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(回答先: 気になる人(仮説) 投稿者 竹中半兵衛 日時 2004 年 6 月 11 日 12:35:04)
(連載)[凶行の記憶](1)憎しみより 後悔深く…教師たち
http://www.yomiuri.co.jp/features/ishm/200308/is20030821_01.htm
2001年6月8日、大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)で児童8人を殺害、教師2人を含む15人に重軽傷を負わせたとして殺人などの罪に問われ、死刑を求刑された無職宅間守被告(39)の判決公判が28日、大阪地裁で開かれる。教室で幼い命を奪った凶行に人々はどんな教訓を見いだし、どんな思いで判決の日を迎えるのか。それぞれの「池田小事件」を伝える。
なぜ疑い抱かなかった…涙の担任「私も加害者」
河上洋介教諭(30)(現大阪府豊中市立小学校勤務)は、この夏、事件後初めて読売新聞のインタビューに応じ、胸にしまってきた思いを語った。
「子供たちには本当に申し訳ないことをしました。犯人への憎しみより、その後悔の方が大きいのです」
宅間被告が侵入した付属池田小の東門。今は鍵がかかり閉ざされている(大阪府池田市で)
あの日午前10時すぎ。河上教諭は、担任だった2年南組の授業を2分ほど残して切り上げ、学級菜園を見に行きたいという児童2人と校舎を出た。
その時、体育館の陰から男が現れ、ゆっくりと近づいてきた。手には緑色のポリ袋。保護者か、出入りの業者か。すれ違いざまに会釈した。男は無言のまま校舎へ。宅間被告だった。
この光景を何度、思い浮かべ、悔やんだだろう。「安心しきっていた。疑いを抱かなかった。言われてみれば、業者の服装でもなかったのに、なぜ気づかなかったのか」
南組の児童が叫びながら学級菜園に走ってきた。「先生、包丁で刺されてる!」。あの男のことが頭をかすめた。無我夢中で校舎に戻った。1年生の教室に飛び込み、包丁を持つ被告を副校長と取り押さえた。自分も頭に負傷した。
だが、南組の子供たちを救護することはできなかった。「犯人を取り押さえるのに精いっぱいだった。そばにクラスの子が5人も倒れていたのに、顔も見てやれなかった」。死亡した児童8人のうち5人は南組の子供だった。
■ □
昨夏、河上教諭に検察から意見陳述の打診があった。2000年5月の刑事訴訟法改正で、犯罪被害者が心情を訴える機会として認められたものだ。
気持ちは揺れた。何を言っても、言い訳になるような気がした。いったんは断ったが、遺族の言葉が重かった。「事件のことは、すべて話して欲しい」
意見陳述は「子供を救えなかった教師として、果たさなければならない責務だ」と思い直した。
今年4月11日の公判。河上教諭は涙ながらに語った。「私は今日、被害者の1人としてこの場に立っていますが、幼い命を守るために何もしてあげられなかった私も加害者です」
苦しみ抜いた末に今、河上教諭は切に思う。「子供の人生を預かっているという強い思い、いざという時には身を投げ出す覚悟が教師には要る」
■ □
子供たちの安全に、学校、教師はどこまで責任を負えるのか。事件は教育現場に重い課題を突きつけた。
7月末、大阪市で開かれた全国公立学校教頭会研究大会。「安全から学校生活を考える」と題する分科会の会場は約350人で埋まった。「暴漢が子供に向かった時、それを防ぐ行為はどこまで許されるのか」。正当防衛と過剰防衛の境界を尋ねる質問も飛んだ。
事件を受け、国は2001年度、フェンスの整備など安全対策の緊急措置として約57億円を支出、昨年度、今年度と防犯教室の推進などソフト面だけで各約4億円を投入している。
だが、校内への侵入事件は増える一方だ。警察庁によると、幼稚園から大学まで、学校で起きた昨年の侵入事件は、付属池田小事件があった2001年より397件増の2168件と、5年前の2・2倍に達している。
研究大会に出席した教頭に、読売新聞がアンケートしたところ、3分の1近くが「学校は構造上、無防備なのに、予算も人も不十分。教師だけでは限界がある」と答えた。「スクールポリスを置くべきだ」「警官の立ち寄り所を設置してほしい」など、多くが行政の支援を求めていた。
学校の安全問題に詳しい喜多明人・早稲田大教授は「学校が危険にさらされている現状を見れば、教師任せでは子供を守りきれない。国の責任で専門職員を配置すべきだ」と指摘する。
教師としての使命感と、国や自治体が負うべき責任。この2つが果たされなければ、子供たちを守れない時代がきている。
スクールポリス
退職警察官や民間のガードマンを専門の警備員として小中高校に常駐させる米国の制度。ニューヨークなど大都市の多くで採用されている。
( 2003年8月21日付 読売新聞 無断転載禁止)