したフランスを含む十数か国に、イラクでの国連の活動を警備する部隊の派遣を打診した。
一方で米国は、シーア派の反米指導者サドル師一派の騒乱を収拾するため、イランに調停を要請。さらにシリアに対して15日、パウエル国務長官が書簡を送り、情勢の沈静化に向けた協力を依頼した。イラン、シリアは米国が「ならず者国家」と名指ししてきた。こうした国々にまで支援を要請する背景には、治安改善への手詰まり感がある。ただ、国連重視や国際協調路線への転換について、国際社会はまだ懐疑的だ。
A(2004/4/16/22:03 読売新聞 無断転載禁止 )