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ひっそりと行われたもう一つの神田川捜索?『警察が狙撃された日』谷川葉著、三一書房、92頁より。
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投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 7 月 18 日 08:31:29:WmYnAkBebEg4M
 

(回答先: 警察庁長官銃撃事件 長期化招いた『公安部』捜査【東京新聞】 投稿者 クエスチョン 日時 2004 年 7 月 18 日 06:53:39)

ひっそりと行われたもう一つの神田川捜索?『警察が狙撃された日』谷川葉著、三一書房、92頁より。


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桜井の情報統制

 端的なケースは神田川捜索だった。

 公安部参事官・南隆は、公安一課長・岩田義三とともに、桜井や井上に対し、何度となく小杉が拳銃を捨てたと言い張る場所、東京ドームの最寄り駅であるJR水道橋駅近くの神田川の徹底捜索を願い出ていた。九六年五月中ごろ、小杉の口からこの供述が出た直後から説得は始まっていた。むろん、「警視長」が「総監」に直訴するとなれば一大事であるから、その大半は桜井を通じてではあったけれど。

 南に近い人物はいう。

 「小杉供述が発覚した日、南さんは唇から血がにじみ出るんじゃないかと思うほど、口元を噛みしめて悔しがっていました。『俺があれほど、神田川捜索をしようと何度も何度も部長に進言したのに、聞き入れてもらえなかった』と。それが今では、公安部の隠蔽だなどと言われても情けないよってつぶやいてました。桜井さんは桜井さんで総監からの命令があったのだからどうしようもなかったのだろうが、とは言ってましたけど。部長や総監に対する不信感はそうとう募っていたようでした」

 別の幹部は続ける。

 「ともかく(九七年六月に)東京地検から、信用するに足りない、なんて言い渡されるまで、小杉供述をめぐる警視庁内部の評価の揺れは、一言でいい表せないほどすさまじかった。白と黒の二つに、これほどの幅があるとは思いもしなかった。真っ黒、やや黒、どっちかと言えば黒、灰色、あえて言えば白、白っぼい、完壁な白……という具合に。十月二十五日以降、この白と黒をめぐる色の感覚はすさまじい勢いで変遷していった。しかしね、真っ白だ純白だと強行に叫んでいたのは総監なんですよ。実は、そうした総監の思い、意向、心情を思い図った桜井が、さまざまな情報を止めていたんです。むろん、止めなかったとして、総監の意向が変化したとはとても想像できませんが。ともかく、少なくとも総監のシロ説拘泥最大の要因は、桜井の情報統制だったんです」

 複数の証言を総合すると、神田川の捜索計画は、小杉からある程度具体的な供述が引き出された際、公安一課からせっ突かれた桜井が一度だけ総監に具申したことがあったという。しかし井上は許可しなかった。

 「そんなことをしてみろ、マスコミに気取られるに決まっているだろう。いずれ小杉の供述がバレてしまうじゃないか。ばかもの」

 一蹴された桜井は、部下の懇願をけ倒すようにしてこう言ったという。

 「とにかく今の状況でできることだけをやれ」

 その後も、南らは桜井を説得し続けた。南千住署特捜本部で日々悶々とする部下たちのためにも。

 「この状況では、小杉が本当のことを言っているのかどうか、マインドコントロールの影響下にあるかどうか、何とも判断しかねる。神田川の捜索によってその判断材料が得られるとは思わないんですか」

 そのたびに桜井の口からは、意味のない、やる気のない、あやふやな答えが返ってくるだけだった。そしてその年の十月まで捜索は凍結され続けたのだった。

 しかし、われわれはくだんの神田川周辺で、ある女性会社員から奇妙な証言を得た。「それを当時見た時には、まったく気にも止めないほどでした。ですが、大々的な捜索が九六年十月から神田川で始まったのを見ていて、あれっ、と思ったんです。その同じ年の六月のことだったと記憶しています。私は水道橋を渡って出勤するので、よく橋の下も何気なく眺めることが多いんですが、ある日、黄色いプラスチック製のボートが浮かんでいて、何かな、と近くを見ると、派手なウェットスーツ姿のダイバーがいました。男性二人と女性一人でした。その周囲に、地味目のスーツの男性のダイバー二人がいて、合計五人が必死で川底を浚って何かを探しているような感じでした。こんなうっとうしい時期に大変だな、と思ったんです。でも、神田川で捜索が始まって、ダイバーが潜るのを見ているうちに、じゃああの五人は何か関係があったのかな、と思ったんです」

 この会社員が目撃したダイバーについて、われわれは都や水質研究施設など考えられる対象団体を調べた。しかし、いずれの機関、団体も神田川でのそうした作業を否定している。とすれば、この驚くべき証言の含意は、ふたつだ。

 桜井らによる一連の「捜査妨害」に対する反発、そして小杉関与の確信を強めた警視庁内の不満分子が、独断で極秘に拳銃捜索を試みていた可能性。そして、同時にそれとまったく反転した可能性も浮かんでくる。つまり、井上、桜井らによって組織された特命細胞が、上層部の命を受けて神田川を浚ったのではないか、そして各細胞に対しては、次のような指令が下っていたのではないか。部内のはね返りが凍結命令を無視して勝手に拳銃を捜し出してしまう前に潜れ。万が一拳銃が見つかった場合、内部にも外部にも漏れることなく秘密裏にそれを葬れ。

 われわれは、小杉問題にタッチしてきた複数の警察幹部に、最後の最後までこの疑問をぶつけた。だが、この五人のダイバーの存在を認める幹部は、最後の最後まで現れなかった。可能性はやはり可能性のままにとどまった。

 しかし警視庁の暗部、警察官僚の生態について見聞きしてきたわれわれは、小杉問題をめぐる二つの勢力のどちらであっても、何の躊躇もなくこうした謀略的行為に走りかねない、ということを知るに至っている。本章以降で詳しく述べる予定だが、警視庁内部には、かくも信じがたい陰謀のポテンシャルが横たわっているのである。

 いずれにせよ桜井は、小杉供述の根幹であり、信憑性を決定づけうる神田川捜索について、かたくなに無視し凍結を指示した。その一方で、総監・井上幸彦に対しては、<御前>の意向に背いたり、<御前>の機嫌を損なうような情報の一切を封印し続けた。

 井上は小杉供述発覚後、警察庁や関係者に対してよくこんなことを言っていたという。

 「小杉の供述と状況が合致すると言われる目撃証言によれば、犯人は身長百八十センチくらいの長身だったというんですよ。知ってるでしょう。小杉は百七十そこそこなんです。犯人と比べればチビなんです。ぜったい違いますよ。やってないんですよ」

 これについて、ある幹部はこう説明するのだ。

 「実は南千住署特捜本部内では九五年六月段階で狙撃手の身長について、それまでの百八十センチオンリーから修正して、百七十から百八十センチの間という一種弾力化した線に変えていたんです。ことこういった基本的な内容、つまり目撃情報のズレなどについて、桜井は小杉供述の比較材料として井上総監への報告を慢性的に意図的に怠っていたんです。井上の意思をくんだにせよ、桜井の責任は言い逃れようのないレベルなんです。偏見と予断で耳穴を塞がれていた総監を、なんとか説得しようなんて気はまるでなかった」

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