現在地 HOME > 掲示板 > 戦争49 > 269.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
<沖縄タイムス2004年3月8日 朝刊2面>
植村秀樹氏・流通経済大学教授
政府への期待は無駄
ワシントンと直接交渉を
―米軍再編の背景をどう分析しているか。
「政治・財政的な観点からの見直しのほか、情報技術の進展に伴う軍事技術の
革新も進んでおり、かなり大掛かりなものになるかもしれない。ただし、イラク
戦争の用兵をめぐり、国防長官と制服組との間で意見の隔たりが大きく、両者の
考えが必ずしも一致しているとは限らない。今秋の大統領選挙の行方と長官人事
が大きく影響するだろう」
―日本にとって望ましい日米同盟のあり方は。
「それに答えるのは不可能だ。なぜなら、日本人自身がいったいこの国をどう
しようとしているのかがはっきりしない。憲法改正も日程に上ろうとしているが、
選挙結果や世論調査では相変わらず、『仕方がない』『まあ、この程度なら』と
いう現状追認の意思表示でしかない。それでは日米関係はこれまで同様、アメリ
カが決め、日本は従うほかない」
「日本人自身が自らの意志で自分の国の将来を考えるのなら、安保体制の見直
し(条約の改定)から忠実なパートナー(イギリス化)まで選択肢は限りなく広
い。国民の意思という前提抜きで『望ましい姿』を考えることはできない」
―在日米軍の規模、兵力構成はどうなるのか。
「予想について言えば、軍の再編がどうなるか極めて重要となる。ハワイ、グ
アム、オーストラリア、東南アジアなどの基地・施設との関連で大掛かりな再編
の可能性もないわけではないが、在日米軍については、量的にはそれほど大きな
変化はないだろう」
「考えられるのは、質的な向上(効率化)と若干の量的な縮小だが、今のとこ
ろ、劇的な変化が起こりそうな要素は見当たらない。合理的に考えれば、駐留規
模縮小の可能性が最も高いのは海兵隊だが、持ち前の政治力で乗り切るかもしれ
ない。それを支えているのが日本の『思いやり予算』だ」
―日本政府は何を求めるべきか。
「“Yes、sir”以外の言葉を持たない政府に、期待するのは無駄。短期
的な取引ではなく、長期的な視点で考えなければいけないのだが、その意志も能
力もない。アメリカの言うがままになるのは目に見えている」
―沖縄側の意見はどう反映されるべきか。
「米議会の公聴会への出席など知事がワシントンと直接交渉すべきだ。東京に
比べれば、ワシントンのほうが少しは沖縄のことを気にかけている。ただしその
場合も、情だけでなく、理に訴える必要がある。数字や統計を使うなどして、理
路整然とやらないと効果は期待できない。日本政府を動かせるのはワシントンだ
けだから、東京を動かすためにも沖縄がワシントンを動かすしか道はない」(聞
き手=政経部・石川達也)(この企画は随時掲載します)
専攻は国際政治学、安全保障論。著書に『再軍備と55年体制』、論文「海兵
隊沖縄駐留論の再検討」など。今春から豪州のクイーンズランド大学客員研究員。
http://www.okinawatimes.co.jp/spe/saihen20040308.html#1